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専属
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「ライバッハ侯爵には感謝しかありません。
本当に……ノエルを保護してだけでなく、教育までしてくれて…!」
やや目を泳がせた侯爵、サッと扇を広げた侯爵夫人、目線を外したリリアンナ様に気付かず、心のまま感謝を述べる養父は、いかに大切だった妹の忘れ形見である私が、優秀かを説く。
元はリリアンナ様が振り回す一手として、わがまま言って勉強を押し付けていたとは言えませんからね。
「そうで、すな。ノエル…様は飲み込みが早くて、どんな分野もあっという間に理解すると、それを他者に分かりやすく説明することにも長けておられました…」
「おお!」と自分の知らないエピソードに目を輝かせる伯父と、「どうだったかな~」と言いながら話す侯爵様の横で、侯爵夫人はサッと近くの侍女に目をやり、戻すというアイコンタクトを送ってきた。
(侍女として一時期仕えた事は言ったの?!)
と言いたいのだろう。
私は口を真一文字に引き結んで、小さく首を横に振り見つめ返した。
(言っておりません、言えません!)
ホッとしたのか、リリアンナ様にこっそりと耳打ちし、夫にも合図を送って素早く伝える侯爵夫人。流石である。
話が一通り済むと、私は本題を口にした。
「ライバッハ侯爵様、もし宜しければ、リリアンナ嬢への求婚をお許しいただけないでしょうか?」
ポカンとして固まる侯爵一家を面白そうに眺めていた陛下は、愉快そうに話す。
「そういえば望む縁談の仲を取り持つと言う話が残っていたな。どうだライバッハ。
まぁ今回断っても次にも協力は惜しまないがな?」
「え…それはご配慮いただき…誠にありがたいお話ですが…娘に…リリアンナ、どうする?」
まだポカンとしていたリリアンナ様は、慌てて返事をする。
「きゅ、急なお話で御座いますので、何と言ったら良いか…いえ、その…えーーーーっと」
ワタワタとするリリアンナ様の顔が、ジワジワと赤くなっているのは気のせいじゃないと信じたかった。
私は自然にあがる口角を押さえながら、想いを口にする。
「私は“専属”としてリリアンナ嬢のお側におりました。ずっと側に居たいと言う気持ちは助けられ、微笑みを頂いたあの時から変わりません。
まだ男性として意識して頂けないのは、保護されていた関係上仕方のない事。
なので、この国へ滞在してリリアンナ嬢にアプローチし、意識してもらい、ゆくゆくは婚約してもらえるよう鋭意努力したいと思います」
「ノエルー?!何言ってますの?!」
「はい、リリアンナ嬢、私は永遠にあなたの“専属”となれるように、夫の座を手に入れてみせます!リリアンナ様、私も大好きですよ」
ニッコリ微笑むと、誰が見ても真っ赤になったリリアンナ様を見つめながら、私は専属の地位までの道を計画していくのであった。
~fin~
本当に……ノエルを保護してだけでなく、教育までしてくれて…!」
やや目を泳がせた侯爵、サッと扇を広げた侯爵夫人、目線を外したリリアンナ様に気付かず、心のまま感謝を述べる養父は、いかに大切だった妹の忘れ形見である私が、優秀かを説く。
元はリリアンナ様が振り回す一手として、わがまま言って勉強を押し付けていたとは言えませんからね。
「そうで、すな。ノエル…様は飲み込みが早くて、どんな分野もあっという間に理解すると、それを他者に分かりやすく説明することにも長けておられました…」
「おお!」と自分の知らないエピソードに目を輝かせる伯父と、「どうだったかな~」と言いながら話す侯爵様の横で、侯爵夫人はサッと近くの侍女に目をやり、戻すというアイコンタクトを送ってきた。
(侍女として一時期仕えた事は言ったの?!)
と言いたいのだろう。
私は口を真一文字に引き結んで、小さく首を横に振り見つめ返した。
(言っておりません、言えません!)
ホッとしたのか、リリアンナ様にこっそりと耳打ちし、夫にも合図を送って素早く伝える侯爵夫人。流石である。
話が一通り済むと、私は本題を口にした。
「ライバッハ侯爵様、もし宜しければ、リリアンナ嬢への求婚をお許しいただけないでしょうか?」
ポカンとして固まる侯爵一家を面白そうに眺めていた陛下は、愉快そうに話す。
「そういえば望む縁談の仲を取り持つと言う話が残っていたな。どうだライバッハ。
まぁ今回断っても次にも協力は惜しまないがな?」
「え…それはご配慮いただき…誠にありがたいお話ですが…娘に…リリアンナ、どうする?」
まだポカンとしていたリリアンナ様は、慌てて返事をする。
「きゅ、急なお話で御座いますので、何と言ったら良いか…いえ、その…えーーーーっと」
ワタワタとするリリアンナ様の顔が、ジワジワと赤くなっているのは気のせいじゃないと信じたかった。
私は自然にあがる口角を押さえながら、想いを口にする。
「私は“専属”としてリリアンナ嬢のお側におりました。ずっと側に居たいと言う気持ちは助けられ、微笑みを頂いたあの時から変わりません。
まだ男性として意識して頂けないのは、保護されていた関係上仕方のない事。
なので、この国へ滞在してリリアンナ嬢にアプローチし、意識してもらい、ゆくゆくは婚約してもらえるよう鋭意努力したいと思います」
「ノエルー?!何言ってますの?!」
「はい、リリアンナ嬢、私は永遠にあなたの“専属”となれるように、夫の座を手に入れてみせます!リリアンナ様、私も大好きですよ」
ニッコリ微笑むと、誰が見ても真っ赤になったリリアンナ様を見つめながら、私は専属の地位までの道を計画していくのであった。
~fin~
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