帳ツキミ少年BL短編集

帳ツキミ

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いつもの場所で

01/甘い熱

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雨に包まれた冬の放課後。
僕は、静まり返った旧校舎の廊下を一人歩いていた。
そして、ある教室の前で止まると数回ノックをする。
すると、それに応えるようにノックが返ってくると僕はそっと扉に手をかけゆっくりと開いた。

―――ガラララ。

そう音を立てて開き、数歩中へ入った時だった。

「…やっときた」

入り口のそばの、教室の角にいたらしいその人に、ぎゅっと抱きしめられる。

「びっくりした…! 先輩、先に来てたんですね」
「うん、委員会早く終わったから」

そう言うと先輩は、薄く笑みを浮かべる。
その姿はオレンジ色の夕日に照らされて、どこか幻想的で…思わず息をのむ。

この人は、東 孝弘先輩。ひと学年上の先輩で…僕の…大好きな人だ。
僕たちはいつも、放課後になるとこの廃校舎の教室で待ち合わせをする。

別に深い意味はないけれど、一瞬でも二人きりになれる時間が欲しくて…毎日こうして、少しさびれた誰もいない校舎の教室で落ち合うことになっている。

「良くん?どうかした?ボーっとして」
「あ、えっと… 夕日!夕日が綺麗だなって…」

我ながら苦しい言い逃れだと思う。
でも、先輩はといえば「ふうん」と呟いて窓の外を見つめていた。
けど、それもほんの少しの間で再びくるりとこちらを向くと薄く笑う。

「…ああ、そういうことか」

先輩はそう言うと、僕の頬に手を伸ばす。そして、優しく指の腹でなぞるように撫でると鼻先が触れ合うほど先輩の顔が近づいて…ピタリ、と留まる。

「あ、の…」
「…君の瞳に、夕日が反射してる。宝石みたいにキラキラして…すごく綺麗だ」

そういう先輩の声は、心なしか甘く…熱っぽくて。ごく、と喉を鳴らして体を強張らせていると目を細め…そっと唇が重なった。
僕はたまらずギュッと瞼を閉じる。

そんな僕をよそに、先輩は舌先で唇をなぞるとゆっくりとねじ込んでくる。

「んっ…………」
「…………」

静かな空間に響く水音がやけに大きく聞こえてきて、恥ずかしくてたまらない。
けれど、それと同時に気持ち良くもあって……。そうして僕は頭がぼーっとしてきて何も考えられなくなる。

しばらくして、ようやく先輩が離れていった時にはもう……息も絶え絶えになっていた。

「はぁ……せんぱ…い…」
「…可愛い。…もっと、しよ」

そう囁くと、僕の耳にチュッと口づける。
すると僕は驚いて、「ひゃっ」と大きな声が出てしまった。

「耳、弱いよね。相変わらず」

クスリと笑いながら先輩はそう言うと、今度は首筋にキスを落とす。
そして、再び…僕たちは口づけを交わしていく。

最初は、チュッ…チュッ…っと軽く優しいもので。僕はそれがすごく嬉しくて、必死にこたえようと口を開くとぬるりと先輩の舌が入り込んでくる。
それを迎え入れるように自分のものを差し出すと絡め取られ、強く吸われる。
口の端からは飲み込みきれない唾液が溢れ出て、僕はどうしたらいいのか分からなくて……ただされるがままになっては、言葉にならない甘ったるく短い声を何度も上げる。

「良くん……好きだよ」

そう言って微笑む先輩を見て、与えられ続ける快楽に涙を浮かべながら僕も自然と笑顔になる。
――ああ、幸せだ。
先輩がそばに居てくれるだけで……それだけでこんなにも幸せなのだから。
――ずっとこのまま、時間が止まればいいのに。
なんて、叶うはずもない願いを抱きながら……先輩との時間を噛み締めていた。

そして僕はギュッと、先輩のセーターにしがみつく。すると、先輩が僕の腰に手を回すと支えるかのように抱き寄せる。
けれど、口づけは一層深く激しくなるばかりだ。
舌先で僕の歯列をなぞり、上顎を刺激してくる。
その刺激に僕の体はビクビクと震え、やがて先輩はそっと唇を離すと額同士をくっつける。

「はぁ……はぁ……」
「俺とのキス、気持ちいい?」

そう言うと、先輩はすぐにもう一度唇を重ね、深く深く…かぶりつくように唇を合わせ掻きまわすように舌を絡ませる。

「んっ……」
「良くん……、良くん」

名前を呼ばれるたびに、胸がキュッと苦しくなる。
先輩が触れる場所すべてが熱を持って、体中が火照って……もっともっと先輩を感じたくて……。
それを知ってか知らずか、先輩の手が僕の腰を優しく撫でまわす。
その感覚がたまらなく心地よくて、僕は思わず「あっ……」と小さく声を漏らした。

「……本当に可愛い。もっと…感じてみせて」

そう言うと、先輩は僕の手を取って自らの胸に引き寄せる。
ドクンドクンと、早いリズムで刻まれる心臓の音を感じながら先輩を見つめていると、再び唇が重ねられた。

「聞こえた?俺の心臓の音。良くんがかわいくて…こうなっちゃうんだよ」

僕は恥ずかしくなって、俯くとギュウ…と抱きすくめられた。
そして、彼の優しい手が僕のカーディガンの下へもぐりこむと指先でなぞるように背中をなでる。
ゾワリとした感触に思わず「あ…っ」と声が漏れると、先輩は僕の耳元で「かわいい」と呟いた。

そして、先輩の手は僕のワイシャツをつかみゆっくりと引っ張りズボンから出す。そして…直に僕の肌に触れる。

「せ、先輩…」
「…君の体、熱くて気持ちいいね」

そう言うと、先輩は僕の肌に指先を這わせ、そしてゆっくりとなぞるように動かす。
時折、思い出したかのように口づけられれば僕はもうどうしようもなくて……。
気づけば、僕は抗うこともなくただギュウっと彼の胸にしがみつくように抱き着いては与えられる微かな快楽に耐えるだけだった。

「ねえ、もっと触ってもいい?」
「あ…、は…、い…っ」

言葉を紡ぐ余裕も全然なくて、力いっぱい頭を縦に動かすことで頷くと先輩は満足げに目を細めて微笑む。

それから、先輩の指先がゆっくりと下に降りていくとズボンの中へと滑り込んだ。

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