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6戦目
宣戦布告:前編
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「やはり召喚系の魔力は必須ですかね」
今日の訓練も終えて晩飯もすでに食べ終わり、今は訓練場の片隅にある会議室的な場所で話し合いを私とスギヤさんとりりィの三人でしている所だ。りりィは連日の走り込みに私とスギヤさんとの戦闘訓練で疲れ切ってぐったりしている。りりィだけは話し合いというよりただ聞いている状態で、ほぼ私とスギヤさんの二人で話し合いは進んでいた。
「間違いなくあった方が良いですよ。使い手側に回って初めて気づく事ってありますから」
第二回鍛冶屋杯でセキヤの『反射』の魔力を借りた時の事を思い出しながら答える。あの魔力は敵に狙いを付ける系の魔力ではなかったけど、それでもいつもと戦い方を変える必要性が強かった。というのもあれは魔力を発動している時は常に反射状態になるので、自分から攻撃するとそれも反射してしまう。自分から攻撃する時は魔力を使わず、防御する時は魔力を使うという扱いの差が出た。
セキヤともし直接戦う事があれば、カウンターを狙うのも視野に入れられると気づいたのだ。ヒリューが対策をすぐに思いついていたのでそれ以外の戦い方を考えた事もなかったからこそ初めて気づいた事だった。
「ゴウの戦い方を真似るとなれば、もう『分裂』を入れてみるのも視野に入れてみても良いかもしれませんね」
召喚系の魔力を入れるのはゴウさんの戦い方に慣れるためとの事なので、むしろ『分裂』を入れた方がより対策になるのは間違いない。ただ問題が二点ある。
「『分裂』の魔力を付与できるんですか?」
「あれはそんなに難しい魔力ではありません。魔力を発動した後の扱いが難しいだけなのです。だから『分裂』は二文字の魔力になっていると言われているほどです」
魔力の生成、付与はできても扱うのが難しい。そのアンバランスさがあって二文字という魔力のランクとしては低ランクの魔力として認定されているのですと説明を続ける。
「となるとやっぱり扱えるようになる方が難しいですね」
「ゴウと同じレベルで扱うには確かに難しいです。ただ『意志』や『操作』の魔力があれば『分裂』を扱う事もできます」
『分裂』は普通何かしら別の魔力でサポートして初めて効果を発揮する魔力と聞いていて、だからこそそれを単体で極めているゴウさんが抜きんでて強いという事も分かっている。つまりここで『分裂』に別の魔力を組み合わせてしまっては、ゴウさんと同じ戦い方にはならない。
「でもそれだとゴウさんと同じ戦い方にはならないですよ」
「ほう……?」
スギヤさんが何かを察したような含みのある笑みを浮かべる。どうやら私が何を言おうとしているのか分かったみたいだ。
「『分裂』を単体で扱える、そんな人物に心当たりでもあるのですかな?」
「その質問だとクガさんって答えちゃいますけど、そうじゃなくて私が練習して使いこなせないか試したいなって思いまして」
新しい戦い方を学ぶ良い機会になれそうだと思ったし、『分裂』の魔力を使いこなせればゴウさんとの差も縮まるかもと思ったからだ。
「その向上心はさすがです。では一つは『分裂』と『力』に限定しましょうか。メンバー内にも誰か使ってみたい人を募集してみましょう」
「私は普通に自分でも使っていきたいし、スロ三がもう一つ手に入ったら入れてみます」
今後の目標が決まってまた明日から頑張ろうと気持ちを改める。
――ゴウさんみたいに『分裂』を操れたら……!
その未来の自分の姿を楽しみにしつつ、スギヤさんとの話し合いを続けていく。
「では次に検討したいのが……」
「ただ今戻りました……!」
そんな状況下で、いきなりドアを開けて会議室に入り込んできた女がいた。その女はいきなり入ってきた無礼も気にしないどころか、さらに私の姿を見付けては睨み付けていた。
――私がここにいるのが随分とご不満みたいですね、ミストさん?
今日の訓練も終えて晩飯もすでに食べ終わり、今は訓練場の片隅にある会議室的な場所で話し合いを私とスギヤさんとりりィの三人でしている所だ。りりィは連日の走り込みに私とスギヤさんとの戦闘訓練で疲れ切ってぐったりしている。りりィだけは話し合いというよりただ聞いている状態で、ほぼ私とスギヤさんの二人で話し合いは進んでいた。
「間違いなくあった方が良いですよ。使い手側に回って初めて気づく事ってありますから」
第二回鍛冶屋杯でセキヤの『反射』の魔力を借りた時の事を思い出しながら答える。あの魔力は敵に狙いを付ける系の魔力ではなかったけど、それでもいつもと戦い方を変える必要性が強かった。というのもあれは魔力を発動している時は常に反射状態になるので、自分から攻撃するとそれも反射してしまう。自分から攻撃する時は魔力を使わず、防御する時は魔力を使うという扱いの差が出た。
セキヤともし直接戦う事があれば、カウンターを狙うのも視野に入れられると気づいたのだ。ヒリューが対策をすぐに思いついていたのでそれ以外の戦い方を考えた事もなかったからこそ初めて気づいた事だった。
「ゴウの戦い方を真似るとなれば、もう『分裂』を入れてみるのも視野に入れてみても良いかもしれませんね」
召喚系の魔力を入れるのはゴウさんの戦い方に慣れるためとの事なので、むしろ『分裂』を入れた方がより対策になるのは間違いない。ただ問題が二点ある。
「『分裂』の魔力を付与できるんですか?」
「あれはそんなに難しい魔力ではありません。魔力を発動した後の扱いが難しいだけなのです。だから『分裂』は二文字の魔力になっていると言われているほどです」
魔力の生成、付与はできても扱うのが難しい。そのアンバランスさがあって二文字という魔力のランクとしては低ランクの魔力として認定されているのですと説明を続ける。
「となるとやっぱり扱えるようになる方が難しいですね」
「ゴウと同じレベルで扱うには確かに難しいです。ただ『意志』や『操作』の魔力があれば『分裂』を扱う事もできます」
『分裂』は普通何かしら別の魔力でサポートして初めて効果を発揮する魔力と聞いていて、だからこそそれを単体で極めているゴウさんが抜きんでて強いという事も分かっている。つまりここで『分裂』に別の魔力を組み合わせてしまっては、ゴウさんと同じ戦い方にはならない。
「でもそれだとゴウさんと同じ戦い方にはならないですよ」
「ほう……?」
スギヤさんが何かを察したような含みのある笑みを浮かべる。どうやら私が何を言おうとしているのか分かったみたいだ。
「『分裂』を単体で扱える、そんな人物に心当たりでもあるのですかな?」
「その質問だとクガさんって答えちゃいますけど、そうじゃなくて私が練習して使いこなせないか試したいなって思いまして」
新しい戦い方を学ぶ良い機会になれそうだと思ったし、『分裂』の魔力を使いこなせればゴウさんとの差も縮まるかもと思ったからだ。
「その向上心はさすがです。では一つは『分裂』と『力』に限定しましょうか。メンバー内にも誰か使ってみたい人を募集してみましょう」
「私は普通に自分でも使っていきたいし、スロ三がもう一つ手に入ったら入れてみます」
今後の目標が決まってまた明日から頑張ろうと気持ちを改める。
――ゴウさんみたいに『分裂』を操れたら……!
その未来の自分の姿を楽しみにしつつ、スギヤさんとの話し合いを続けていく。
「では次に検討したいのが……」
「ただ今戻りました……!」
そんな状況下で、いきなりドアを開けて会議室に入り込んできた女がいた。その女はいきなり入ってきた無礼も気にしないどころか、さらに私の姿を見付けては睨み付けていた。
――私がここにいるのが随分とご不満みたいですね、ミストさん?
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