50 / 61
6戦目
決着
しおりを挟む
「認めない認めない認めない!」
スギヤさんが勝敗を宣言し、すでに私はリリィの出迎えを受けながらフィールドを降りたところだった。ミストは相変わらずの怒りの形相で私に剣を突き付けていた。
「……勝敗はスギヤさんも認めているけど?」
ミストの方に振り返る前に、スギヤさんにもう一度確認を取る。
「最後のミストの攻撃の前に、エレアさんが放った火球がミストに当たっています。威力も申し分……」
「そういう事じゃない!」
スギヤさんの言葉を遮る形だったけど、その言葉がスギヤさんではなく私に向けられているのが口調から分かる。彼女は勝敗を認めないと言っているのではなく、おそらく勝敗が決したとしても私の『ワンアタック』加入を認めないと言っているのだろう。次の言葉でそれも確信できた。
「スギヤさんの事を侮辱したあんたなんか、絶対に認めない!」
マチカゼ道場に来る前から、そしてここに来てからもずっと私を敵対視していたのは、最初のあの邪魔発言が原因だったのだ。
――まあ想像通りだったわね。直接何かした事もないし。
スギヤさんに対して失礼な事を言ったのはもうすでに謝っているし、スギヤさん自身もそれを許してくれている。
しかしミストはまだそんな事を知らない。今更第三者に掘り返されるような事でもない。しかしこれ以上いがみ合うのも疲れるだけだし、何よりそれでスギヤさんに迷惑がかかるのは避けたい。
「そうね、あの場にはミストもいたし、ここで清算しておきましょう」
私は剣を置いて、膝を折って地面に手を付けた。
「な、何をして……」
「あの時は失礼な事を言って、ミストの逆鱗に触れてすみませんでした」
そして額も地面に付けた。スギヤさんにだってここまで正式な土下座で謝罪してないけど、ミストの怒りを鎮めるにはこれくらいしないと駄目だと思った。
「……」
地面に頭を付けているから、ミストが今どんな表情をしているのかは分からない。ただ何となくさっきまでの険悪な雰囲気が徐々に緩くなっていく感じはした。
「ミスト……」
しばらくの沈黙の後、スギヤさんが見かねたのか最初に声をかけた。それからすぐにミストから頭を上げるように言われた。
「……」
ミストの表情は一応柔らかにはなっているけど、まだ私に対して気を許した感じにはなっていなかった。
「口では何とでも言えるもの、あなたが本当に反省しているかどうかは今後しっかりチェックさせてもらうから」
そう言うとフィールドから降りて、スギヤさんが持っていた魔力剣をこっちに持ってきた。
「『分裂』を使いこなすんでしょ? 早速今日から訓練に入っても問題ないわよね?」
手渡し、というか押し付ける感じで渡してきた。少しだけ棘のある、しかし前よりかは親しみが持てる感じにはなっていた。
「当たり前よ。ミストとの実戦なんて大して疲れなかったし」
「言うじゃない。せいぜい私の魔力剣を無駄にしない事ね」
「もう私のですよ」
お互いに邪悪な笑みを浮かべながらも、魔力を付与するために魔法使いのメンバーの所に向かう事にした。
急に仲良くなった感じになった私とミストの会話に入り込めず、リリィとスギヤさんは遠巻きに見ていた。
「あれは、仲良くなったって事で合ってるんですか?」
「合ってる……かな?」
スギヤさんが勝敗を宣言し、すでに私はリリィの出迎えを受けながらフィールドを降りたところだった。ミストは相変わらずの怒りの形相で私に剣を突き付けていた。
「……勝敗はスギヤさんも認めているけど?」
ミストの方に振り返る前に、スギヤさんにもう一度確認を取る。
「最後のミストの攻撃の前に、エレアさんが放った火球がミストに当たっています。威力も申し分……」
「そういう事じゃない!」
スギヤさんの言葉を遮る形だったけど、その言葉がスギヤさんではなく私に向けられているのが口調から分かる。彼女は勝敗を認めないと言っているのではなく、おそらく勝敗が決したとしても私の『ワンアタック』加入を認めないと言っているのだろう。次の言葉でそれも確信できた。
「スギヤさんの事を侮辱したあんたなんか、絶対に認めない!」
マチカゼ道場に来る前から、そしてここに来てからもずっと私を敵対視していたのは、最初のあの邪魔発言が原因だったのだ。
――まあ想像通りだったわね。直接何かした事もないし。
スギヤさんに対して失礼な事を言ったのはもうすでに謝っているし、スギヤさん自身もそれを許してくれている。
しかしミストはまだそんな事を知らない。今更第三者に掘り返されるような事でもない。しかしこれ以上いがみ合うのも疲れるだけだし、何よりそれでスギヤさんに迷惑がかかるのは避けたい。
「そうね、あの場にはミストもいたし、ここで清算しておきましょう」
私は剣を置いて、膝を折って地面に手を付けた。
「な、何をして……」
「あの時は失礼な事を言って、ミストの逆鱗に触れてすみませんでした」
そして額も地面に付けた。スギヤさんにだってここまで正式な土下座で謝罪してないけど、ミストの怒りを鎮めるにはこれくらいしないと駄目だと思った。
「……」
地面に頭を付けているから、ミストが今どんな表情をしているのかは分からない。ただ何となくさっきまでの険悪な雰囲気が徐々に緩くなっていく感じはした。
「ミスト……」
しばらくの沈黙の後、スギヤさんが見かねたのか最初に声をかけた。それからすぐにミストから頭を上げるように言われた。
「……」
ミストの表情は一応柔らかにはなっているけど、まだ私に対して気を許した感じにはなっていなかった。
「口では何とでも言えるもの、あなたが本当に反省しているかどうかは今後しっかりチェックさせてもらうから」
そう言うとフィールドから降りて、スギヤさんが持っていた魔力剣をこっちに持ってきた。
「『分裂』を使いこなすんでしょ? 早速今日から訓練に入っても問題ないわよね?」
手渡し、というか押し付ける感じで渡してきた。少しだけ棘のある、しかし前よりかは親しみが持てる感じにはなっていた。
「当たり前よ。ミストとの実戦なんて大して疲れなかったし」
「言うじゃない。せいぜい私の魔力剣を無駄にしない事ね」
「もう私のですよ」
お互いに邪悪な笑みを浮かべながらも、魔力を付与するために魔法使いのメンバーの所に向かう事にした。
急に仲良くなった感じになった私とミストの会話に入り込めず、リリィとスギヤさんは遠巻きに見ていた。
「あれは、仲良くなったって事で合ってるんですか?」
「合ってる……かな?」
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『追放された底辺付与術師、実は【全自動化】のチートスキル持ちでした〜ブラックギルドを追い出されたので、辺境で商会を立ち上げたら勝手に世界規
NagiKurou
ファンタジー
「お前のような、一日中デスクに座って何もしない無能はクビだ!」
国内最大のギルド『栄光の剣』で、底辺の付与術師として働いていたアルスは、ある日突然、強欲なギルドマスターから追放を言い渡される。
しかし、彼らは知らなかった。ギルドの武器の自動修復、物流の最適化、資金管理に至るまで、すべてアルスの固有スキル【全自動化(ワークフロー構築)】によって完璧にシステム化され、回っていたことを。
「俺がいなくなったら、あの自動化システム、全部止まるけど……まあいいか」
管理権限を解除し、辺境へと旅立ったアルス。彼は自身のスキルを使って、圧倒的な耐久力を誇る銀色の四輪型重装ゴーレムを作り出し、気ままな行商を始める。
一度構築すれば無限に富を生み出す「全自動」のチートスキルで、アルスの商会は瞬く間に世界規模へとスケールしていく!
一方、すべてを失ったギルドは、生産ラインが崩壊し、絶望のどん底へと突き落とされていくのだった……。
回帰した貴公子はやり直し人生で勇者に覚醒する
真義あさひ
ファンタジー
名門貴族家に生まれながらも、妾の子として虐げられ、優秀な兄の下僕扱いだった貴公子ケイは正妻の陰謀によりすべてを奪われ追放されて、貴族からスラム街の最下層まで落ちぶれてしまう。
絶望と貧しさの中で母と共に海に捨てられた彼は、死の寸前、海の底で出会った謎のサラマンダーの魔法により過去へと回帰する。
回帰の目的は二つ。
一つ、母を二度と惨めに死なせない。
二つ、海の底で発現させた勇者の力を覚醒させ、サラマンダーの望む海底神殿の浄化を行うこと。
回帰魔法を使って時を巻き戻したサラマンダー・ピアディを相棒として、今度こそ、不幸の連鎖を断ち切るために──
そして母を救い、今度こそ自分自身の人生を生きるために、ケイは人生をやり直す。
華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
はぎわら歓
恋愛
国家占い師である胡晶鈴は、この中華・曹王朝の王となる曹隆明と結ばれる。子を宿した晶鈴は占術の能力を失い都を去ることになった。
国境付近の町で異民族の若い陶工夫婦と知り合う。同じく母になる朱京湖とは、気が合い親友となった。
友人になった夫婦と穏やかな生活を送るはずだったが、事情のある朱京湖と間違えられ、晶鈴は異国へと連れ去られてしまった。京湖と家族の身を案じ、晶鈴はそのまま身代わりとなる。
朱彰浩と京湖は、晶鈴の友人である、陸慶明に助けを求めるべく都へ行く。晶鈴の行方はずっと掴めないままではあるが、朱家は穏やかな生活を営むことができた。
12年たち、晶鈴の娘、星羅は才覚を現し始める。それと同時に、双子のように育った兄・朱京樹、胡晶鈴との恋に破れた医局長・陸慶明とその息子・陸明樹、そして実の娘と知らない王・曹隆明が星羅に魅了されていく。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
女神の白刃
玉椿 沢
ファンタジー
どこかの世界の、いつかの時代。
その世界の戦争は、ある遺跡群から出現した剣により、大きく姿を変えた。
女の身体を鞘とする剣は、魔力を収束、発振する兵器。
剣は瞬く間に戦を大戦へ進歩させた。数々の大戦を経た世界は、権威を西の皇帝が、権力を東の大帝が握る世になり、終息した。
大戦より数年後、まだ治まったとはいえない世界で、未だ剣士は剣を求め、奪い合っていた。
魔物が出ようと、町も村も知った事かと剣を求める愚かな世界で、赤茶けた大地を畑や町に、煤けた顔を笑顔に変えたいという脳天気な一団が現れる。
*表紙絵は五月七日ヤマネコさん(@yamanekolynx_2)の作品です*
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる