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昼間では絶対に気が付かない店
なめろうと唐揚げオクラポン酢としいたけの炙り2
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きょろきょろきょろきょろと周りを見るがなかなか皆たばこを吸わない。きんえん~~?居酒屋で~?そんなはずないだろと思いながらも一言聞けない僕。お通しの山菜をちびちびつついて胃を起こす。 山菜は詳しくないのだがこれはたぶんわらびだ。ぬめりのあるしゃっきりとした茎に思わず箸が進む。
「お待たせしました。なめろうです」
頼んでおいた肴が届きだす頃には一杯目のビールは空になっていてなめろうを受け取りながらお代わりを頼んだ。なめろうは薄いハンバーグを網で焼いたものをそのまま生にしたような見た目で、網目が付いているおかげで一口分が取りやすい。わさびをちょいと乗っけてひょいっと口に載せる。とろとろに口の中で溶けていき魚介の風味が広がりつんっとわさびが突き抜ける。メニューを見たときはあまりに豊富な肴の数に随分迷ったがなめろうを選んだのは大当たりだったと自画自賛。
ひょいぱくひょいぱくなめろうを蹂躙していくとついにカウンターのお客さんがたばこを吸い始めてくれた。待ってましたと火を付けたい所だが灰皿がないのですぐさま店員さんに灰皿を要求。すぐさま和風な陶器の灰皿が届きやっと一服。ふぅーーーと一息ついてやっと腰が据わる感じがした。しばらくするとカウンターで唯一開いていた僕のとなりの席が埋まる。祝日とはいえ平日にカウンター満席、しかも結構速い時間。店員さんから灰皿が足りないのでとなりの方と共同で使用してほしいとの事。喫煙者は年々減ってるなんて絶対嘘だろう。僕の周りは吸ってない人間のほうが少ないぞ。
「お待たせしました唐揚げオクラポン酢です」
唐揚げオクラポン酢。声に出して読みたい日本語とはこういう物じゃないだろうか。
唐揚げという揚げ物のざらざらした表面をオクラのぬめりが潤滑油になりするすると胃に入っていく。ポン酢のさっぱりとした風味のおかげでしつこさもなくいくらでも食べる事ができそうだ。
「お待たせしましたしいたけの炙りです」
魚 肉 野菜 ここに三種の神器集う。野菜と言うかきのこだが細かい事は気にしない。肉厚で広い傘は軽くあぶられてすでに鼻腔をくすぐっている。口に残るなめろうと唐揚げの塩気を頼りにでしいたけを頬張るとくすぐる程度だった香りは突風のように鼻を突き抜け、もにゅもにゅと咀嚼するごとに舌の上がキノコのうま味が広がっていく。何よりなのはまだ肴がバランスよく残っている事だ。生ものであるなめろうはそろそろ空けたほうがいいだろう。合間にしいたけ、次は揚げ物ながらもさっぱりと口に運べる唐揚げオクラポン酢。あーーほんとに語呂がいい。周りに人がいないことを確認して声に出してみてほしい。そしてしいたけ。延々と続く卓球のラリーのようにテンポよく組み合わせて肴を使っていく。ビールでほっと一息胃を洗いラリーを再開。そうしているうちにすっかりお腹いっぱいになってしまった。
この店は本当にメニューが豊富でどうせならもっと色々頼みたかったが値段はほどほどボリューム満点でお腹が先にギブアップしてしまった。何度も訪れたいが今日の様子だといつも混んでいる。隠れ家のような佇まいながらやっぱり人は見ているんだななんて思った。
「お待たせしました。なめろうです」
頼んでおいた肴が届きだす頃には一杯目のビールは空になっていてなめろうを受け取りながらお代わりを頼んだ。なめろうは薄いハンバーグを網で焼いたものをそのまま生にしたような見た目で、網目が付いているおかげで一口分が取りやすい。わさびをちょいと乗っけてひょいっと口に載せる。とろとろに口の中で溶けていき魚介の風味が広がりつんっとわさびが突き抜ける。メニューを見たときはあまりに豊富な肴の数に随分迷ったがなめろうを選んだのは大当たりだったと自画自賛。
ひょいぱくひょいぱくなめろうを蹂躙していくとついにカウンターのお客さんがたばこを吸い始めてくれた。待ってましたと火を付けたい所だが灰皿がないのですぐさま店員さんに灰皿を要求。すぐさま和風な陶器の灰皿が届きやっと一服。ふぅーーーと一息ついてやっと腰が据わる感じがした。しばらくするとカウンターで唯一開いていた僕のとなりの席が埋まる。祝日とはいえ平日にカウンター満席、しかも結構速い時間。店員さんから灰皿が足りないのでとなりの方と共同で使用してほしいとの事。喫煙者は年々減ってるなんて絶対嘘だろう。僕の周りは吸ってない人間のほうが少ないぞ。
「お待たせしました唐揚げオクラポン酢です」
唐揚げオクラポン酢。声に出して読みたい日本語とはこういう物じゃないだろうか。
唐揚げという揚げ物のざらざらした表面をオクラのぬめりが潤滑油になりするすると胃に入っていく。ポン酢のさっぱりとした風味のおかげでしつこさもなくいくらでも食べる事ができそうだ。
「お待たせしましたしいたけの炙りです」
魚 肉 野菜 ここに三種の神器集う。野菜と言うかきのこだが細かい事は気にしない。肉厚で広い傘は軽くあぶられてすでに鼻腔をくすぐっている。口に残るなめろうと唐揚げの塩気を頼りにでしいたけを頬張るとくすぐる程度だった香りは突風のように鼻を突き抜け、もにゅもにゅと咀嚼するごとに舌の上がキノコのうま味が広がっていく。何よりなのはまだ肴がバランスよく残っている事だ。生ものであるなめろうはそろそろ空けたほうがいいだろう。合間にしいたけ、次は揚げ物ながらもさっぱりと口に運べる唐揚げオクラポン酢。あーーほんとに語呂がいい。周りに人がいないことを確認して声に出してみてほしい。そしてしいたけ。延々と続く卓球のラリーのようにテンポよく組み合わせて肴を使っていく。ビールでほっと一息胃を洗いラリーを再開。そうしているうちにすっかりお腹いっぱいになってしまった。
この店は本当にメニューが豊富でどうせならもっと色々頼みたかったが値段はほどほどボリューム満点でお腹が先にギブアップしてしまった。何度も訪れたいが今日の様子だといつも混んでいる。隠れ家のような佇まいながらやっぱり人は見ているんだななんて思った。
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