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お友達のお兄さん
しおりを挟む日が暮れてきてそろそろ帰りたいのだがエトワールの話が終わらないわ
別に一緒にいるのは苦ではないから良いのですけど
「おや? こんな時間までお茶会かい? エトワール」
ようやく第三者が声をかけてきた
このお茶会がお開きになって帰ることが出来ると思いほっとしたのだけど
「!? お、お兄様?!」
まさか、フロスティが声をかけてくるなんて思ってもいなかったわ
私は立ち上がり後ろにいらっしゃるフロスティに淑女のようなカーテシーをする
普段はやらないけどちゃんとした相手にはしないと失礼ですものね
あ、因みにこの世界では上の者から声を掛けなけられなければ話してはいけないの
え?7人の守り人達ですって?
彼らからは家族のように接してほしいと言われているのでノーカンよ
「今日はお仕事で、屋敷にいらっしゃらないと聞いたのですけど…」
「遠縁から今帰ってきたばかりだよ」
「そうでしたの」
フロスティは人の良さそうな笑顔で此方を見た
「久しぶりだね、ルベライト」
「はい お久しぶりでございます、フロスティ様」
見た目とは似合わない笑顔が怖いわ
昔は儚げで照れながら笑っていたのに今では笑顔が通常
それ以外の表情を見なくなったわね
「エトワール、今何時だと思っているんだい?」
「えっ… 日が暮れてきてますわね」
「そうだね、 で?」
どうやら、エトワールは怒られているようだわ
早めにこの場から居なくなりたいのですけど
エトワールがチラチラと此方を見てくるのよね
「…フロスティ様、私がエトワール様を引き留めてしまっていましたの」
「ルベライト、エトワールを庇わなくても良いんだよ ずっと聞いていただけじゃないか」
おう…
どうやら、見られていたらしいわ
「これ以上暗くなる前に帰った方が良い」
「そうですわね…、お父様も心配なさってると思いますものね」
「トロッコに乗れば直ぐだとしても夜は危ないからね」
エトワールの顔の色が夕日にあたっているはずなのに青く見えるわ
フロスティって怒ると怖いって言っていたものね
「…そうですわね。トロッコの場所までは少し歩きますものね」
私が考えるような素振りを見せるとエトワールはなにか良いことが思い付いたかのように
良い笑顔で此方を見た
「そうですわ! ルベライトに何かあっては行けませんもの! お兄様がトロッコの所まで送ってくださりませんか?」
「……」
なにか言いたげだったがエトワールは言葉を続けた
「そうですわよ! 大切な友人のルベライトに何かあっては困りますもの!」
別に一人でも大丈夫ですけど
私一人で狼を討伐できるレベルですし、守られなくてもなんとかやっていけますわ
「ほら! お兄様! ルベライトのことお願いしますわね!」
エトワールはそういうと逃げるかのように居なくなってしまった
「…はぁ、まったく エトワールは」
「フロスティ様 私は一人でも大丈夫ですわ」
「そう言うわけにはいかない エトワールにも頼まれてしまったし それに…」
まるで何かあるかのように少し間を作る
私じゃなく何処かの令嬢とか女の子とかでしたら期待しますわよ?
「妹の大事な友人だからね」
「ふふふ、良い兄妹ですわね」
「… さぁ、お手をどうぞ ルベライト」
「そこまでしてくださらなくても大丈夫ですわ」
私は手をとることはせずにこりと笑う
いつもよりは早く帰れると言うことに
父さんに話したいことが出来たのだから
「ルベライト」
「はい?」
「今度来るときは私のところにも顔を出してほしい」
私は足を止めた
急に意味不明な事を言ってきたからだ
彼の考えていることはよくわからない
「君もエトワールの様に私の妹のような存在だからね」
「そこまでお会いした事がないはずなのですが」
「…エトワールと似た波長をしてて一緒にいるのが嫌ではないのでね」
「あら、私はフロスティ様に怒られるようなことはしてませんよ?」
怒らせないように気を付けますわ
ギリギリのラインの事が多いと思いますけどバレないように隠密で行動しますわ
「ふっ、そうだね 君はそういうことはしないだろうね」
まるで私の事を知っているかのようでちょっと変な感じですけど
目を細めて楽しそうに私を見ているのは嫌ではないですわ
「怒られない範囲だろうけど、お転婆過ぎるのは気を付けた方が良い」
トロッコの乗り方について言われたのでしょう
一人の時やるときと同じようにジャンプして乗り込みましたからね
「…気を付けますわ」
「前に 人前では と付きそうだが」
「…… ここまでありがとうございましたわ」
フロスティの言葉に否定はせずお礼を伝えた
お家に帰るためにトロッコを動かす
「エトワールとこれからも仲良くしてくれるとありがたい」
「友人でいる限りはですが」
フロスティに聞こえるか聞こえないかわからない音声で返事をした
まぁ、もうトロッコは動いているので姿は見えなくなっているから
返事は誰にも聞かれることは無かったんですけどね
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