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一章
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しおりを挟むあの日から私はリーネと話せなくなっていった
リーネは才能がないということで私とは違う勉強を始めた
私は全てを覚えなければならないということで
あまり家にいれなくなった
お母さんはごめんねと謝るようになり
お父さんは寂しそうな顔をするだけであまり話さなくなった
理由は私がリーネの色を奪ってしまったからだろう
「ただいま」
1年経って家にいるよりも外にいる時間の方が長くなっていた
別に嫌ではない
そう言い聞かせて、明日の支度を始めようと私の部屋へ向かうとリーネがいた
「おかえり! お姉ちゃん!」
夜だというのにリーネの髪は炎の明かりに照らされてとても綺麗だ
「うん、ただいま。」
私は少しそっけない返事を返して隣を抜けようとしたところ
「ねぇ、お姉ちゃん」
リーネに呼び止められた
「わたしね、モノトーンだからって気にしてないんだよ?」
ヘラッとさっきまで笑っていた顔はなく、本当に同じ年なのかなと思うような真剣な顔で私を見ている
「むしろ、ごめんなさい。」
「え…?」
「…だって、一人でつらい思いしてるでしょ?」
ぎゅっと抱き締められた
「わたしがちゃんと受けとっていれば、モデレートなんかにならなくてすんだでしょ?」
「いや、それは私が…」
「うばってなんかいないよ! わたしのお姉ちゃんだもん! わたしがいやがったからもらってくれたんでしょ!」
その言葉で目の前が滲んできた
「生まれるまえはほしくなくって、それがわかったからもらってくれたんだよ!」
「…私は、」
「ふっふー! さっすがお姉ちゃん! ありがとう!!」
「っ…」
「だから、気にしなくていいんだよ! だから、だから…、もっといっしょにいたいよぉ」
リーネの抱き締める力が強くなるにつれて私はリーネの背中に手を回して抱き締める
「ご、ごめんねっ…」
私たちはその場で座り込み二人で泣いた
いつぶりだろうかと思い出せないくらい涙を流した
涙がおさまった頃には二人で寝てしまったらしく
起きたらベッドにいた
体を起こすとお母さんとお父さんが優しそうな顔で私たちを見ていた
「…お母さん? お父さん?」
首をかしげて言うとお母さんは驚いたあとに泣きはじめてしまった
私は何事かとびっくりしているとお父さんが口を開いた
「ティーセ もし、嫌じゃなければ父さんと母さんに魔法を教わらないか?」
「…お父さん?」
「全てがわかるわけではない だけどね」
優しく笑うお父さんの顔は久しぶりに見た
その前に、お父さん、お母さんっていつぶりに本人に向かって言ったんだっけ…
「家族なんだから頼って欲しいんだよ」
「…」
「そーだぞー、たよれー!」
いつの間にか起きていたリーネは
嬉しそうに笑う
まるで、こうなるように仕向けたかのように
「…うぃっ!」
私はお父さんに抱きついた
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