(仮)ヒロイン達は前世の記憶持ちの悪役令嬢に嫌われているらしい

灯月

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一章

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空は晴天で風は涼しく
庭園には様々な花が咲き誇っており
そんな所の木陰で私たちは話をしていた

「昨日は妹であるリーネの不注意を許してくださりありがとうございます。」
「ちょっと、お姉ちゃん堅いよ!」
「いえ、こちらこそぶつかってしまった上に帰る時間よりも遅く帰宅させてしまい…」
「二人とも! そろそろやめてってば!!」

二人で本当に幼い子供なのかと思うような会話をしているとリーネが頬を膨らます

「さっきも、いったと思うけど! 二人とも気にしなくて良いし、と言うか仲良くしようよ!!」
「でも…」
「ですが…」
「でもも、だっても 関係ない!! 私は二人に仲良くなってもらいたいのっ!!」

子供らしく怒るリーネに少し困り、どうしたら良いかとリーネから視線をそらすと
リーネとまた約束をした優しい色の髪の子であるロイと目があった
どうやらロイも同じ事を思っていたようでなんだか少しおかしかった

「聞いてるの?」
「えぇ、わかったわ 可愛い妹の為だものね。さっきも名乗ったけど 私はティーセよろしく」
「うん、リーネのお願いだしね 僕はロイよろしく」

私たちは手を握り会う
まるで旧友と出会えたことを喜ぶかのようなあつい握手をした

「…?」

ロイはリーネを困らせないし傷つけたりしないであろうと確信したからだ
きっとロイも私を見てそう思ったのだろう
この日から私はロイと友達になったのだ

彼がとても重要な事を隠しているとは知らずに

「んー、なんか 納得いかないけど… 二人が仲良くなったようだからいいかな?」

リーネは首をかしげながらそういった

「僕はそろそろ、帰らないとだから… またあえるかな? リーネにティーセ」
「! もちろん!! あ、次は一週間後で良い?」
「大丈夫だよ! 僕もそれくらいになりそうだと考えてたところだから」

嬉しそうに笑うロイはとても眩しかった
私はなるほどと理解し二人の次の約束を聞いていた

「またね! ロイ!」
「うん、リーネ! ティーセもまたね」
「ええ。…あ、ロイ リーネは手強いと思うよ?」
「!!?」

私は思い出したかのように去り際に
リーネの耳に届かない程度の声量でそう言うと
ロイはその言葉の意味がわかったらしく耳を真っ赤にした

「気を付けてね」

この先どうなるのかが私はとても楽しみになった
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