(仮)ヒロイン達は前世の記憶持ちの悪役令嬢に嫌われているらしい

灯月

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一章

5

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「んー」
「お父さん、手止まってる」
「もう少し、時間くれ」

私はお父さんが持ってきた今巷で話題らしいゲームをして遊んでいる
内容はとても簡単で自分の色に染めれば良いという遊びだ
魔力を使い様々な色で遊ぶことができる
ちなみに、魔法が使えなくても一緒についてきている駒を使えば遊べるものなので
リーネと遊ぶ事もできるのだが、リーネはこういった頭を使うものがあまり得意ではないらしく
あまり遊んでくれない

「はー、参った」
「ふふふ、お父さんの負けね。」
「いや、いつの間にかティーセは強くなったな」

お父さんは困ったように笑う
私も初めはすごく苦戦した
勝てないときの方が多く、悔しくて勝てるように勉強したのだ

「あら、お父さんの方が負けたのね」
「やった! お姉ちゃんありがとう!」

リーネは嬉しそうに飛び上がりお父さんの腕を引く
普段はやらないのだが
今回は私が勝ったらリーネを街に連れていって欲しいと約束したのだ
別にそんなことしなくとも連れていってくれるのだが
何故かリーネが約束したいのだと珍しいことを言ったためである

「あぁ、まったく しょうがない子達だ」
「誰に似たのかしらね」

私たちのやり取りをみてお母さんは嬉しそうに笑う

「…確実に俺だな リーネ、明後日なんだからそんなに急かさなくても良いだろ?」
「そうだけどー、嬉しいんだもん!」
「そんなに、体力が余ってるようなら 少し薬草でも取りに行くか?」
「行く! お姉ちゃんはどうする?」

いつの間にか篭を持ったリーネが聞いてくる
私は横に首を降り家に残ることを伝えた

「お父さんからの宿題もう少しで終わるし、読みたい本もあるから今日は家に残るわ」
「えー」
「リーネみたいに毎日外にいくのは疲れるのよ?」

別に病気とか体が弱いわけではない
行くと言っている場所が家から遠いのだ
家からその場所まで行き、用事を済ませ 帰ってくるのに夕方までかかるのだ
リーネとお父さんならそんなに時間を掛けずに行けるが
私やお母さんはそこまで体力がない
つまりは私が行くとお荷物確定なのだ

「ちぇー。」
「この時間からでは仕方ないさ、リーネ行くぞ?」
「はぁい! 次の時は行こうね!」
「えぇ、リーネが早起きできたときにね」

二人は走って薬草を摘みに向かっていった
お母さんは二人が見えなくなるまで手を降り終えると
ご飯作らないとと言って厨房へと向かう
私は先程までやっていたゲームを片付けようとしていた

〈ティーセ、私と今日は対決してくれないのか?〉

先程までお父さんが座っていた場所に優しく私へ微笑みかけている整った顔の人がいる

〈やるのは、構わないけど… 私じゃ相手にならないよ?〉
〈構わない。 私はそなた、ティーセと遊びたいのだよ〉

口から出す言葉ではなく
気持ちや思念を伝えるような会話をする
前まではこんな事出来なかったのだが、ある日を境に出来るようになった
そのある日というのが目の前にいる彼と出会った日である

〈相変わらず、ティーセの色は綺麗だ〉
〈ありがとう ムストの色も綺麗〉

私の色はリーネの髪のような優しい淡い色を使う
それに比べて彼、ムストは暗めで引き込まれるような色を使っている

〈気に入っていただけて光栄だよ〉
〈先手貰うわね〉

ムストと出会ったのは結構最近なのだが
ムストからしたら昔から側にいたらしい
つまりは私がムストの声を聞けるようになり、姿が見えるようになったのはここ最近ってことだ

〈あぁ、どうぞ。〉

ムストと出会ったときはとても驚いたのをいまだに覚えている
最近だってこともあるが、宙に浮いて月夜に涙しており
とても神秘的で美しかったからだ

〈おや、珍しいところに置くね〉
〈ちょっとやってみたい方法があってね〉
〈それは、楽しみだ〉

たまに、美しい音が聞こえると思ったらムストの歌声で
目があったときはムストは歌うのを止め
じっとこちらを見ていた
時が止まったかのようにどちらも動けなかった

〈…じゃあ、此処かな〉
〈なるほど、〉

私は初めて精霊を見たことになって
ムストは初めて己を見ることができる人に会ったそうだ

〈その配置では甘いですかね〉
〈ん、やっぱし取っちゃうよね〉

元々、人と話をしてみたく
コンタクトをとったらしいが誰にも気づいてもらえず
月に向かって歌を歌っていたらしい
ムスト曰く、力をもらえるらしいが
精霊と人とでは違いが多すぎて無理だろうと私は思っている

〈はい、これでおしまいですかね〉
〈…全て塞がれてる〉
〈いつもとは違い面白い手でした〉

ニコニコと笑ってムストは私の頭を撫でる

〈また、お願いしますね〉

そう言うとムストは姿を消した

「…頑張ります」

次に会ったときは勝ちたいなと思いながら
途中だった片付けを再開する



結局その後はどうしたら勝てるかと様々な作戦を練っていたせいで
本を読むことや宿題をやることを忘れ
二人が帰ってきたときに思い出したのだ

「えー、なら一緒に来ればよかったじゃん!」
「…」

リーネのその言葉に言い返す言葉が浮かばず
小さく頷いた
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