(仮)ヒロイン達は前世の記憶持ちの悪役令嬢に嫌われているらしい

灯月

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一章

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あのお茶会からリーネと私はルドと何度か遊んだ
ルドはリーネをからかうことが気入ったらしく
女の子には出来なそうな事ばかりやってみせた
リーネもリーネで負けずとついていこうとするが
毎回私が2人を止める
どちらにも怪我をされては困るのだ

お母さんと行ったあのお茶会から
私たちは他のお茶会にも呼ばれるようにもなった
お母さんのお友達さんのケイトさんが私たちを気に入ってくださったらしく
よく、遊びにいくようになった

「どーしよ…」

今日はそのお茶会からの帰りだ
今回はお母さんは一緒ではなく、馬車も街のものを使った
久々に2人で街に行ったので彼に会えないかとあの場所に向かうまでは良かった

彼というのはロイのことである
私は家で勉強することが増えたため
約一年くらい彼に会ってない
リーネも最近は会えていないらしく
せっかくだから行こうと来たのだ

「しっ… なんで、人拐い達が」

来た結果、知らない大人達がおり
遠くから会話を聞いていたところ、彼らが人拐いということがわかり
逃げようとしてリーネが転び彼らにバレた
で、今は彼らから逃げ隠れているところだ

「…気配を消すとか、まだ覚えてないのに」
「どうしよう お姉ちゃん…」

横を見ると今にも泣き出してしまいそうなリーネ
私だって怖い
でも、泣いてる場合ではないし
少しでもリーネを元気付けようと笑いかける

「大丈夫だから」
「…うん」

近くで声がする
息を殺してばれないように 

「おい、あの子ども共居たか?」
「いやいねぇ。」
「俺らが探してるのは男だからそこまでして探さなくてもいい」
「…だが、見られましたぜ?」
「は、子どもが言ったとこでばれやしねぇーよ」

人拐い達は嫌な笑いかたをする

「それにここら辺は崖が多い。 落ちてたら助からねぇーよ」
「確かにな! 俺らも崖から落ちる前にずらかるぞ」

人拐いが居なくなったのを確認したあと
私はリーネの方を向く

「あれ…? リーネ?」

いるはずのリーネがそこにはいない
周りを探すが近くには居ないようだ

「り、リーネ!!」

まさか、人拐いに見つかったのではないかと
焦って名前を呼びながら闇雲に走る

〈ティーセ、そっちではない。 一度落ち着いて黒を使えるか?〉
〈えっ、あ。ムスト…そ、そうね ムスト力を貸して〉

私は深呼吸をして
まずは落ち着かせる
次に目を閉じてまだ使いなれていない黒をムストに手伝ってもらいながら行う
黒は闇を使うことができる
暗くなってきた今、人探しをするのには一番いい魔法だ

「っ、見つけた!」
〈崖から落ちかけているな〉
「冷静に言ってないで!」
〈前に伝えたとおりに、私はティーセ以外には力を貸せない〉

「わかってる! 、リーネ!!」
「お、お姉ちゃんっ!」

リーネはムストが言っていた通りに崖から落ちかけていた
私はリーネを引き上げようと手を差し出した瞬間
足元の土がずれた

「え」

足場が落ちたためリーネも私も落ちる

「お、お姉ちゃん!?」
「リーネ!」

私は必死にリーネに腕を伸ばして、つかんだ
リーネを引き寄せて少しでも衝撃を和らげようと頭を抱き締める
どうか、この子だけでも助けてくれと

〈ティーセ、彼女の…リーネの色が感じ取れるか?〉
〈急に、〉
〈リーネの色、わかるか〉
〈…えぇ、わかるけど?  あ、あれ? これって〉

私は急に言われてそんな事今してる場合ではないと抗議するが
言われて気付いた
リーネの色は無いわけではないことに

〈あぁ、そうだったのね〉
〈ティーセ、導いてやれ〉

私はいつも使うように、力を込める
リーネの色と混ぜて

「!!?」
「はぁ…、よかった」

私たちは優しい光に包まれて浮いていた
これはまだ私一人では使うことのできない白の単体魔法

「お姉ちゃん…?」
「ふふふ、リーネもわかるでしょ? これが色なのよ」

私は抱き締めていた力を抜き
リーネにも見えるように体制を変える

「私にも、使えたの?」
「えぇ、ただ一人で使うには大変そうね」

きっとリーネだけでは安定しないであろう
二人でようやく使うことが出来たのだから

「す、すごい! え、本当に!?」
「本当の本当だよ!」
「私、モノトーンなのに?」
「モノトーンだからだよ!」

前にムストに聞いたことがある
モノトーンとは白から黒で作られた色の事だと
まぁ、実際に今まで魔法が使えたことがないため
白すぎて又は黒すぎて何もないと勝手に魔法が使えない勘違いしていた

〈その通り、モノトーンは白と黒のみが使える〉
「!? え、声!!」
「リーネにも聞こえるようになったの?」

ムストの声を聞いてリーネは辺りをみる
まぁ、誰も居ないのだが

〈ティーセの魔法に触れて使えるようになったからか、聞こえるようになったようだな〉
「そうなんだ」
「え、私ついてけてないよ!?」

私たちは元の場所に戻ってきた
ようやく地に足をつけることができ
いつの間にか魔法は消えていた

〈はじめましてだな、モノトーンと呼ばれしリーネよ〉
「ーーー…」

普段ならば直ぐに返事するのに
リーネは何も言わなかった
私は不思議に思いリーネを見た

「…え?」

この時のリーネの顔を私は一生忘れないであろう
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