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遺棄事件と見えないドア5
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クラスメートに「犬殺し」と呼ばれて、私は学校に行かなくなった。きっかけは、犬の大量遺棄事件から二日後のことだった。
親の仕事の関係で、中学三年の二学期に、東京都から埼玉県の学校に編入することになった。受験の時期に引っ越しなんて嫌だと思ったけれど、高校は私立を目指していて内申点は関係なかったし、私の成績なら問題なく入学できるはずだった。だから、親に嫌な顔を見せずについてきた。
しかし、埼玉県の学校は思った以上に田舎だった。家の場所が悪すぎた。山の中腹にあったのだ。
元々私は、東京都渋谷区に住んでいて、通学や買い物に不便を感じたことがなかった。しかし今の家の周辺には、徒歩圏内にコンビニすらない。
環境の変化に対応できなかった私は、荒れた。親に反抗的になったし、口にこそ出さなかったものの、クラスメートを田舎者だと馬鹿にしていた。こんな態度では嫌われると分かっている冷静な私が頭の片隅にいるのに、止められなかった。
下校の途中、橋の上から河原に向かい、拳ほどの石を投げた。思いきり投げると、少しは気分が晴れる気がした。何度か投げていると、「キャン」と犬の鳴き声がした。声の方を見ると、川辺を犬と散歩していたらしいツインテールの女の子が、悲鳴を上げながら小型犬を抱きしめているところだった。
私はとっさにしゃがんで、身を隠した。
私のせいじゃない。
石は誰もいないところに投げていた。じゃあ、あの犬はどうしたというのだろうか。
「……」
答えは分かっていた。跳弾したのだ。岩か何かにぶつかって跳ね、石が犬に当たってしまったのだろう。否定したかったけれど、それしか考えられなかった。
謝りに行かなきゃ。
そう思ったけれど、怒られるのが嫌だった。問題を起こしたと、親や学校に知られるのが怖かった。
私は迷った。周囲には誰もいない。石を投げていたことは、誰にも見られていないはずだ。
体温が上昇して、握った手が汗に濡れた。
結局私は、走ってその場から逃げてしまった。
――翌日。
教室に入ると、クラスの雰囲気が違った。
親の仕事の関係で、中学三年の二学期に、東京都から埼玉県の学校に編入することになった。受験の時期に引っ越しなんて嫌だと思ったけれど、高校は私立を目指していて内申点は関係なかったし、私の成績なら問題なく入学できるはずだった。だから、親に嫌な顔を見せずについてきた。
しかし、埼玉県の学校は思った以上に田舎だった。家の場所が悪すぎた。山の中腹にあったのだ。
元々私は、東京都渋谷区に住んでいて、通学や買い物に不便を感じたことがなかった。しかし今の家の周辺には、徒歩圏内にコンビニすらない。
環境の変化に対応できなかった私は、荒れた。親に反抗的になったし、口にこそ出さなかったものの、クラスメートを田舎者だと馬鹿にしていた。こんな態度では嫌われると分かっている冷静な私が頭の片隅にいるのに、止められなかった。
下校の途中、橋の上から河原に向かい、拳ほどの石を投げた。思いきり投げると、少しは気分が晴れる気がした。何度か投げていると、「キャン」と犬の鳴き声がした。声の方を見ると、川辺を犬と散歩していたらしいツインテールの女の子が、悲鳴を上げながら小型犬を抱きしめているところだった。
私はとっさにしゃがんで、身を隠した。
私のせいじゃない。
石は誰もいないところに投げていた。じゃあ、あの犬はどうしたというのだろうか。
「……」
答えは分かっていた。跳弾したのだ。岩か何かにぶつかって跳ね、石が犬に当たってしまったのだろう。否定したかったけれど、それしか考えられなかった。
謝りに行かなきゃ。
そう思ったけれど、怒られるのが嫌だった。問題を起こしたと、親や学校に知られるのが怖かった。
私は迷った。周囲には誰もいない。石を投げていたことは、誰にも見られていないはずだ。
体温が上昇して、握った手が汗に濡れた。
結局私は、走ってその場から逃げてしまった。
――翌日。
教室に入ると、クラスの雰囲気が違った。
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