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陽菜乃 合宿二日目 昼
陽菜乃 合宿二日目 昼 その5
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「みんな、これを見てくれ」
狼煙グループのメンバーが紙に注目する。
「なんや、これ」
「今夜も一人犠牲になるって、また誰か殺されるってこと?」
奈月が声を震わせた。
「今キャロルの部屋に行ったら、ベッドの上に置いてあった。一応聞いておくけど、これを置いたのは誰だ?」
龍之介の問いに返事はない。
「まあ、そうだよな」
龍之介はまた紙を二つ折りにして腕を組んだ。蒼一が口を開く。
「ここにはプリンターがない。だからキャロルの件に便乗して、そのプリントを作ることはできない。ということは、キャロルを殺害した者とプリントを用意した者は同一人物だろう。事前にプリントを準備して、この合宿に持ち持ち込んだはずだ」
蒼一は先程の龍之介と同じようなことを言った。
「ならば、持ち物検査をするべきだろう。他にも似たようなプリントを持ってきているかもしれない」
「持ち物をみんなに見せるの? そんなの嫌だよ」
「なぜ?」
「いろいろ入ってるんだよ。プライバシーの侵害よ!」
奈月が抵抗する。
「私だって、できれば見せたくないよ。でも緊急事態だから」
陽菜乃は奈月の肩に手を乗せた。
蒼一はメンバーを見回して口を開く。
「キャロルを探しながら考えていたんだ。俺たちは家探しした。その間は空き室の鍵も、俺たちの部屋の鍵も解放して、誰でも自由に入れるようにした。でも貴重品は身に着けていたし、なによりキャリーバッグには鍵がかかっていた」
「そんなの当然だよ。キャリーバッグがいくら大きいからってキャロルが収まるわけないんだから、関係ないもん」
「そうか?」
蒼一は奈月に揶揄した視線を送る。
「だって……、無理でしょ」
奈月はその視線に怯える。
「キャロルをあの姿のまま入れようと考えるから無理なんだろ。バラバラにしていたらどうだ」
奈月が真っ青になる。
「やだやだ、もうやだよう」
奈月は陽菜乃に抱きついた。
「蒼一、言い過ぎ」
陽菜乃は奈月の背中をなでながら蒼一を睨んだ。
「現実的でもない。俺たちが寝泊まりしている個室は、バスやトイレがない。いくら死体だといっても、刻めばそれなりに血も出るだろうし、そもそも重労働だ。誰にも見られず、証拠も残さずに切断して隠すなんて不可能だろう」
龍之介の言葉に、蒼一は肩をすくめた。
「そうだな。バラバラにすると言ったのは冗談だ」
「どえらい冗談言うな! 性質が悪いわ」
和樹が抗議した。
「だが、キャリーバッグに隠していると疑っているのは本当だ。死んでいるなら、それこそ腕や足を折ったところで問題ない」
「蒼一、サイテー」
奈月が憤って声を荒げる。
「なんとでも」
蒼一はなにを言われても、変わらず涼しい顔をしている。
「疑っていたから、俺は一応全員のキャリーバッグの匂いを確認した。特に生臭いということもなかったから、可能性は低いと思うが、この際はっきりさせるべきだろう」
「そんなことまでしてるなんて、変態だよう」
奈月は陽菜乃にしか聞こえないくらいの小声で呟いた。
狼煙グループのメンバーが紙に注目する。
「なんや、これ」
「今夜も一人犠牲になるって、また誰か殺されるってこと?」
奈月が声を震わせた。
「今キャロルの部屋に行ったら、ベッドの上に置いてあった。一応聞いておくけど、これを置いたのは誰だ?」
龍之介の問いに返事はない。
「まあ、そうだよな」
龍之介はまた紙を二つ折りにして腕を組んだ。蒼一が口を開く。
「ここにはプリンターがない。だからキャロルの件に便乗して、そのプリントを作ることはできない。ということは、キャロルを殺害した者とプリントを用意した者は同一人物だろう。事前にプリントを準備して、この合宿に持ち持ち込んだはずだ」
蒼一は先程の龍之介と同じようなことを言った。
「ならば、持ち物検査をするべきだろう。他にも似たようなプリントを持ってきているかもしれない」
「持ち物をみんなに見せるの? そんなの嫌だよ」
「なぜ?」
「いろいろ入ってるんだよ。プライバシーの侵害よ!」
奈月が抵抗する。
「私だって、できれば見せたくないよ。でも緊急事態だから」
陽菜乃は奈月の肩に手を乗せた。
蒼一はメンバーを見回して口を開く。
「キャロルを探しながら考えていたんだ。俺たちは家探しした。その間は空き室の鍵も、俺たちの部屋の鍵も解放して、誰でも自由に入れるようにした。でも貴重品は身に着けていたし、なによりキャリーバッグには鍵がかかっていた」
「そんなの当然だよ。キャリーバッグがいくら大きいからってキャロルが収まるわけないんだから、関係ないもん」
「そうか?」
蒼一は奈月に揶揄した視線を送る。
「だって……、無理でしょ」
奈月はその視線に怯える。
「キャロルをあの姿のまま入れようと考えるから無理なんだろ。バラバラにしていたらどうだ」
奈月が真っ青になる。
「やだやだ、もうやだよう」
奈月は陽菜乃に抱きついた。
「蒼一、言い過ぎ」
陽菜乃は奈月の背中をなでながら蒼一を睨んだ。
「現実的でもない。俺たちが寝泊まりしている個室は、バスやトイレがない。いくら死体だといっても、刻めばそれなりに血も出るだろうし、そもそも重労働だ。誰にも見られず、証拠も残さずに切断して隠すなんて不可能だろう」
龍之介の言葉に、蒼一は肩をすくめた。
「そうだな。バラバラにすると言ったのは冗談だ」
「どえらい冗談言うな! 性質が悪いわ」
和樹が抗議した。
「だが、キャリーバッグに隠していると疑っているのは本当だ。死んでいるなら、それこそ腕や足を折ったところで問題ない」
「蒼一、サイテー」
奈月が憤って声を荒げる。
「なんとでも」
蒼一はなにを言われても、変わらず涼しい顔をしている。
「疑っていたから、俺は一応全員のキャリーバッグの匂いを確認した。特に生臭いということもなかったから、可能性は低いと思うが、この際はっきりさせるべきだろう」
「そんなことまでしてるなんて、変態だよう」
奈月は陽菜乃にしか聞こえないくらいの小声で呟いた。
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