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初夜
しおりを挟む……そんな気合を入れていた時もあった。
俺は今、殿下との披露宴で御馳走をたらふく食べている時間だったハズだけれど、殿下と風呂に浸かっていた。
ヴェールが上がると、
「待ち望んでいたぞ、レオナルド!」
レオナルドとは俺の名だ。
……ってか、キス顔キモっ
耳元で囁かれ、そして誓いのキスを……し……し……し…………………………
全然終わらない長く深いだけのキスの最中、俺は気を失ってしまった。
で、ところどころ意識が戻って感じたのは、下からのアングルの殿下の喉仏や、抱き上げられて揺られる心地良さから来る睡魔、あとは、ヤケに殿下からいい匂いがすることくらいだろうか。
再び意識が浮上した時には、既に全裸で、殿下に後ろから抱きしめられるように、湯に浸かっていたのだった。
「……ん?」
「おや、目を覚ましたのかい?」
目覚めたら、やたらと甘い殿下の声の直後、右の首筋を舐められた。
瞬間、飛び出す鳥肌。
「え?」
「レオナルド。
そなたの誓い通り、私が生涯かけてそなたを愛してやるぞ。安心しろ。」
殿下は言いながら、湯の中で俺の股間を揉みしだき始めた。
大きな硬い手に、半ば握り潰さんばかりに扱かれると、自然と声が出てしまう。
「アンっ…うぅ……ひゃ…あっ……」
「もっと啼いて…私を感じて……」
突然始まった快楽の沼から抜け出したくて浴槽の縁に掴まれば、殿下が後ろから覆い被さってきて、俺の後ろから硬いものが入ってきた。
「……う……かはっ……苦し…………」
「ハァ……レオナルド……この締付け、夢みたいだ…………」
そうこうしている間に、尻から続く違和感の元が壁にぶつかって止まった。
「フフ…フフフ……はぁ…念願叶ってここで出してしまいそうだ……堪えろ…堪えろ私……」
俺は、嫌悪感に気が遠くなりそうだった。
湯に浸かっている筈なのに、鳥肌が立つ。
殿下の声が気持ち悪い。
殿下の、フガフガいう呼吸音も気持ち悪い。
背中に触れる、殿下の数本の胸毛にゾワゾワする。
「すぐに善くしてやるぞ、オナル!」
愛称の付け方にセンスがない。
「どうだ? どうだ?」
慣れてみると、小さくて細い。
「いい……気持ちいいぞ………」
どこがだ? 何の取っ掛かりもないぞ。
「はぁ…出る……出るぅ………」
出せ…出しちまえ…終わらせろ!
殿下は、雄叫びを上げながら果て、そのままアホ面で気を失った。
「よ、い、しょっと!」
俺は、殿下の下から這い出すと浴室を後にした。
なぜか俺の服はなく代わりにビラビラの夜着が置いてあったので、殿下の服を借りて廊下に出た。
……ってか、この服臭い。
殿下から香ってたコロンは良い匂いだったのに、殿下の体臭が俺にとっては悪臭だったようだ。
俺は吐き気を催して壁に凭れかかった。
「あれ? どうしたのさ、ルド。妹の偵察に来たのか?」
廊下の向こうからやって来たのは、チャール第4王子だった。
学園での友人の顔に気が緩んだ俺は、友に向かって盛大にリバースした。
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