4 / 49
本編
4
しおりを挟む「……ん?」
目覚めると、夕暮れ時だった。
変な体勢で眠ってしまったので、首が痛い。
首を撫でながら体を起こすと、
「お姫ぃさま、目覚めなすったか?」
意外と近いところから、老婆の声がした。
「だあれ?」
訊ねると、
「ミーヤでございます。王妃様より、今この時より、お姫ぃ様のお世話をするよう言付かりました。」
と答える。
「そう。ありがとうございます。ミーヤ。」
「さぁ、明かりを灯しましょう。」
ミーヤが窓の間やチェストの上のランプに火を入れてくれたので、あっという間に室内が明るくなった。
ミーヤの顔がよく見えるようになると、
「お姫ぃさま、お風呂へ入られてはどうかの?
着替えは、王妃様のを借りてきたけんど、その胸じゃ、こっちのが良いかも知れんね。」
最初に出してきたのは、きらびやかな装飾のある豪奢なドレス。
次に出したのは、実用性のある動きやすそうなワンピース。
私は即座に後者に手を伸ばすと、ミーヤに案内されて浴室へと向かう。
猫足の華奢なデザインの浴槽を見、それから自分の胸や尻の凹凸を見下ろすと、迷わずシャワーを借りることにした。
出るのは水だろうと思っていたのに人肌のお湯で驚くが、浴室にあったシャンプー、トリートメントにコンディショナー、ボディソープは全て日本語表記で、この場所が本当にR18かはともかく日本のゲームの世界…に、似た世界だと思わずにはいられなかった。
スッキリさっぱりとして、髪の水分を軽くタオルで吸収させ、《とぐろ》のように巻いてからタオルを被り、ワンピースを着る。
既製品のように《もうちょっと胸が広ければ》ということはなく、どちらかと言えば少し余裕のあるデザインに嬉しくなる。
そのまま居間に戻れば、ミーヤがドヤ顔で出迎えてくれた。
「やっぱりそのサイズでよぅございましたね。」
「あの、このワンピースは…」
「はい。わたしのです。わたしは、自分で産んだ年子の双子と息子、第2・第3王子殿下方の乳母をしておりました。
その時の、爆乳時代の服にございます。」
「え……でもこの服、まだ胸に余裕があるわよ?」
「はい。それはもう肩が凝って、お腹が空いて、母乳製造機のようでございましたから。」
遠い目をしたミーヤに、私は想像するのをやめた。
「この服は、この胸の下のリボンを絞ることでスッとしたデザインにもなります。
そうする場合にはこの上の紐を調節して、これをここに隠して…ほら、また少し違うでしょう?」
「えぇ、そうね。」
それから、先程の黒髪の青年が食事の時間を知らせるまで、ミーヤと爆乳あるあるで盛り上がった。
0
あなたにおすすめの小説
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
『嫌われ令嬢ですが、最終的に溺愛される予定です』
由香
恋愛
貴族令嬢エマは、自分が周囲から嫌われていると信じて疑わなかった。
婚約者である侯爵令息レオンからも距離を取られ、冷たい視線を向けられている――そう思っていたのに。
ある日、思いがけず聞いてしまった彼の本音。
「君を嫌ったことなど、一度もない」
それは誤解とすれ違いが重なっただけの、両片思いだった。
勘違いから始まる、甘くて優しい溺愛恋物語。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
〖完結〗終着駅のパッセージ
苺迷音
恋愛
分厚い眼鏡と、ひっつめた髪を毛糸帽で覆う女性・カレン。
彼女はとある想いを胸に北へ向かう蒸気機関車に乗っていた。
王都から離れてゆく車窓を眺めながら、カレンは夫と婚姻してから三年という長い時間を振り返る。
その間、夫が帰宅したのは数えるほどだった。
※ご覧いただけましたらとても嬉しいです。よろしくお願いいたします。
【完結】捨てられ令嬢の冒険譚 〜婚約破棄されたので、伝説の精霊女王として生きていきます〜
きゅちゃん
恋愛
名門エルトリア公爵家レオンと婚約していた伯爵令嬢のエレナ・ローズウッドは、レオンから婚約破棄を宣言される。屈辱に震えるエレナだが、その瞬間、彼女にしか見えない精霊王アキュラが現れて...?!地味で魔法の才能にも恵まれなかったエレナが、新たな自分と恋を見つけていくうちに、大冒険に巻き込まれてしまう物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる