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本編
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しおりを挟む「まぁ、おいおいで構わないよ。ほら座って。食べよう。」
「はい。」
それから、私達はその場で食事をした。
厚焼きのベーコンも、カフェオレも、オムレットもトーストも美味しかった。
「リッカ様、あたしたちそろそろ仕事に戻りますね。」
「いや。今日はシュカ達の仕事は休みだ。私と一緒に辺境騎士団の詰所へ行こう。
父様も挨拶したいって言ってたし、二人とも《愛し君》の雄姿を見たくないかい?」
「(ライド様の)………見たいです。」
「私も!」
「それじゃ、二人とも私服に着替えておいで。正面エントランスに集合だ!!」
「「はい!」」
朝食室から戻ると、私はライド様に戴いたワンピースに戴いた蒼の髪飾りを合わせ、組紐は手首にぐるぐると巻き、使用人寮の部屋から出た。
すると、すぐの廊下でシュカと会った。
「あらフレリア、かわいいじゃない。
あ、でもその服装でこの街は歩けないわよ?」
私は、最初こそニコニコしていたものの、頭の中が疑問符で溢れる。
「あのね。その服は領の外の服でしょ? 他所者扱いされて店に選ばれちゃうし、騎士たちにも一線引かれちゃうわ。」
「えー?」
「それに、旦那が妻にその服を着せて他人から冷遇されるのを見るのを好んでいるとされて、加虐趣味があるのかと勘違いされるわね。」
「そんなに?」
シュカは神妙な面持ちで頷いた。
「なら、ソレで行って、途中で着替えましょうよ! リッカ様にお願いしてみるわ。」
シュカに手を引かれて辺境伯邸へ向かった。
普段は仕事中の時間。でも丁度その道中を仕事でもあるだろうけれど邸宅外を出歩いている人は多い。
案の定、《信じられない》という視線をだいぶ浴びてしまった。
「仕方ないじゃない。《知らなかった》んだから!」
シュカが悪態をつきながら歩いて行くと、立派な玄関扉の前に少々場違いな質素な馬車が停まっていた。
窓からはリッカ様が手を振っている。
シュカと私は、飛び込むように馬車に乗ると、そのまま馬車は出発した。
「何ですか、リッカ姉様、その変な笑みは。」
ガタゴトと進む馬車の中、最初に口を開いたのはシュカだった。
シュカは、淡紅色を基調とした可愛らしい服を身に纏っている。
卒業式に袴で参加するおばちゃん先生がリボンの胸章を付ける位置から垂れ下がる桜の花のモチーフが揺れるのも、とても似合っている。
サイドの髪を捩りながらハーフアップにした後ろの纏まりにも、同じモチーフの、垂れ下がる簪が使われているのもかわいい。
ちなみにこの領の馬車は、中央の通路に向かい合うように横向きに座席が並んでいる。
これは、有事の際にどの馬車でも騎士を移送するため、1台で運べる人数を最大限にするための仕組みなのだとか。
今回は王都でもよく見掛けるサイズ感だけれど、ギュウギュウに座れば20人の移送も可能な長さのものもあるそうだ。
ここまでやって来る時に乗った《寝台にも座席にもなる馬車》でもかなり大きかったので、とても驚いた。
さて。話が脱線してしまったので元へ戻すと……
リッカ様はニマニマした笑いのまま、答えた。
「マダムの店を予約したんだ。騎士団の詰所の前に、そこでフレリアを着飾せようと思って。
シュカは……」
「この、ハンスから贈られた装いで会いに行きたいです!」
「だよね~。ってことは…」
「はい。あたしも参戦致しますわ!」
私はその後よく似た笑顔の姉妹にニマニマ見詰められながら、どこか落ち着かないまま馬車に揺られることになるのだった。
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