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本編
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しおりを挟む『フレリア…なぁ、フレリア…?』
──んんぅ? だあれ?
『わいや、わい。剣精サマや!』
──え? 剣精サマ…?
私はゆっくりと目を覚ます。
暗い部屋に目が慣れると、久々になる成人サイズの剣精サマが私を組み敷いていた。
「ひゃん!」
咄嗟に体を捩って逃げようとするも、しっかりと私の手首を握る剣精サマから逃げることはできなかった。
『静かにしい! わいはたぶん暫く出て来られん。砦の方に嫌な気が発生したやさかい、ちょっと偵察に行かなあかんねん。』
──嫌な気?
『そうや。あの日、わいとフレリアが出会った日ぃ、ライドを導いたあの場所にあったんと、おんなし気ぃや。』
──え? 入学式?
『せや。わいの守りは暫く、結界だけになる。だからフレリアよ、充分に注意して過ごすことや。ええな?』
──わかったわ。
『それから、ライドの方もピンチ…いや、腕の見せ所やな。クライマックスやな。』
──クライマックスって! ライド様が危ないの?
『いんや、試練やな。』
──試練?
『やから……』
──んふっ
剣精サマは、強く深くねっとりとしたキスをしてから、だんだんに体を透けさせ、そのまま消えてしまった。
私の体の上には魔術師の組紐がだらりと落ち、その後は何だか胸騒ぎがしてなかなか寝付けなかった。
翌朝……
朝食の席にリッカ様は現れず、代わりに現れたのは辺境伯夫人だった。
朝食の配膳をしている私をチラチラと、でもニヤニヤと変な目付きで見ながら、食事を終えて口元を拭ったナフキンを捨てながら口を開いた。
「あぁ、そうだったわ。昨夜、辺境騎士団の詰所が何者かに襲撃されたんですって。
詰所に滞在していた団長以下全騎士団員の安否は不明なのですって。
もし、このままライドも命を落とすようなら、アンタはこの家とは何の関わりもなくなるのだから、荷物を纏めて出て行きなさいよ! アハハ……」
夫人は、夫である辺境伯様が心配ではないかのように、愉しげに笑う。
「あぁ、安心して。もし辺境伯様も命を落としてしまっても跡継ぎは居るから。アハハハハ…愉快だわ……」
夫人が退室して扉が閉まると、シュカが崩れ落ちるように倒れてしまう。
「父様、母様、ハンス……どうして? 昨日はあんなに元気だったのに……」
シュカは顔を覆って泣き出してしまった。
私はシュカを励ましながら使用人待機室を通って寮へ戻った。
シュカが眠ったのを見届けると、胸元に揺れる組紐を握り締め、目を閉じる。
──ライド様、皆様、どうかご無事で!!
お屋敷に居た方が、悪い知らせであれ夫人から最新の情報を得られるだろう。
私は、再び辺境伯邸へ戻った。
─・─・─・─・─
皆さま、良いお年をお迎えください!
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