【本編完】しがない男爵令嬢だった私が、ひょんなことから辺境最強の騎士と最強の剣の精霊から求愛されている件について A-side

325号室の住人

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本編

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ザシュッ
ピギィィィーーー!!
グワッ
シャーーーーンッ

「はぁ、はぁ、あと何体居るんですか?」
「バテたのかい、ライド!」
「いいえ! ただ、朝日が恋しくなっただけですよ!」
「だぁーーー!! それは良かった。森の奥にまだまだ何層にもなってる。あと100か? 1000か?」

ピギィィィーーーー…
シャーーーーンッ

「ただ、こうしてシャーーーーンッと消えてしまうんだ。骸の片付けがないだけラクというものだろう。」
「そういうものですかね。」
「そうさ!」

「ウゥゥゥーー、バオゥッ!」
グワッ
シャーーーーンッ

「マーロン、あっちだ!」
「ワオゥッ!」
「本当に元気なカップルですね。」






ここだけの話、辺境伯家の長女のリッカ嬢と砦の副団長のマーロン殿は、つい先ごろ婚姻を果たした。

ライドとフレリアが第5の中をデートした日、辺境伯騎士団の詰所の副団長であるミレア様の魔法で隣の領へデートへ向かった2人。

「リッカ……」
「マーロン。」

王都の軍服のコートと王都で流行りのワンピースに身を包んだ2人は見つめあって手を取り合う。
顔と顔を寄せ合い、鼻と鼻が触れ合った時にミレア副団長に転移させられた。

《もう、あんたたち見てて疲れるわ。さっさとくっついちゃいなさい!》

ミレア副団長の声が頭の中に響いたその瞬間、2人は急な転移でバランスを崩し、唇と唇を触れ合わせてしまった。
互いの体に雷が落ちたようにビビビッと電気が走ったような気がした直後、

リンゴーンッ リンゴーンッ

教会の鐘がなり、2人はハッと体を離した。
自分達がどこにいるのかを把握した2人は焦った。
そこは、隣の領で流行っている宗教の施設の祭壇の前だったからだ。

「おぉ! 突然現れたあなた方は神の子。我々は祝福しましょう。あなた方は今ここに結ばれた。さぁ、サインを。」

言われるがままにサインをすると、

「この書類は我々が責任を持ってこの国の役所へ届けましょう。若い2人の旅立ちに幸あれ!!」

そのまま2人は手を取り合って教会を出ると、領境を越えて自領とも先程の領とも接しているまた別の領へとやって来た。

いよいよ最初の目的であるデートをと思った2人だったのだが、何故か2人とも体が火照って仕方ない。
そのため2人は最寄りの宿屋へ駆け込んだ。

初めて会った時から、リッカとしては初恋、マーロンとしては運命のつがいだと予感があった。
この度、初めてのキスをしたことで、確かに《運命の番》だと2人の体が反応したのだ。

宿屋の最上階の扉を閉めた瞬間、2人は2度目とは思えないような、深く長いキスを交わした。
そしてそのまま、1つしかない大きなベッドに倒れ込み、つがいの契を交わした。
……のだが、マーロンの体内に溜まりに溜まった子種を大放出した直後から、何故か狼獣人であるマーロンの獣化が解けなくなってしまった。

もちろん、獣化を解くためにいろいろなことを試した。
水の入った盥に投げ込む、大火傷をしそうな湯を浴びせかける、椅子に座らせて食事をさせる、もう一度リッカと体を重ねる…いや、流石にこれは未遂で終わったが………
しかし、マーロンの獣化はどうしても解けなかった。

諦めた2人が宿屋を出ると、自領と国境である森との間にある砦の方角が黒い煙に包まれていることに気付く。
狼化したマーロンは背にリッカを乗せ、走りに走った。

不思議なことに、マーロンの足元には時々抹茶色の丸い影ができ、その上を跳び渡る度に瞬間的に2人の体が消えながら進んでいるのだが……
どうやら本人達は気付いていない様子。

マーロン副団長、君…転移魔法が使えるようになっちゃってるよ~。


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