【本編完】しがない男爵令嬢だった私が、ひょんなことから辺境最強の騎士と最強の剣の精霊から求愛されている件について A-side

325号室の住人

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本編

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ドッシャーーーーン!
バシャァァンッ!!
「「「「「おおおおおーーーーー!!!」」

やって来たあの草原。
その先の断崖絶壁のその向こうの海では、巨大蛸と第5戦艦とが今まさに死闘を繰り広げていた。

第5所属の騎士…いや、剣士たちが各々の得物を手に、果敢に巨大蛸に向かっている。

ドォォォン!!

巨大蛸の足の1本が第5の甲板を襲えば、

「「「「「「ウオォォォーーー!!!」」

幾人もの剣士が各々の得物を巨大な足に突き立てる。

ザアァァァーーーンッ

巨大蛸の足の吸盤が第5に貼り付き、ひっくり返し転覆させようとすれば、

「「「「「「なんのこれしきぃぃ!! 第5はそんなにヤワに作っとらんけぇ!!!」」

第5の技術屋達が、機関室にて自らの筋肉に物を言わせ、ハンドルを力いっぱい開放し、

タタタンッ

巨大蛸の吸盤が次々剥がれ、怒った巨大蛸が今度は甲板目掛けて足を2本叩き付け、他の2本の足で第5を巻き付け締め付ける。

「「「「「「負けてたまるか!!」」
「今だ! 全て切り落としてやります!!」
「「「「「「「うぉぉぉぉー!!」」

ハンスの剣が煌めき、5本の足を胴体から切り離した。

ギュヤアアァァァーーー…

巨大蛸─タコチン─と、第5所属の面々との戦いは続く。






私は、断崖絶壁の上から見降ろしていた。

もちろん、見えているのは米粒大のわらわらと、新品の消しゴムサイズの船と飯蛸だ。

「おみゃーさんには見えのんか? 今タコちんの足がひーふーみー…5本、胴体から離れて…いや、うまくしよったのう、5本全て甲板に打ち込んどる。今年は大豊漁じゃて。」
「副団長様、目が良いのですね。」
「あぁ。ワシは老眼じゃて。近くより遠くのが得意なんじゃ。」
「そうなんですね。」

「お! あと2本もやりよったばい! じっちゃん!」
「ほうほう。ぁあー! 何をのんきに。ちゃっとやらんかね。だだくさ時間を使いよってからに!!」
「そぎゃん…ぐらしかよ!」

──どうやらお二人も転生者みたいね。どの方言なのかしら。全然わからないわ。

「わけくちゃわからんか?」
「え?」
「あぁ、何もわからないか?」
「そうですね。」
「おるがらはぁ~」
「へ?」
「俺達は、みんな第5から始めるからね。しかもタコちんとの死闘は第5の最終試験なんだ。じっちゃはもう、何十回と見てるからな。いつもこの場所で見とるらしい。」
「はぁ……」
「そっちじゃない? あぁ、言葉のこと? 俺達転生しても、ちょっと方言残っちゃうみたいなんだよ。
特に興奮してくるとね。辺境騎士団なんてそんなんの集まりだから、みんなのが交ざって何だかもうわからんくなってぇ~。」

副団長様の側近様は、困ったように頭を掻いた。

「そうなんですか。」
「おみゃーさん、わかっとらんかったんか。ワシはてっきり、戦いの行方が見えてないだけじゃと…」
「大丈夫ですよ。わかったところもありましたから。」
「はぁ…だんだん。」
「だんだ…?」
「あぁ、《ありがとう》って。じっちゃに気ぃつこうてくれたんやろ?」

私は、曖昧に笑った。


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