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本編
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しおりを挟む陽の出を迎えた砦の上では、夜通し戦った満身創痍の男達が雑魚寝している。
そんな中で、大鍋に炊き出しのいい匂いが町の方から上がって来る。
比較的体力の残っていたライドとシュカ、気付けばいつの間にか人化していたマーロンが、町へ降りた。
「あ、副団長さんだ! おーい!」
町の方から小さな男の子が手を振る。
「砦を、町を守ってくれたんだって? ありがとね、みんな。」
「これは騎士団員の分だからね。どんどん食べとくれよ!」
「ありがとう、皆さん。戴きます。」
気付けば全裸で人化していたマーロンは、砦内の自室で辺境騎士団の制服に着替えている。
一晩中戦い切ったリッカとライドと比べ服が小綺麗に感じるのはそのせいである。
3人を代表してマーロンが答えると、リッカとライドも温かな豚汁を受け取った。
すいとん入りで腹にも溜まり、温かい汁で体が温まる。
3人が1杯目を終える頃、砦内からは次々と足ガクガク腕プルプルの騎士達が合流して炊き出しの豚汁を食べた。
体が温まってくるとどこからか音楽が鳴り始め、それに指笛が加われば踊り始める者も現れ、酔っている者はいない筈なのに皆で陽気に歌い踊る輪ができた。
「お兄ちゃんも踊ろうよ!」
小さな女の子がライドの前にやって来た時だった。
ライドの足元へライドがすっぽり収まる程度の円が出現し、足元からの白い光に包まれた。
『ライド、今度はあっちがピンチやぞ。マーロン、リッカよ、ここはおまえらに頼むやさかい、ライドとわいは詰所へ戻るで。』
「心得た。」
「ライド、いってらっしゃ~い。」
「え? もう? 俺は体がガタガタなのだが? ギャー…」
ライドは己の得物である最強の剣と共に、円に吸われるように姿を消した。
「んぎゃ!」
『味方は商隊。辺境騎士団の制服のモンが敵や!』
「わかった!」
転移した先では、大人数が斬り合い…いや、峰打ちによる打ち合い?叩き合い?が繰り広げられていた。
コチンッ
グエッ
バサッ
ゴチンッ
へあっ
バサッ
峰打ちされて一声上げるとその場に倒れる。
が、倒れた者はその場から動かないのに、いくら昏倒させても後から後からやって来る。
そのうち、足の踏み場がなくなるほど人が倒れているようになってきて、ライドは草履を袴の腰紐に突っ込み、裸足で移動しながら相手と戦った。
陽が南中まで昇り切った頃、ようやく騎士団の制服の人間の最後の1人が、グエッと倒れた。
その時、断崖絶壁のある方から、何とも芳しい匂いが漂ってきた。
「タコパだぁ!」
誰かが叫ぶ。
すると、それまで昏倒していた者たちの半分も起き出し、次々断崖絶壁から海へダイブして行った。
「は? みんな何を?」
『何ゆうてんねん! タコパに参加するんやろが。わいらも行くで!!』
鞘に収めた筈の剣精に腕を引かれ、出遅れて最後になってしまったライドもとうとう、断崖絶壁から跳び下りた。
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