【本編完】しがない男爵令嬢だった私が、ひょんなことから辺境最強の騎士と最強の剣の精霊から求愛されている件について A-side

325号室の住人

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その後のお話を少々(ここからは不定期更新となります)

  その1

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『フレリアぁ、シよう。』
「何をですか…って、《剣精サマ》ではないですか。ご無沙汰しております。」
『そう、そう、それや。わいの惚れたんは、その笑顔や!』

フレリアはわいの言葉に首を傾げる。
かわいい! 好きだ!! いつか抱きたい!!!
わいは前世の記憶を振り返った。

わいの前世での記憶は、高3の夏までやった。
それ以降は受験勉強やら部活引退やら諸々あって、記憶の濃度が薄い気ぃがするんや。

それが、たった11ヶ月しか違わない癖にまだ高2で青春真っ盛りな弟がやっていたゲームで、わいの記憶はバラ色になった。

恋をしたのだ。

ゲームのヒロイン、フレリアに。

フレリアは、最終的には登場人物の男という男に抱かれる。

ロマンチックだったのは僅かで、酷かったり、激しかったり、変態チックだったり、性奴隷のようだったり、いろいろな方法でヤられ、喘いでいた。

でも、わいが好きになったのはエロシーンやない。その前の、相手役の男達と恋に落ちて、だんだんその気持ちを意識し、告白するまでの期間の、恋するフレリアに恋をしたんや。

それで、わいの成績は大変なことになった。

高3の夏休み直前、希望していた5番目の学校まで全てが圏外になった。
でもわいには、後悔などなかった。

フレリアの恋を見守ることだけが、わいの生きる希望やったからや。

でも、思えば《見守り方》があかんかったんやろう。
わいは、弟がプレイする画面の中のフレリアに恋をしていたから…

ある日、弟が言った。
わいのことを《キモい》と。
そんなに気になるなら、自分でゲームを買ってプレイしろと。

その日は朝からクーラーの調子が悪くて、室内は室外と同じくらい暑かった。
やから、たぶん弟もイラついていたんやろう。

どこからかナイフを取り出すとわいの胸をぷすりと刺し、そのまま引き抜いた。

弟は、あんなに震える手ではナイフを掴んでいられなかったのだろう。
その場にナイフを落とし、奇声を発しながら玄関を飛び出した。



わいは、その場で膝をつき、そのまま横に倒れた。
目の前には、わいの血の付いたナイフ。

もうダメだと思ったその時、わいの頭に走馬灯のように駆けたのは、フレリアと、一番応援していた《剣聖》と呼ばれていた攻略対象の騎士のスチル。

「生まれ変わったら、フレリアのいる世界に行きたい。《剣聖》と呼ばれる強い男になって、フレリアをあいつらから守りたい!」
『よし、その願い、儂が叶えてやろう。』

目が覚めたら、フレリアのいる世界で《剣精》になっていた。

──神様よ、《ケンセイ》違いやろうが!!!

わいがこの世界で最初に叫んだのは、この言葉だった。






で、それからウン100年…
わいはとうとう、フレリアに出おうた。

それにフレリアは、わいにキッスもしてくれた。

わいは《剣精サマ》の持つ様々な力を使って、フレリアを守った。

ケド、やっぱり実体をもっとらんのは不利や!
結局、将来の《剣聖》にフレリアを取られてもうた。






『フレリア、好きやで!』
「《剣精サマ》、まさか今日でお別れですの? フラグ立ってません?」
『わいは消えん! フレリアをイかすまでは!!』
「はぁ。でも《剣精サマ》、私をイかせてしまえば消えてしまうかもしれませんわ。でもそれは嫌。いつまでも、愉快な話し相手になってくださいませんと。」
『フレリア~! わかった。わいはフレリアをイかせん!』
「はい、言質、頂戴致しました!!」
『なんやと? でもイかせんでも、キスくらいはしたる!』

チュッ

「…んっ……あんっ! どこにキスしてるの!」

「いやぁ~んっ!!!」

バシッ

『あう~っ』

フレリアのビンタは、今日も強烈だった。


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