旦那様と私の、離・婚前旅行

325号室の住人

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離・婚前旅行 2日目 昼

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二日目はギリギリ午前中に宿を出た私達。
まぁ、乗り込む時にはまたしてもバルトル様に抱えられておりましたが。

後ろの荷台に壊れかけの(応急処置的に修理済)大きな桶を載せて出発した馬車は、意外と直ぐに城下を出て、大門を通過。領地へ向けて最初の宿場町を目指します。

城下の大門の先は、急に小麦畑が広がっている。

バルトル様によると、この小麦畑は全て王城と城下の街で消費するものの半分だと言う。

もう半分は、王城を挟んだ反対側の門の外で時期をずらして生産されているそうで…
見渡す限りの小麦畑に圧倒される私を乗せた馬車は、小麦畑の間の舗装されていない道をガタゴトと進む。

今日の宿はこの小麦畑の先とのこと。

お昼ごはんは、馬車の中で摘めるサンドウィッチを用意してもらった。

「バルトル、そろそろお昼を召し上がる?」
訊ねれば、
「あぁ。俺はエリサで良い。」
言うなり口付けてきた。

危うく流されてしまいそうになったけれど、バルトル様の胸を叩いて解放してもらった。

「バルトル様! せっかくの旅ですのに何も楽しめませんわ!!
馬車でも宿でもとなれば、わたくしも体が保ちません。」

そう言ってバルトルの対面に掛けて力いっぱい睨み付けるけれど、

「エリサはそんな表情かおもできるのか?」

どろりと溶け出しそうな甘い表情に、自分の睨みの効果のなさを思い知らされる。

なので、真正面から真正直に話すことにした。

「せっかくの旅行なのです。わたくしバルトル様と、その……手を繋いで町を散策してみたいのですわ。」
「俺もしたい。」
「でも、四六時中抱かれて腰も立ちませんもの。抱えられての散策は、わたくしイヤですわ。」
「…………それもそうか。ならば自重しよう。
だから、どうかと呼んでくれ。
俺を嫌いにならないでくれ。」

バルトル様は、狭い馬車内なのに器用に跪かれ、私の足に縋って、膝にご自身の額をグリグリと当てた。

私は彼の髪を指で梳きながら、

「わかりましたわ、バルトル。わたくしとのお約束、守ってくださいまし。」
と、伝えた。

頭を上げたバルトルは満足気な表情で対面の席へ戻ると、サンドウィッチに手を伸ばされる。

何時ぞやの、弟君のサルエル様を思い出してしまう。

「バルトルは、ピクルス食べられるのですか?」
「もちろん! まぁ、小さい頃は食べられなかったけどな。
でも、サルエルみたいに、自分を励まして自分を盛り上げれば食べられた。」

バルトルは言うと、早速ピクルス入りであろうサンドウィッチを食べた。
でも……

「なんだ。この宿のサンドウィッチには入ってなかった…」

すごく悔しそうな表情でいうので、私は声を上げて笑ってしまった。

バルトルは苦笑いをして、そのままパクリと一口に入れてしまうと、あっという間に飲み込んだ。

それから思い出したように私にも一つ差し出す。

「ありがとうございます。」

受け取って食べ始めるけれど、先程の《自分を励まして自分を盛り上げれば》の言葉に、内心溜め息をく。
領地までは、順調に行けばあと二日。そうしたら……この旅が終わったら……

向かいの席のバルトルはそりゃもうすごい勢いで食べて行く。
私が最後の一口を飲み込んだ時には、バスケットの中のサンドウィッチは一つも残っていなかった。

バルトルは、揺れる馬車の中でも関係なくゆっくりと立ち上がると、私に覆い被さるように私の背凭れに両腕をついた。

「エリサが食べたの、味見させて。」

ボソリと呟くと、唇を重ねてきた。

私は急なことに驚いてポカンとしていたので簡単に口内に侵入されてしまい、バルトルが舌を絡める。

普段より短時間で離れてくれたバルトルは色気ダダ漏れという表情で、しかも私の膝には何やら硬いものがグリグリと…

「バルトル。お約束ですもの。この先は、、ですわ。」

告げればシュンッとして、対面へ戻って行かれました。

車窓はまだまだ小麦畑。
宿はまだ先です。


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