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旦那様と私の離婚・直前旅行
しおりを挟むバルトルとの別れの日は、神様が私の願いを聞き届けてくれたようで快晴でした。
どうせそのまま追放されるのです。私の荷物は最低限に。バルトルに貰ったものばかりなので、持ち出すモノは最初の指輪と1日分の着替え。個人資産としては借金だけなので、町へ行ったら娼館で下働きでもさせてもらおうと、お金は持ちませんでした。
代わりにヴィーのものは家具以外のほぼ全てを荷造りしました。
子どもの服ってとても小さいので、全て入れても小さなトランク1つ分に収まるのです。
荷物と共に私が降りて行くと、バルトル…様がヴィーを抱いていました。
2人はとても仲良しで、同じ色合いです。
誰がどう見ても親子で間違うことはないでしょう。
バルトル様のお母様とも同じ色合いですから、これから侯爵家で暮らすことになっても違和感なく過ごせるのではないでしょうか。
私が階段をあと数段に残すところまで来た時、エントランスへサルエル様が到着しました。
以前お会いした時は完全に子どもでしたが、数年のうちにすっかり背が伸びて美少年の殻を破りつつあるという感じです。
バルトル様からヴィーを受け取ったサルエル様が、おっかなびっくり抱っこしていますね。
男子3人、血の繋がりのせいかやはり少し似ていて、微笑ましい光景になっております。
サルエル様とヴィーが兄弟でも通りそうですね。
実際、年の差も実の兄弟のバルトル様とサルエル様より、サルエル様とヴィーの方が近いですし。
私が居なくてもヴィーは幸せに暮らせそうで、ホッとした反面少しだけ寂しくなりました。
バルトル様が私がそこまで来ているのに気付き、私はバルトル様にエスコートされてサルエル様にご挨拶をしました。
上手く笑えていたでしょうか。
「サルエル? ヴィーと先に馬車へ向かったらどうだ?」
バルトル様が私の手を握ったまま言うと、
「えと、あ、うん、それじゃ僕、ヴィーと先に馬車に乗ってるね。」
サルエル様がヴィーと2人で馬車へ向かいました。
バルトル様は私を抱き締めると、
「エリサ……もう……会えなくなるけど、どうか元気で。」
私は胸がいっぱいになって何も答えられませんでした。
暫く抱きしめられていましたが、私は立ちん坊に疲れてしまい、バルトルの胸をパタパタと叩きます。
顔を上げたバルトルは、やっぱり涙を流しており…
離婚してしまう私に対して、優しすぎますよね。
私は、餞別のハンカチで彼の目元を拭って、そのまま渡しました。
それから私は無言のまま、バルトルに背を向けたまま馬車に乗りました。
馬車の中では、サルエル様がヴィーを私に返そうとしましたが、ヴィーはサルエル様から離されると嫌がって泣いてしまい、結局サルエル様が侯爵邸まで抱っこしてくださることになりました。
「ヴィー。あれはベルベルラの花ですよ。」
「キャッキャッ」
「お昼には侯爵邸に到着しますからね。たくさんご飯をたべようね!」
「ちゃうえう!」
「僕のことを呼んでくれたのですか? ヴィー、ありがとう。」
「グフフフ、グフフ…」
サルエル様とヴィーは本当に仲良くなったようですね。
そうこうしているうちに、バルトル様と私の離婚が決定する直前の、短い旅が終わってしまいました。
馬車が隣領にある侯爵邸へ到着したのです。
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