縦ロールができない

325号室の住人

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縦ロールと婚約者

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ルイート 14歳


チュッ
「ん!」

婚約者ラライラの唇の柔らかさを味わおうとしたけれど、胸を叩かれて離れた。
ララは首まで真っ赤で、涙目になって…

──絶対に僕のこと誘ってるよね?

本当にララは思春期の男子を何もわかってないよ。
見た目はこんなにキラキラした王子だって、中身はオオカミなんだよ?

「…ララは、僕のこと、きらい?」

僕は、少しだけ上目遣いになってララを見た。
もう、以前よりだいぶ背が伸びたので、こうやって背中を丸める体勢は辛いんだ。涙が出ちゃう。
でも、その涙がいい仕事をしたようだ。

「ルイ…そりゃ、嫌いではないけれど…」
「だったら! もっと…したいな…」
「う!」

パニックになりつつある婚約者を安心させるようにふわりと抱きしめ、さり気なく膝に乗せると、彼女の髪を撫でながら後頭部をガッチリおさえてキスをした。

「…………んっ…む!…まっ…ひゃ……」

僕はララの唇を力いっぱい吸い、少し息継ぎをすると、小さく開いた隙間から口内へ。
舌を絡めたり、歯列をなぞったり、上顎を舐めたり、喉奥まで攻め立てながら、ゆっくりと彼女の襟を緩め、唇を放すと首筋に痕の残るキスをした。

ガクリッ

甘い肌から唇を離せば、ララは息も絶え絶えになりながら僕の胸に倒れ込んできた。

──本当にかわいいなぁ。

こんなにかわいい婚約者を、僕が手放す訳ないのにね。

僕は、しっかりと瞼をおろしたかわいい婚約者の頰を指先で撫でると抱え上げて寝室へ運び、横たえてから襟元を整える。

──いつ気付くんだろうね…

笑いがこみ上げる。

「ちゃんと、気付いてくれるかな?」

ラライラの服の下に隠れた痕に触れ、服の上から唇で触れた。






ルイート 15歳・1


そして、いよいよ学園の入学式…
僕の婚約者どのは、その場に姿を見せなかった。
僕の家王城に住んで、王妃になるための教育を受けることになったからね。

その方がイイ。
だって、ラライラのかわいらしさは他人の目に触れると減るもの。

あんなにこだわってる髪型だって、正直全く興味ない。
でも、あぁやって俗世を知らないまま成長してくれたことには、感謝しないとね。

だって…
ララはたぶん知らないんじゃないかな?
この国の王妃の最大の仕事…

《国王に愛され、王子を3人以上この世に誕生させること》

母は父とは血が近くて、確かにこの世に3人産み落としはしたけれど、ここまで育った王子は僕1人だった。

あとは王女が3人。
既に他国に嫁いでいるから、小姑なんて居ないし。

「あぁ…あと1年だ。」

僕らは在学中に、成人の16歳を迎える。
そうしたら、そうしたら…

──ララは僕のものだ。

《王妃》になる前だって、子を産んだっていいよね。
《王妃》になってから王子を生み落とせば良いんだもの。

「本当に、楽しみだなぁ…」


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