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千年の夜の覚めぬ夢
第3話「犬」
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軍服を着た犬が笑っている。
「何をニヤニヤしているんですか少佐」
横に立っているのはスレンダーな女性で、こちらも軍服を纏っている。
「別に笑ってなどいない」
「……気持ち悪い」
間髪を入れず、女性がつぶやく。
「おい、聞こえているぞ。私はアンくんより上官なんだけど」
「そういうところです。部下の女性に○○くんとか言ってしまうところが気持ち悪い」
アンはかなり毒舌なようだ。
「まぁまぁ落ち着いて」
「別に取り乱してはいません。冷静に、少佐が気持ち悪いだけです」
「傷つくなぁ」
という声にはあまり感情がこもっていない。
犬とはいっても、顔が犬というだけで首から下は人間の身体である。
顔だけが犬の人間が軍服を着ていることは、アンにとっては、さほど大した問題ではないようだ。
「今回の任務、月子に行かせたそうですね」
「そうだと聞いている」
「聞いている? 」
「形式上は私が彼女に命令したという事にしてあるが、もっと上の判断だ」
「そうですか。何か考えがあるんだとは思いますが……」
「それを考えるのは私達の仕事ではない。それを考えるのは上の仕事だ」
「……」
「なんだ、心配なのか? 」
「そらそうでしょう、よりによってあの国に月子を送りこむなんて」
「あぁ、そっちの心配か」
顔が犬なので表情は読めないが、機嫌が良さそうだ。
「私は別に、あんな国は滅びてしまってもいいと考えている」
「少佐!誰が聞いているか分からないんですから滅多な事は言わない方がいいです」
「構わないよ、私は嘘が苦手なんだ」
ポーカーフェイスだったアンの顔が曇る。
「監視と管理、それがハヌマーンをつけた理由ですね」
「そういうの得意だろ? 」
「はぁ……ほんとに気持ち悪い」
アンは話を切り上げて扉へと向かう。
扉の前に立ち、退出しようとドアノブに手をかけると呼び止める声がした。
「アンくん、今度こそパンプキンシードでお茶をしよう」
「今度こそ……わかりました。もう食堂の不味い缶チューハイはごめんですよ」
「わかってる。次は必ず最高級のワインボトルを君の為に空けよう」
「少佐……気持ち悪いです」
捨て台詞を残してアンは部屋から出ていった。
「何をニヤニヤしているんですか少佐」
横に立っているのはスレンダーな女性で、こちらも軍服を纏っている。
「別に笑ってなどいない」
「……気持ち悪い」
間髪を入れず、女性がつぶやく。
「おい、聞こえているぞ。私はアンくんより上官なんだけど」
「そういうところです。部下の女性に○○くんとか言ってしまうところが気持ち悪い」
アンはかなり毒舌なようだ。
「まぁまぁ落ち着いて」
「別に取り乱してはいません。冷静に、少佐が気持ち悪いだけです」
「傷つくなぁ」
という声にはあまり感情がこもっていない。
犬とはいっても、顔が犬というだけで首から下は人間の身体である。
顔だけが犬の人間が軍服を着ていることは、アンにとっては、さほど大した問題ではないようだ。
「今回の任務、月子に行かせたそうですね」
「そうだと聞いている」
「聞いている? 」
「形式上は私が彼女に命令したという事にしてあるが、もっと上の判断だ」
「そうですか。何か考えがあるんだとは思いますが……」
「それを考えるのは私達の仕事ではない。それを考えるのは上の仕事だ」
「……」
「なんだ、心配なのか? 」
「そらそうでしょう、よりによってあの国に月子を送りこむなんて」
「あぁ、そっちの心配か」
顔が犬なので表情は読めないが、機嫌が良さそうだ。
「私は別に、あんな国は滅びてしまってもいいと考えている」
「少佐!誰が聞いているか分からないんですから滅多な事は言わない方がいいです」
「構わないよ、私は嘘が苦手なんだ」
ポーカーフェイスだったアンの顔が曇る。
「監視と管理、それがハヌマーンをつけた理由ですね」
「そういうの得意だろ? 」
「はぁ……ほんとに気持ち悪い」
アンは話を切り上げて扉へと向かう。
扉の前に立ち、退出しようとドアノブに手をかけると呼び止める声がした。
「アンくん、今度こそパンプキンシードでお茶をしよう」
「今度こそ……わかりました。もう食堂の不味い缶チューハイはごめんですよ」
「わかってる。次は必ず最高級のワインボトルを君の為に空けよう」
「少佐……気持ち悪いです」
捨て台詞を残してアンは部屋から出ていった。
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