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竜騎士とテールスープ
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「いらっしゃい」
店の前に巨大なドラゴンが一体舞い降りた。
飼い慣らされたドラゴンとはいえ、間違えて火を吐こうものなら店は潰れてしまうだろう。
「こんな僻地にまさか店があるとはな」
そう呟きながら店に入ってきたのは特徴的なマスクをしたお客だった。
「俺は見てのとおりドラゴンライダーだ。表のドラゴンは俺の相棒レガシィさ」
男は聞かれてもいないのにペラペラと自分の素性を語りだした。
「いやー立派なドラゴンですね!ほどよく鍛えられた筋肉、尻尾の隆起。」
「お、なかなか見る目があるな」
「鋭い眼球、鋼の皮膚の下の肉は意外と柔らかくて美味しい」
「ん……美味しい?」
「しかも、人間に育てているなら健康管理もされているだろうし」
「もちろん、餌や睡眠の質にもこだわっているさ」
「A5ランクだな……捨てる部位なし」
「ん……部位?」
「まぁ、立ち話もなんですからお席にどうぞ」
「あぁ、そうだったな」
「お任せでしたら北の山で手にいれた上等な食材があるのでスープにして提供できますが」
「スープかぁ、じゃあそれを貰おうかな」
「ライダーなら飲酒は厳禁ですし発泡水を出しましょう」
「わかった。それで頼む」
黒い布を頭に巻いた店主はいっけんすると山賊のような風体をしていた。
奥に引っ込み、中華包丁を振りかぶって、かなりサイズの大きな食材を切断しているようだ。
「あとは臭みを消すためにハーブと黒胡椒を入れて……完成っと」
店主はスープと発泡水を持ってライダーの男の席に持っていった。
「なかなかボリュームがあるな!スープで腹が満たせるか心配だったが良さそうだ」
「素材は今朝とれたばかりの良質な肉ですから、味にも自信がありますよ」
「わかった、食べてみよう」
男はナイフで肉を裂き、スープと一緒に口に含んだ。
「柔らかい!そしてなにより肉の味がしっかりしていて旨い!」
その後は、手を休める事なく男はスープをどんどん口に運び食事を楽しんでいた。
「素晴らしい料理だった。ぜひうちの部隊の近隣にも店を出してほしいものだ」
「ありがとうございます」
「あんな旨い肉は食べた事がない」
「そうですね、条件が合わないとなかなか捕獲するのは難しいですから食材も市場には出回りませんね」
「そうなのか、それはラッキーだったな」
「また、良い素材を仕入れて来ますので来店お待ちしてます」
「わかった、また必ず食べに来てやろう」
ライダーの男は特徴的なマスクを被り直して表のドラゴンの方に向かっていった。
男が店を出たのを確認してから店主は聞こえないように呟いた。
「ドラゴンのテールスープってことは黙っておいた方がいいんだろうな」
ドラゴンライダーの男にとって初めて口にした竜の肉の味は忘れられないものになっただろう。
しかし、それを再び口にすることは恐らく無いに違いない。
店の前に巨大なドラゴンが一体舞い降りた。
飼い慣らされたドラゴンとはいえ、間違えて火を吐こうものなら店は潰れてしまうだろう。
「こんな僻地にまさか店があるとはな」
そう呟きながら店に入ってきたのは特徴的なマスクをしたお客だった。
「俺は見てのとおりドラゴンライダーだ。表のドラゴンは俺の相棒レガシィさ」
男は聞かれてもいないのにペラペラと自分の素性を語りだした。
「いやー立派なドラゴンですね!ほどよく鍛えられた筋肉、尻尾の隆起。」
「お、なかなか見る目があるな」
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「ん……美味しい?」
「しかも、人間に育てているなら健康管理もされているだろうし」
「もちろん、餌や睡眠の質にもこだわっているさ」
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「あぁ、そうだったな」
「お任せでしたら北の山で手にいれた上等な食材があるのでスープにして提供できますが」
「スープかぁ、じゃあそれを貰おうかな」
「ライダーなら飲酒は厳禁ですし発泡水を出しましょう」
「わかった。それで頼む」
黒い布を頭に巻いた店主はいっけんすると山賊のような風体をしていた。
奥に引っ込み、中華包丁を振りかぶって、かなりサイズの大きな食材を切断しているようだ。
「あとは臭みを消すためにハーブと黒胡椒を入れて……完成っと」
店主はスープと発泡水を持ってライダーの男の席に持っていった。
「なかなかボリュームがあるな!スープで腹が満たせるか心配だったが良さそうだ」
「素材は今朝とれたばかりの良質な肉ですから、味にも自信がありますよ」
「わかった、食べてみよう」
男はナイフで肉を裂き、スープと一緒に口に含んだ。
「柔らかい!そしてなにより肉の味がしっかりしていて旨い!」
その後は、手を休める事なく男はスープをどんどん口に運び食事を楽しんでいた。
「素晴らしい料理だった。ぜひうちの部隊の近隣にも店を出してほしいものだ」
「ありがとうございます」
「あんな旨い肉は食べた事がない」
「そうですね、条件が合わないとなかなか捕獲するのは難しいですから食材も市場には出回りませんね」
「そうなのか、それはラッキーだったな」
「また、良い素材を仕入れて来ますので来店お待ちしてます」
「わかった、また必ず食べに来てやろう」
ライダーの男は特徴的なマスクを被り直して表のドラゴンの方に向かっていった。
男が店を出たのを確認してから店主は聞こえないように呟いた。
「ドラゴンのテールスープってことは黙っておいた方がいいんだろうな」
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