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スパダリ御曹司を異世界転生させるつもりが、なぜか寵愛された女神の話

第三話 ◆

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「ぁ……っふ、っう、ん……」

 ぴちゃぴちゃと唾液同士が絡む。何もしなくても頬の裏側から勝手によだれが溢れてくる。口の中で遊真の舌がメルの舌を蹂躙する。

 深い口付けを交わしているうちに身体がぴくぴくと震え出した。薄い衣の中で内股をすり合わせるようにモゾモゾと動くと、遊真にその行動を発見されてしまう。

「へえ、神様でもちゃんと感じるんだな」

 唇を離して感心したように呟かれ、ふるふると首を振る。遊真に『いやらしい』と言われている気がして一生懸命首を振ったが、彼はメルの反応など気にせず、顎のラインや喉の上、首筋の上に何度も口付けながら、太ももをさらに淫らに撫で上げた。

「やっぱり女神って処女なのか?」
「当たり前、です……っふぁ、ん」

 ふと鎖骨を噛みながら訊ねられたので、ちょっと怒ったように答えてしまう。

 遊真に教えるつもりはないが、神々は性に対して奔放な者と、生まれて以来一度も性体験をせずに幾星霜を生きる者が両極端だ。

 メルは処女性の象徴となる女神ではないが、それでも気高く純潔であることは女神に対する信仰心を高める重要な要素である。ふしだらな女神だと大神々に認定されたり、高潔さが失われたと人々に思われたら、せっかくここまで回復した信仰心が失墜する原因になる。

 とはいえメルに他の神や人との交わりがないのは本当の話だ。だから見栄を張ってしまったが、その答え自体は遊真にとってはどちらでもよかったらしい。

 フーンと軽く鼻を鳴らすので、興味がないなら恥ずかしいことを聞かないで! と声を荒らげたくなった。

 しかし実際には言葉にでは出なかった。遊真はメルの衣服をぺらりと捲り上げると、脚を折り畳んでそのまま左右へ開く。その格好は遊真の眼前に秘めた場所を直に晒す姿勢だ。抵抗する暇もなく大事なトコロを直視され、メルは全身が燃焼するほどの羞恥を覚えた。

「……って、おいおい。ノーパンかよ」
「の、のーぱん……?」
「下着穿いてねーの?」
「……したぎ……?」

 恥ずかしさに耐えることが精いっぱいで、遊真が言っていることがほとんどわからない。訊ねられた言葉を反復して聞き返すが、何かに悩む遊真が発した言葉はもっと意味が分らなかった。

「じゃあ中に出すとそのまま垂れてくるのか……今日は外に出すしかねぇな」
「?」

 遊真が元いた世界ならば、全員彼の言葉の意味がわかるのだろか。一応これでも神の端くれであるメルは、言語によるコミュニケーションに困ったことない。だが先ほどから遊真の言葉の意味が全然わからない。深いキスに酔ってしまったのか、頭がぼーっとしてうまく働かないのだ。

「っひ、ぁ……あッ」

 ぼんやりとしていると、開いた股の中央をじっと見つめていた遊真が突然顔の位置を下げた。そのまま脚の付け根の真ん中に唇を寄せるので、思わず股を閉じてしまう。

「ちょっ……とぉ!」
「おい、痛いって……股で挟むな」
「なにしてるんですか!?」

 股を閉じたくもなるし、聞きたくもなる。遊真は舌をのばして、メルの秘部を舐めようとしていたのだから。

「なにって、濡らさなきゃ痛いだろ。たぶん股で顔を挟まれるより痛いぞ?」

 慌てて彼の額に手の置いて腕を突っ張るが、遊真はメルの抵抗をあっさり撥ね退ける。動きを阻まれた遊真はすぐにメルの手首をつかむと、次は邪魔されないようにシーツに押し付けて動きを固定する。そして先ほどと同じ行動をするために、メルの股の間に顔を埋めて舌を伸ばす。

「ひぃ、あっ……」

 ぴちゃ、と小さな水音はメルの喉から溢れた声にかき消された。遊真はメルの手首を優しく掴んだまま、同じ場所を濡らすためにさらに口淫を続ける。

「っあ、あっ……だ、だめぇ……そこ、やぁんっ」

 足の付け根がびくびくと震えて、身体の芯から激しい快感が生まれる。

「や、やぁ……やだ、ぁ……っ」

 思わず涙目になって懇願するが、それでも遊真は恥ずかしい場所を舐める続ける行為を止めてくれなかった。

「ひゃぁ、あああ――っ!」

 ふっと浮力を感じたと思った瞬間に、首筋から背中を伝って腰へと電流が走り抜けていった。最後に熱い感覚が下腹部から抜け出たと思った瞬間に、濡れた感覚が股の間を濡らした。

「随分エロいな。処女があの程度で潮吹くとは思わなかった」
「はぁ、は……っ、ん……?」

 顔を上げた遊真が楽しそうに呟く。視線を下げて彼の表情を確認すると、何故か彼の前髪や顔がひどく濡れていることに気が付いた。

 ぼんやりとした思考で、この短い時間でどれだけ汗をかいたのだろうと不思議に思った。けれど近くにあった布でさっさと顔を拭いてすぐにまたメルの股を広げるので、問いかけている時間はない。

「こんだけ濡れてるし、案外そのままいけたりするか?」
「……!」

 メルも遊真に望まれている行為が――性行為がどんなものぐらいかは知っている。性交により快楽を得るのは人も神も同じだから。

 その行為を実行するために、遊真が自分のベルトを外す。すると中から太く反り立った男性器が暴れ出た。猛々しい雄の象徴は絵画で見るよりもよっぽど禍々しかったが、不思議と嫌悪感はなかった。

 遊真が花弁を開いて濡れた場所に剛直の先端を宛がう。痙攣していたメルの身体はまた先ほどの快感を思い出して震え上がったが、遊真は構わずにメルの蜜口へ亀頭を沈み込ませた。

「っふ、あ……っ」
「ん……いい反応するな」

 ひくんっ、と身体が過剰に跳ねる。けれどそれは痛いからではない。ぐぷ、ぬぷ、と突き刺さる陰茎が深度を増すたびに身体が反応するのは、知らず知らずのうちにメルも遊真の熱を欲しているからだ。

「あ……や……ん、ぅ……」
「――っ……やべ、きつ……」

 そのまま押し込まれていって、とん、と最奥に辿り着いた瞬間、メルよりもよっぽど焦ったような声で遊真が熱っぽい声を漏らした。どうやら彼も気持ちが良いらしい。快感に表情を歪ませる仕草は少し幼く感じられる。

 遊真の顔を観察していたメルは、瞬きをした瞬間に自分の目からほろりと涙が零れたことを知った。その様子は遊真にもすぐに気付かれた。ベッドについていた手が、メルの目尻に近付く。

「泣くなって。もっといじめたくなるだろ」
「……ひどい!」

 零れた涙を指先で拭った遊真はメルを慰めてくれるのかと思っていたのに、想像とは全く逆の言葉を呟かれた。けれど文句を言うメルの声が案外元気だったことに安心したのか、遊真はメルの身体を包んでいた残りの布を剥がすために、腰を結んでいた紐を解いてしまった。

 布を払い退けられると、あまり大きくはない胸がふわりと綻ぶ。その頂上でふっくらと膨らんだ果実を指先で撫でると、また違う快感を知って蜜壺がきゅんと収縮した。

「痛くねぇの?」
「……はい」
「そっか。結構血も出てるんだけど気持ち良いってすげーな」

 遊真が感心したように呟く。だが彼が納得し終わると、メルが感じていた甘やかな空気もあっという間に消え去ってしまう。

 ぐっと顔を近付けて再び唇を奪われながら、彼の両手は露わになった胸の先端をクリクリと摘まんで弄ぶ。それでいて緩やかな腰の動きも徐々にスピードを上げていくので、メルはすぐに思考が働かなくなった。

「俺も想像以上にイイ」
「っ……!」

 耳元でそっと囁かれた声には、ねっとりと絡みつくような甘美な色が含まれている。その蜜にも毒にもなりうる音に、耳から全身を支配されていく気がした。

「あっ、やぁ、ああん、ぁっ……」

 快楽の沼に溺れるように、腰の動きを徐々に速めていく。ぬちゅ、ぐちゅ、ぷちゅ、ずちゅ……結合部から響く卑猥な摩擦音は、メルの官能を極限まで刺激した。

「ん、んんっ……あ、っ……う、んっ」

 あまりの恥ずかしさにそこから逃れようとするが、もう遅い。遊真に胸の上を撫でられながら抽挿を繰り返されると、塞がれた唇の間から快感を逃す吐息と悦楽に耐えるための嬌声が同時に溢れ出た。

「っふ、ぁ……んぅ、ぁ、っ……ふ」

 スピードを増した腰の動きに合わせて、亀頭が膣の奥にある突起をトントンと叩く。時折蜜壁を抉られるような重い音も響き、メルは首を振りながら激しい快楽に耐えようとした。

「だめぇ、おく……!」
「大丈夫だ……っ、ちゃんと、外に……出してやる……っ」
「あああ、ああっ、ん!」
「っ――!」

 遊真が今までで一番深い所を突きながら吐息交じりの濡れた声を零すので、メルはその色気にあてられるように達してしまった。

 先ほど遊真に陰核を舐められて達した時とは違う。もっと深い場所でもっと強くて余韻の長い快楽を感じ、メルは全身を震わせながらゆるやかで重い絶頂を味わった。

 遊真は先に宣言していたように、絶頂の瞬間に雄竿を抜き、メルの膣内ではなくメルの腹の上に吐精した。びゅく、びゅる、とまき散らされた白濁液は、メルの肌の色よりも白くて濃度がある液体だった。

 その淫猥な光景を眺めながら呼吸を整えようとしたが、実はメルには先にしなければならないことがあった。すぐに目を閉じて下腹部に意識を集中させると、メルの身体に閃光が走り抜けていく。

「今の、なんだ?」

 メルの上に覆い被さって呼吸を整えていた遊真にもその変化がわかったのだろう。不思議そうな顔をするので、メルは息を吐いてからゆっくりと頷いた。

「処女を失ったことを他の神々に勘付かれる前に、処女膜を再生しました」

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