夫と子猫は喧嘩中

紺乃 藍

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後編

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「楓佳、指」
「え……」
「舐めて。俺が直接舐めてもいいけど、楓佳濡れやすいだろ。音でアイツ起きそうだから、口で濡らして」

 ベッドランプに照らされた智希の表情は、いつの間にか不機嫌なものから楽しそうなものに変わっていた。ショーツの上から恥丘を撫でながらわざわざ濡れやすいなんて言わなくてもいいと思うが、それよりも恥ずかしい要求の方に意識が向いてしまう。

 返事に迷っていると唇の表面に智希の指が触れてきた。人差し指と中指の先で、ぷに、ふに、と唇を撫でられる。楓佳は『記念日を大事したい』と訴える真剣なまなざしと指遣いに負け、仕方がないか、と薄く唇を開いた。

 智希の指を舌の先で少しずつ舐める。仕事で毎日キーボートを叩いてばかりの智希は男性にしては爪のケアが丁寧で、それゆえにいつどこに触れられても楓佳の肌を傷つけることがない。その繊細な指の形を確かめるように舌で触れると、時折智希の手がピクリと反応する。

「あ……む、んぅ、う……」
「そ、いい子だな」

 長い指に舌を絡ませて、唾液で少しずつ濡らしていく。極力音は立てないように意識しつつも、自分で触れられる準備をするのは恥ずかしい。そう思うのに、智希の指を味わうように丁寧に舐めていると、だんだんと身体の奥が疼いてくる。この指が身体の上や中でどう動くのか知っているせいか、恥ずかしさ以上に期待が膨らんでしまう。

「猫みたいだな、楓佳。上手だ」
「ん……ぅ……ふぁ、っ」

 指の先から第二関節までを丁寧に舐めて唾液を乗せるように濡らすと、智希が褒め言葉を囁いた。口の中から指を抜いてキスを重ねられると、頭がぼんやりとして何も考えられなくなる。

「もう濡れてる」

 その霞がかった思考に入ってきた言葉に、楓佳ははっと我に返った。

「え……うそ」
「これなら舐めさせる必要なかったな」
「……! ふぁ、あ……っ」

 恥ずかしい確認とともに智希の指が敏感な場所に触れた瞬間、喉の奥から高い音が零れてしまった。あられもない声が出ないようにと自分の手で口を押さえるも、智希はその姿を見てもにやりと笑うのみ。

 指先が陰核の表面でぬるりと滑る。それが楓佳の唾液によるものなのか、智希の言うように濡れているからなのかはわからない。けれど脚を持ち上げられてショーツをパジャマごと一気にずり下げられて再度股の間を弄られると、確かに布団の中からはくちゅくちゅと水に濡れた音がした。それに音だけではなく、しっとりと濡れた感覚もある。

 その感覚を増幅させるように、智希の指先が濡れた場所をより速く激しく擦りあげる。最初は陰核の愛撫だけだったが、脚を開かれて秘部を晒されたあとは陰唇も撫でられ、さらに細長い指は膣の中にも侵入してくる。

 その手慣れた行為と流れるような手つきを止める方法が思いつかず、楓佳はただ声が出ないように口を押えるだけで精いっぱいだ。

「楓佳、気持ちいい?」
「……っ、……ん」

 声にならない否定を首を振る動きで示す。けれど智希には伝わっていないのか、伝わっているのに無視されているのか、それ以上は何も言わずただ蜜襞を撫でる行為に没頭する。

 さらに膣の入り口上部を執拗に擦られる。猫の舌のようにざらついた快感ポイントをぐりぐりと強めに押されると、下腹部から快楽の小波がぶわりと生じて全身に広がっていく。

「ココ好きだろ」
「ふ……っ、……ぅ、ん」

 楓佳の身体は智希に与えられる刺激しか知らないし、智希も楓佳以外の女性は知らないはずだ。しかしどこかから知識を拾ってくるのか、それとも長い年月をかけて楓佳の身体を研究し尽くしているのか、智希の愛撫は常に的確だった。だから彼は、そこより少し奥にある柔らかい場所を撫でられることが何よりも弱いことも、ちゃんと知っている。

「――っ、……ぁ……っ、あ」

 同じ場所ばかり撫でられると、快楽に負けて理性が決壊しそうになる。震えながら腰の位置を少しずつずらし、絶頂を迎えないようにと必死で耐え忍ぶ。そんな抵抗も限界に近付き、いよいよみだらな指遣いに負けそうになっていると、気付いた智希がさっと手を引っ込めた。

 ようやく終わった。
 と思ったが、そんなはずはなかった。

 膝立ちになった智希が自分のスウェットとパンツに親指を掛け、口の端をぺろりと舐めて笑みを浮かべる。高校生の頃はやんちゃな印象があったが、今はもうすっかり大人の落ち着きを纏い、どちらかというと物静かな印象さえある。しかしその人畜無害そうな風貌にも、時折こうして野性味のある表情が入り混じる。

 智希の腰にかかっていた布団がシーツの上へ滑り落ちる。楓佳は下半身を丸出しにされ、上半身のボタンもすべて外されている。布団の中ならまだいいが、隠すものがなければすでに裸に近い格好である。

 その状態で太ももを掴んで左右へ開かれると、濡れた股の間に怒張した硬いものの先端をぐりぐりと押し付けられる。

「んっ」
「ほら、楓佳。ニャンニャンって言ってみ?」

 智希が突然、謎の要求をしてくる。だがまったく意味がわからないし恥ずかしいので、楓佳は首を横に振るしかない。

 ぬるぬると濡れているせいで、油断するとそのまま挿入ってしまいそうだ。けれど智希は淫裂と亀頭が触れ合うとすぐに腰を引いてしまう。すっかりと彼の形や大きさを覚えた場所はそのもどかしさで切なく疼くのに、智希は楓佳の様子を見下ろすだけで挿入はしてくれない。

「やだぁ……」
「ヤダーじゃなくて、にゃんにゃん」

 濡れた淫花から愛液がじわりと溢れてくる。それと同時に羞恥に濡れた目尻からも涙が零れるが、智希はキスを落として涙を舐め取るだけで、特に恥ずかしい要求を引っ込めるつもりはないらしい。

 智希が楓佳の表情をじっと見つめながら、指先で胸の突起をゆるゆると撫でてくる。優しい目線とは裏腹な刺激を与えられ、楓佳は急激に不安になった。

「智希……? 怒ってる……の?」

 智希はもしかしたら怒っているのかもしれない。彼が自分で拾ってきたし、リビングは寒いとはいえ、猫を自分たちの寝室に招き入れたことが気に入らないのかもしれない。

 そう思って訊ねたが、智希の回答はあっさりとしたものだった。

「怒ってねーよ。初対面の男に懐かれてんの見て嫉妬しただけ」
「は……え?」

 初対面の男。って誰? と聞こうとした瞬間、股の間に滑り降りた手がぐちょぐちょに濡れた陰唇を左右に割り開いた。そして濡れた蜜口に、熱く昂った亀頭部がグプン、と沈み込む。

「っふぁああん」
「声でけぇ、って……の」

 予期せぬ衝撃に驚いて身体がのけ反ると、すぐに楓佳の反応を責めるような言葉が落ちてきた。その智希の表情も快楽に歪んでいるが、どこか楽しそうにも見える。

「あっ、ぁ、ン……だめ……ぇ」
「ふーか? ほら……ほらっ」
「あっ……あ、あん……」
「あんあんじゃなくて」

 彼はどうしても楓佳に猫の鳴き真似をさせたいらしい。それに何の意味があるのか、楓佳には全く理解できない。けれど智希は腰をゆるく打ち付けてねっとりと膣内を抉ってくる。そのなだらかで的確な快楽は、声を我慢しようと必死な楓佳から判断力を奪い取った。

「や、にゃ、ぁ」

 ぱちゅ、ぐちゅ、と水を含んだ音の中に、拒否の言葉が混ざって溶ける。彼の要求に応えるような言葉が漏れてしまったのは、シーツに手をつくように腰を固定されて激しく責めたてられたせいで、呂律が回らなくなっただけ――と言い訳したいところだったが、智希はそうは捉えなかったらしい。

 く、と顔を歪ませた智希がさらに体重をかけるように楓佳の脚を折り曲げて深い場所まで陰茎を埋めてくる。そうして顔の位置が近付いたことで、楓佳にも彼が発した言葉がよく聞こえるようになった。

「……んだよ。心配になるほど可愛いな」
「!?」

 ぽつりと呟いた言葉に、体温が急上昇する。ともすれば聞き逃してしまいそうなほどささやかな褒め言葉ではあるが、元来智希は人を褒めるような言葉をあまり口にしない。まして付き合いが長い楓佳を今さら褒めることなど滅多にないのだ。

 なのに急に『可愛い』と褒められれば、楓佳もつい照れてしまう。パッと視線を反らしてしまう。その一瞬、上から智希の舌打ちが聞こえた気がした。それが事実か気のせいかを確かめる前に、彼の腰遣いが唐突に激しさを増す。

「あっ……ゃあ、あッ」
「っ、楓佳……」
「ん、んんぅ……ふぁ、あっ」

 一瞬止んだはずの動きが再度急加速する。ぐちゅ、ずちゅ、ぬちゅ、と濡れた音が部屋中に響くと、あんなに堪えようと思っていた声が止め処なく溢れてきてしまう。

「ゃあ、あん、にゃ、あっ……」
「っく……ふ、ふーっ……!」
「あ、に、ぁあ、ぁんっ……!」

 猫のように鳴いて、だなんて恥ずかしい。そう思っていたはずなのに、まるで智希の言葉に操られたように子猫のような甘え声が溢れてしまう。

 否、子猫のように愛嬌があって甘くじゃれつくような声ではない。必死に手を伸ばして智希の首に掴まり、嵐のような抽挿に耐えながら零れる声はもはや発情したメス猫のようだ。

「にゃー……」
「!?」

 快感に溺れる楓佳のそんな声は、やはり少しうるさかったのかもしれない。

 か細い声がした方向へ首を回して視線を向けると、つい先ほどまでちゃんと眠っていたはずの子猫がタオルの中でもぞもぞと動いているのが見えた。ああ、と思った瞬間、ブランケットとタオルの隙間から、子猫の頭がぴょこんと持ち上がる。部屋が薄暗いので表情までは見えないが、やはり起こしてしまったみたいだ。

「あ、起き……え、……とも……っ!?」
「いいよ、見せつけてやれ」
「ちょ、ちょっ……あいてっ、ねこ……っ」
「そんなん、関係ねぇ……っ」

 一旦止まって、と乞おうとした。

 しかし瞳の奥にぎらぎらと情欲の炎を灯した瞳は『止まらない』――『止められるわけがない』と訴えている。そしてその視線を裏付けるように、彼の下から抜けようとした身体を押さえつけられ、腰を振り乱すように責めたてられる。

「にゃあ」

 短い声を発する子猫は何かを探しているようだ。やっぱりお腹が空いているのかもしれない、なんて考える余裕はない。

「とも、き……っ、っぁあ、あ!」
「楓佳……ッ」
「ああ、ひぁ、ぁん、ああっ……!」

 まだ幼い猫がこっちを見ている。嫉妬と欲情にまみれた夫に激しく揺さぶられて感じるところを、今日初めて会った子猫に見られている。

 そう考えると、どうしようもない羞恥心と背徳感が結合部から全身に広がっていく。強烈な快感と不安定な痺れが共鳴し合って、表現できない快楽を生み出す。

 膣の奥をぐぐっ、と突かれた瞬間、強すぎる刺激に身体がびくんっと跳ねた。

「んぅ、ふぁ、あああ――!」

 衝動的な快楽の中に色んな状況と感覚と感情が溶け込む。その複雑なかたまりが爆ぜて絶頂を迎えると同時に、身体がびくびくと痙攣する。下腹部の奥でなにかがトロトロと甘く溶けていく気がする。

 少し遅れて智希も最奥に精蜜を放った。その濃い液を肉襞の一つ一つから吸収していくように錯覚する。達したあとも智希の熱を求めて離さないように、蜜壺がきゅぅ、と細かく収縮する。

 引き留めるような蜜壁の痙攣が治まると、中から陰茎がずるぅ……と引き抜かれた。楓佳の顔を見つめていた智希はフッと気が抜けたように笑って額に口付けてきたが、そのキスで急に我に返った。そして達成感と開放感と羞恥心と背徳感を練り混ぜた感情を吹き飛ばすように、後戯に身体を撫でる夫の顔を睨み付ける。

「ばか! 智希のばかっ! にゃんこ君に見られたじゃない!」
「バカとはなんだ。バカは楓佳だろ」

 一瞬甘やかな空気が流れたものの、絆されている場合ではない。涙目のまま智希の胸をぽこぽこと叩くと、彼も再びむっとした表情になった。

「なんで俺にイカされてその直後に他の男を心配するんだよ。意味わかんねぇ」
「意味わからないのは智希の方でしょ! にゃんこ君はにゃんこだよ!?」
「ああ、もう……わかったって」

 はぁ、とため息をつく智希をきつく睨むが、あまり効果はないようだ。楓佳の主張を無視して身体を起こした智希が、ベッドから出て子猫に近付いていく。

「もう夜も遅いんだから、あんまり鳴くな。明日また構ってやるから今日は寝ろ」

 いつの間にかブランケットとタオルから這い出てミャーミャーと小さな鳴き声を零す子猫にも、智希はいつも通りのぶっきらぼうな態度だ。抱き上げた子猫を元の場所に戻し、その頭をわしわしと撫でる。

「夜に啼いていいのは楓佳だけだ。それに楓佳はこの時間、俺のモンだからな」
「ちょ……何言ってるの、ほんとに」

 大真面目な顔で子猫に語りかけると、すぐにベッドへ戻ってくる。今度はあまり暴れられなかったようだが、夫と子猫の喧嘩はなおも継続中だ。眠そうにしながらも必死で智希になにかを訴える子猫だったが、智希は小さな喧嘩相手を放置することに決めたらしい。

 力が抜けて動けない楓佳の股をティッシュで優しく拭き取ると、そのままショーツだけ穿かせて抱き寄せられる。どうせならパジャマもちゃんと穿かせてほしかったが、楓佳の身体を片手でゆるく抱いてほうっと息を吐く夫は子猫どころか楓佳の文句も受け付けるつもりはないようだ。

 それでも楓佳は諦めない。

「智希……やっぱりにゃんこ君、ここで飼っちゃだめ?」

 肩だけで後ろを振り返って問いかけてみる。反対の手で頬杖をついて顔を眺めていたらしい智希は、楓佳と目が合うと一瞬困ったような顔をした。けれど楓佳の必死さを感じ取ったのか、盛大なため息をつきながらもその提案を受け入れてくれる。

「……いいよ、もう。しょうがねぇから」

 元々彼は動物嫌いではない。だから寒空の下で震える子猫を見捨てられずに家まで連れ帰って来たし、最初はちゃんと飼うつもりだったのだ。何か気に入らないことがあって飼う方針から責任を持って飼い主を探す方針へシフトしたらしいが、どうやらその考えを引き留めることができたようだ。間違いなく『いいよ』という言葉を聞いた楓佳は、嬉しさのあまりがばっと起き上がってしまう。

「わーい、ありがと! 智希、大好きにゃーんっ!」
「んぐ!?」

 智希の言葉に舞い上がった楓佳は、そのまま彼の首に勢いよく抱き着いた。胸で押しつぶしてしまったせいで下からは苦しげな声が聞こえたが、喜ぶ楓佳は智希には構っていられない。

「よーし! じゃあ明日さっそく病院に行って健康診断受けて、ホームセンターにも行って……あと名前も決めなきゃね!」

 種類や大きさを問わず、生き物を飼い育てると決めた以上はその命に責任を持たなければならない。楓佳にはまだちゃんとした知識がないので、新しい家族を迎え入れるには相応の責任感と心構えと準備が必要だ。

 意気込む楓佳の独りごとは子猫にも届いていたらしい。もう簡易寝床からは出て来なかったが、顔だけひょっこりと出してこちらを見つめる小さな子猫の視線の先には、楓佳を抱きしめる智希の姿があった。

「だから、楓佳は俺の奥さんなの。お前のじゃねーって」
「ニャァア……!」

 智希の問いかけが届いているのかいないのか、彼が声を掛けるとブランケットとタオルの間から不機嫌な鳴き声が聞こえてきた。だが智希は宣戦布告を切り捨てるようにさっさとベッドライトの灯りを落としてしまう。楓佳としては噛み合わない勝負をしているように思えるが、意外なことにどちらも大真面目だった。

 かくして始まった夫と子猫の不毛な喧嘩だったが、彼らが同じポーズでお昼寝をするようになるのはここからほんの数日後の話だ。

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感想 1

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みんなの感想(1件)

月夜野繭
2022.02.23 月夜野繭

ニャンニャーン(*ΦωΦ)♪

子猫ちゃんの存在感がすごくリアルでした! 素敵なパパママに拾われてよかったね(涙)。同じポーズでお昼寝する姿も目に見えるようです️。

えろ可愛いお話をありがとうございました!!

2022.02.24 紺乃 藍

月夜野繭さん 感想ありがとうございます♪
ニャンニャーン(*ΦωΦ)♪笑

素敵なパパママ若干(?)えろえろしてますけど、大切にしてくれそうな人に拾われてよかったですね☆ 喧嘩するほど仲がいい男たちです…!笑
こちらこそ、お読みいただき&素敵な感想ありがとうございました♡°˖✧

解除

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