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Day‘s Eye 魔術師になったデイジー
伝聞【三人称視点】
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純朴な村に一台の馬車がやって来た。
普段やってくる乗合馬車ではなく、長距離移動用の頑丈な作りをした馬車である。そこから降りてきた人々は何故かみんな、大荷物を抱えていた。
そして、近くを通り過ぎていた村人にこう尋ねたのである。
「あの、すみません。アステリア姫様を育ててくださっていた養親様のお宅はどちらでしょうか?」
彼らは隣国シュバルツ出身の旅人だという。エスメラルダに縁もゆかりもない彼らがこの長閑なだけの獣人村にやってきたのには訳があった。
彼らは一軒の家の前にやってくると、玄関前に色々な物を置き始めた。特産の果物で作ったドライフルーツの瓶詰めだったり、ぴかぴかの万能ハサミだったり、独特な工芸品であったり…人それぞれ置くものは異なっていたが、まるでお供え物のように一箇所に備えると、彼らは一斉にお祈りをし始めたのである。
「あ、あの…うちになにか…?」
流石に家主も口を出さずにはいられなかった。突然やって来たと思えばよくわからない物を置かれて家の前で祈られては……
「…まさか、アステリア姫様をお育てあそばされた御方で…?」
家主の姿を上から下まで観察したその人達はわなわな震えると、ありがたやぁぁと大げさにひれ伏した。彼らの奇行に恐怖を抱いた家主のマック氏は熊耳をぺたりと前に倒していた。
「私はビルケンシュトックから参りました。アステリア様がまだ市井に暮らしておられた頃、お世話になりました。あのお方のお陰で私の父が救われたのです」
彼には病がちの父がいた。しかし工業街であるその町には腕のいい魔術師はおらず、医者に見せてもいまいち。薬師のいる薬局には簡単な薬しかなかったのだという。
しかしあの少女が町に現れ、藁にもすがる思いで救いを求めたら、あっという間に父親の病を治してしまったのだという。
涙ながらに語る男性はマック氏の手を握って「父が元気でいられるのはあのお方のお陰、そしてあなた達の善意のお陰です」とお礼を言っていた。
「私はフォルクヴァルツの者です。下々の者にまでお優しい姫様は民たちに惜しげもなく薬を恵んでくださります。領主様と奥様もようやく明るい表情を見せてくださるようになって……フォルクヴァルツは明るくなりました」
フォルクヴァルツからやってきたという老人は老体に鞭打ってでもお礼に来たかったのだと言う。
「アステリア様を救い育ててくださったご尊父様・ご母堂様のおられるこの村へお礼に参りました」
つまらないものですがお納めください。と言って供物を捧げる旅人。これらは彼らが自らの手で作ったものだという。
「私達の姫様を守ってくださりありがとうございます」
深々と頭を下げられたマック氏は困った表情を浮かべていた。
娘として育てた子がこんなにも人に感謝されるようになって嬉しい。自慢したい気持ちはあるのだが、薬云々は自分たちがやったことじゃないのでお礼を言われてもなぁと困惑していたのだ。
それに彼らはお礼を言われるよりも、彼女の安否が心配だった。数ヶ月前に帰ってきたデイジーは見違えるようにきれいになっていたが、病的に痩せて精神的に追い詰められていた。
彼女の実の両親にくれぐれもと念押しをしてはいたものの、あの子から便りのこない状況だ。マック一家は心配な毎日を送っていた。
「デ…あの子は元気ですか?」
その質問にフォルクヴァルツの老人はシワシワの顔に笑顔を浮かべた。
「お元気ですよ、ここ最近は城下へおりられて、魔術師としてのお仕事をなさっております。魔術師や薬師を志す学生たちに指導もしてくださってます」
私も先日関節痛の薬を作っていただいて…それがこのとおり、難なく歩ける程度に改善いたしました! とどことなく自慢げである。
「賢く美しい姫様は憧れの的なのですよ!」
別の若者が自慢気に胸元から一枚の紙を取り出した。
そこにはひとりの貴族令嬢が描かれていた。彼女の視線はどこか別の方向を向いているが、最後に見た悲しい瞳ではなかった。
「アステリア姫様の姿絵です。お守り代わりに買ったんです。身につける用、観賞用、保存用と…」
…と言ってその絵をウットリ眺める青年はまるで手の届かないお姫様に恋しているような表情をしていた。
「流れの画家が、自分こそこの地で初めて姫様を目にしたんだと騒いで描き始めたとか…」
ぺらぺらと恍惚とした表情で語る青年はもう一度美しい姫君の姿絵を見ようと視線を戻す。──だが、手に持っていたはずの姿絵が消えていた。
なぜなら、どこからか現れた獣人の青年に奪われていたからである。彼は紙に穴が空くくらい姿絵を凝視していた。
「ちょっと何するんですか、高かったんですから!」
バッと奪い返した青年はプンプンと怒ってみせる。獣人の青年は眉間にシワを寄せて不満そうに唸っていたが、背後から肩を掴まれて止められていた。
「…テオ、お前には運命の番がいるだろ」
「もう手の届かないお方なんだ。諦めなさい」
子どもの頃から可愛がってくれていた近所のおじさんおばさんから宥められるように言われた青年はぐっと歯を食いしばっていた。
テオは苦しんでいた。
長年の恋心と運命の番という存在に。
心は初恋の相手を求めてるのに、自分の奥深くに眠っている本能は運命の番だというレイラに向かっていた。
──既のところでテオは耐えてきた。
テオはどうしても恋心を捨てきれず、その想いが報われないとわかっていても彼女を求めていた。
そのため、運命の番とはまだ番ってはいない。テオが一歩引いて拒絶している形である。
まわりは『運命には誰も抗えない、素直に受け入れろ』と言う。それが正しい流れなのだと。獣人として生まれたからには本能に従わざるを得ないんだと。
テオはそうは思えなかった。
彼はデイジーと結ばれることのない現実に胸を掻きむしりたいくらい苦しんでいた。
彼女のいない世界なんて想像すらしなかったのだから。
■□■
「マック様、お願いします。どうぞお礼品を受け取ってください。でないと私は帰れません…」
深々と頭を下げた老年の男性に懇願されたマック一家はみんな顔を見合わせていた。
「…デイジーは元気ですか?」
彼らの気がかりはそれだけだ。
お金なんて本当にいらないのだ。彼女はそれ以上の幸せを一家に与えてくれたから。だけどあちらもそうはいかないのだろう。こうして定期的に使用人を寄越して来ては、受取拒否したお礼金を持ってくる。
その問いかけにフォルクヴァルツ家使用人はにっこり笑って頷いていた。
「話に聞く通り勤勉家でいらっしゃって、短期間で完璧に令嬢教育をマスターされました。最近は王立図書館に通われております。城下では魔術師としてご活躍なさっておいでですよ。民たちにも笑顔を向けられるようになり、日々健やかにお過ごしですよ」
貴族になってもデイジーの根っこは変わらない。魔術師として働きたいと、本を読みたいと願うところも同じ。デイジーは変わっていない。彼らは少しホッとした。
「それと我が国の大巫女・アレキサンドラ様と意気投合したのか、個人的にお茶をなさっており……そこにラウル王太子殿下が交じるということも多いようです」
そして大物人物と親しくなってしまうという……昔っからちょっと変わった子であったが、まさか大巫女様と親しくなるとは……。
突っ込みたいところは色々あるが、最後の単語に引っかかった彼らは怪訝な表情を浮かべていた。
ラウル王太子殿下という天上人の名前だ。
「あの子は…シュバルツの王妃に、なるんですかね?」
彼らはそのことが引っかかっていた。
彼女には生まれる前からの婚約者がいたとのこと。今では白紙撤回になっているが、生存が確認された今、その話を元に戻す可能性だってあるだろう。
貴族なら娘が王妃になることを誰よりも喜ぶ。フォルクヴァルツの領主夫妻をよく知らないマック一家はそれが心配で仕方なかった。
デイジーが望むのなら構わない。だけどそうじゃなければ?
デイジーの嫌がることはしないでくれと念押しするくらいにお願いしたが、彼らは王妃になることがデイジーの幸せだと思いこんでその話に持っていくかもしれない。
心配そうなマック一家に対し、使用人の反応はいまいちであった。
「お嬢様が殿下に恋しているとかそういう雰囲気はありませんね……正直、旦那様も奥様も、お嬢様を手放す気は無いようですので……それはないんじゃないでしょうか」
「……そう、なんですか?」
それはそれでどうなのだろう、とマック一家は思ったが、無理強いしないならそれで…とひとまず安心しようとした。
「娘たちが憧れる王太子殿下を、アステリア姫様は冷ややかな目で見つめておいでです。私どももそれが気がかりでして……一体何かあったのでしょうか…」
マック一家は別の意味で汗をかいた。
そんな態度を取ったら不敬罪になるかもしれないのに何しているのあの子…! と全身冷や汗をかいて震えた。
しかし彼らに出来ることはなにもない。
デイジーがただ日々平穏に過ごせることを願って、彼らは使用人に手紙を託したのであった。
普段やってくる乗合馬車ではなく、長距離移動用の頑丈な作りをした馬車である。そこから降りてきた人々は何故かみんな、大荷物を抱えていた。
そして、近くを通り過ぎていた村人にこう尋ねたのである。
「あの、すみません。アステリア姫様を育ててくださっていた養親様のお宅はどちらでしょうか?」
彼らは隣国シュバルツ出身の旅人だという。エスメラルダに縁もゆかりもない彼らがこの長閑なだけの獣人村にやってきたのには訳があった。
彼らは一軒の家の前にやってくると、玄関前に色々な物を置き始めた。特産の果物で作ったドライフルーツの瓶詰めだったり、ぴかぴかの万能ハサミだったり、独特な工芸品であったり…人それぞれ置くものは異なっていたが、まるでお供え物のように一箇所に備えると、彼らは一斉にお祈りをし始めたのである。
「あ、あの…うちになにか…?」
流石に家主も口を出さずにはいられなかった。突然やって来たと思えばよくわからない物を置かれて家の前で祈られては……
「…まさか、アステリア姫様をお育てあそばされた御方で…?」
家主の姿を上から下まで観察したその人達はわなわな震えると、ありがたやぁぁと大げさにひれ伏した。彼らの奇行に恐怖を抱いた家主のマック氏は熊耳をぺたりと前に倒していた。
「私はビルケンシュトックから参りました。アステリア様がまだ市井に暮らしておられた頃、お世話になりました。あのお方のお陰で私の父が救われたのです」
彼には病がちの父がいた。しかし工業街であるその町には腕のいい魔術師はおらず、医者に見せてもいまいち。薬師のいる薬局には簡単な薬しかなかったのだという。
しかしあの少女が町に現れ、藁にもすがる思いで救いを求めたら、あっという間に父親の病を治してしまったのだという。
涙ながらに語る男性はマック氏の手を握って「父が元気でいられるのはあのお方のお陰、そしてあなた達の善意のお陰です」とお礼を言っていた。
「私はフォルクヴァルツの者です。下々の者にまでお優しい姫様は民たちに惜しげもなく薬を恵んでくださります。領主様と奥様もようやく明るい表情を見せてくださるようになって……フォルクヴァルツは明るくなりました」
フォルクヴァルツからやってきたという老人は老体に鞭打ってでもお礼に来たかったのだと言う。
「アステリア様を救い育ててくださったご尊父様・ご母堂様のおられるこの村へお礼に参りました」
つまらないものですがお納めください。と言って供物を捧げる旅人。これらは彼らが自らの手で作ったものだという。
「私達の姫様を守ってくださりありがとうございます」
深々と頭を下げられたマック氏は困った表情を浮かべていた。
娘として育てた子がこんなにも人に感謝されるようになって嬉しい。自慢したい気持ちはあるのだが、薬云々は自分たちがやったことじゃないのでお礼を言われてもなぁと困惑していたのだ。
それに彼らはお礼を言われるよりも、彼女の安否が心配だった。数ヶ月前に帰ってきたデイジーは見違えるようにきれいになっていたが、病的に痩せて精神的に追い詰められていた。
彼女の実の両親にくれぐれもと念押しをしてはいたものの、あの子から便りのこない状況だ。マック一家は心配な毎日を送っていた。
「デ…あの子は元気ですか?」
その質問にフォルクヴァルツの老人はシワシワの顔に笑顔を浮かべた。
「お元気ですよ、ここ最近は城下へおりられて、魔術師としてのお仕事をなさっております。魔術師や薬師を志す学生たちに指導もしてくださってます」
私も先日関節痛の薬を作っていただいて…それがこのとおり、難なく歩ける程度に改善いたしました! とどことなく自慢げである。
「賢く美しい姫様は憧れの的なのですよ!」
別の若者が自慢気に胸元から一枚の紙を取り出した。
そこにはひとりの貴族令嬢が描かれていた。彼女の視線はどこか別の方向を向いているが、最後に見た悲しい瞳ではなかった。
「アステリア姫様の姿絵です。お守り代わりに買ったんです。身につける用、観賞用、保存用と…」
…と言ってその絵をウットリ眺める青年はまるで手の届かないお姫様に恋しているような表情をしていた。
「流れの画家が、自分こそこの地で初めて姫様を目にしたんだと騒いで描き始めたとか…」
ぺらぺらと恍惚とした表情で語る青年はもう一度美しい姫君の姿絵を見ようと視線を戻す。──だが、手に持っていたはずの姿絵が消えていた。
なぜなら、どこからか現れた獣人の青年に奪われていたからである。彼は紙に穴が空くくらい姿絵を凝視していた。
「ちょっと何するんですか、高かったんですから!」
バッと奪い返した青年はプンプンと怒ってみせる。獣人の青年は眉間にシワを寄せて不満そうに唸っていたが、背後から肩を掴まれて止められていた。
「…テオ、お前には運命の番がいるだろ」
「もう手の届かないお方なんだ。諦めなさい」
子どもの頃から可愛がってくれていた近所のおじさんおばさんから宥められるように言われた青年はぐっと歯を食いしばっていた。
テオは苦しんでいた。
長年の恋心と運命の番という存在に。
心は初恋の相手を求めてるのに、自分の奥深くに眠っている本能は運命の番だというレイラに向かっていた。
──既のところでテオは耐えてきた。
テオはどうしても恋心を捨てきれず、その想いが報われないとわかっていても彼女を求めていた。
そのため、運命の番とはまだ番ってはいない。テオが一歩引いて拒絶している形である。
まわりは『運命には誰も抗えない、素直に受け入れろ』と言う。それが正しい流れなのだと。獣人として生まれたからには本能に従わざるを得ないんだと。
テオはそうは思えなかった。
彼はデイジーと結ばれることのない現実に胸を掻きむしりたいくらい苦しんでいた。
彼女のいない世界なんて想像すらしなかったのだから。
■□■
「マック様、お願いします。どうぞお礼品を受け取ってください。でないと私は帰れません…」
深々と頭を下げた老年の男性に懇願されたマック一家はみんな顔を見合わせていた。
「…デイジーは元気ですか?」
彼らの気がかりはそれだけだ。
お金なんて本当にいらないのだ。彼女はそれ以上の幸せを一家に与えてくれたから。だけどあちらもそうはいかないのだろう。こうして定期的に使用人を寄越して来ては、受取拒否したお礼金を持ってくる。
その問いかけにフォルクヴァルツ家使用人はにっこり笑って頷いていた。
「話に聞く通り勤勉家でいらっしゃって、短期間で完璧に令嬢教育をマスターされました。最近は王立図書館に通われております。城下では魔術師としてご活躍なさっておいでですよ。民たちにも笑顔を向けられるようになり、日々健やかにお過ごしですよ」
貴族になってもデイジーの根っこは変わらない。魔術師として働きたいと、本を読みたいと願うところも同じ。デイジーは変わっていない。彼らは少しホッとした。
「それと我が国の大巫女・アレキサンドラ様と意気投合したのか、個人的にお茶をなさっており……そこにラウル王太子殿下が交じるということも多いようです」
そして大物人物と親しくなってしまうという……昔っからちょっと変わった子であったが、まさか大巫女様と親しくなるとは……。
突っ込みたいところは色々あるが、最後の単語に引っかかった彼らは怪訝な表情を浮かべていた。
ラウル王太子殿下という天上人の名前だ。
「あの子は…シュバルツの王妃に、なるんですかね?」
彼らはそのことが引っかかっていた。
彼女には生まれる前からの婚約者がいたとのこと。今では白紙撤回になっているが、生存が確認された今、その話を元に戻す可能性だってあるだろう。
貴族なら娘が王妃になることを誰よりも喜ぶ。フォルクヴァルツの領主夫妻をよく知らないマック一家はそれが心配で仕方なかった。
デイジーが望むのなら構わない。だけどそうじゃなければ?
デイジーの嫌がることはしないでくれと念押しするくらいにお願いしたが、彼らは王妃になることがデイジーの幸せだと思いこんでその話に持っていくかもしれない。
心配そうなマック一家に対し、使用人の反応はいまいちであった。
「お嬢様が殿下に恋しているとかそういう雰囲気はありませんね……正直、旦那様も奥様も、お嬢様を手放す気は無いようですので……それはないんじゃないでしょうか」
「……そう、なんですか?」
それはそれでどうなのだろう、とマック一家は思ったが、無理強いしないならそれで…とひとまず安心しようとした。
「娘たちが憧れる王太子殿下を、アステリア姫様は冷ややかな目で見つめておいでです。私どももそれが気がかりでして……一体何かあったのでしょうか…」
マック一家は別の意味で汗をかいた。
そんな態度を取ったら不敬罪になるかもしれないのに何しているのあの子…! と全身冷や汗をかいて震えた。
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