7 / 137
この恋に気づいて
意地っ張りなこころ
しおりを挟む
何度やっても基礎ができない私は、毎日放課後は自主的に居残って基礎魔法の練習を続けた。一緒に居残ろうかと言ってくれるイルゼの申し出を断ってひとり、人気のない実技場で延々と呪文を唱えつづけた。
「我に従う土の元素達よ……」
私の基本属性は土だ。なのですべての元素じゃなく、土に限定して呼びかけてみたが、相変わらず私の手からは搾りかすのような煙しか出てこない。頑張れば何とかなると思っていたが、何ともならずあれから数日が経過していた。
そうこうしている間に実技授業は先に進み、その中で私だけが置いてきぼりになってしまっている。
「ブルームさんはまだ出来ないの? このままじゃ落第しちゃうよ?」
授業中、みんなの前で先生に名指しされた私は萎縮する。先生の失望顔が怖くて、俯いて黙り込む。
周りではクラスメイトの一部がくすくす嘲笑する声が聞こえて来た。
「落第だってよ」
「まだ最初の段階じゃない、あの子卒業できないんじゃない?」
ひそひそとわざと聞こえるように言われるが、先生はなにも言わない。同じことを思っているからだろう。入学しょっぱなから躓いた生徒のことが面倒だと思っているんだ。
──ここでも、私は爪弾きものなんだな。だけど落第することは私もなんとなく想像しているから否定はできない。
「簡単なのになんで出来ないの?」
「お前、元素に嫌われてるんじゃねーの」
男子から小馬鹿にされたけど、私はなにも返せなかった。
自分でもわからないんだ。何度練習しても、どれだけ魔力を消費しても元素達は応えてくれない。私には魔力が宿っていないんじゃないかと不安になったけど、治癒魔法自体は使えるので魔力がなくなったわけじゃない。元素に嫌われているわけじゃないと信じたいのに……私は不安に駆られた。
「君は隅の方で練習していなさい。出来るまで皆に混ざれないと考えておきなさい」
先生に言われた言葉が心に深く突き刺さる。見捨てられたと感じてしまった。
何で私だけが取り残されているんだろう。
他のクラスメイトが次の実技に取り掛かっている間も私は基礎魔法の練習をした。ただただ焦って呪文を唱える。
だけど結局、その授業中も私は煙しか発生させられなかったのである。
授業が終わり、先生やクラスメイト達が立ち去った後、実技場に残された私はくるっと首を動かした。
「クライネルト君、大丈夫だから先に帰ってて」
前回同様、先生はクライネルト君に指導を丸投げした。クライネルト君はそれを断ることなく私の指導をしようとしてくれていたが、私は申し訳なくてそれを断った。
なんというか、今日もできない気がしているのだ。そうなれば時間の無駄となり、さすがのクライネルト君にも軽蔑の眼差しを送られるかもしれない。
「だけど、このままじゃ本当に置いていかれるよ? 基礎が出来てなきゃ先に進めない。早く出来るようになった方がいい」
クライネルト君は正論を言ってのけた。
そんなのわかっている。私だって先生がわざとあぁ言ったわけじゃないって理解しているさ。
だけどできないもんはできないんだ。どうしろというのだ。
「ブルームさんは土属性なんだってね。それと、故郷では誰かに習うことなく治癒魔法を日常的に使っていて、それに加えて通心術を──…」
なにやらクライネルト君がずらずら話している。だけど私は彼の話を聞いている余裕すらなかった。
自分が情けなくて、苦しかった。
ただ俯いてスカートの端を握り締めて耐えるくらいしかできなかった。
「目には見えないけど、空気中にはたくさんの元素達が漂っている。まず心を落ち着けて、目を閉じて彼らの存在を探るんだ」
何度もそれやった。だけど元素達の存在なんてわからなかった。
そして彼らも応えてくれなかった。
「慣れてくればコツも掴めるから、まずは始まりからもう一度やり直してみよう」
クライネルト君もきっと内心では私のことを見下しているんだろう。なんでこんなことも出来ないんだ? と呆れているだろうし、自分の時間を奪う私を煩わしいと思っているであろう。だけど先生に頼まれたから仕方なく面倒見ているんだ。優等生も大変だね。
──クライネルト君はさ、家が魔術師家系なんだもの。生まれたときから側に魔法があったんだから早いうちから基礎を身につけていたんでしょ。私とは違う。
私だってね、せめて座学だけは身につけようと夜寝る時間を削って勉強しているし、毎日早朝から夜遅くまで基礎の自主練しているの。それでも出来ないんだよ。そんな私にこれ以上なにをしろっていうの。
「無駄だよ。全部やったけど出来なかった」
彼は何の足しにもならない落ちこぼれの指導をしてくれているのに、私は反発してしまった。
「それはわかってる。だからもう一度初心に戻って」
「……我に従う元素達よ、我に力を貸し給え」
促されるがまま、渋々呪文を唱える。
そしてやはり私の手からはポヒュンと間抜けな音を立てて、魔法の残りカスが出現してくるのみ。
それを見たクライネルト君は考え込む姿勢になって無言になってしまった。真顔でじろじろ見られて私は気まずい気持ちになった。
「……これでも私は朝から晩まで練習してるの。それでも出来ないのよ」
沈黙が辛くて言い訳臭いことを言ってしまう。
指導してくれようとしてるのはありがたいけど、結局は時間の無駄だ。
だから私のことは放っておいてくれと言おうとしたら、深い海底のような瞳が私を射抜いた。
「諦めてしまったらそこでおしまいだよ。ここが踏ん張り所なんだ」
真面目な優等生らしい発言だ。彼の言っている言葉は理解できる。諦めたってなにも始まらないってわかっている。
だけど、何度やってもダメだった私は心折れかけていた。何やっても無駄だって諦めかけていた。授業中に受けた先生やクラスメイトの呆れた視線を思い出し、私は泣きたくなった。
「──どうせあなたも出来ないって思ってるでしょ?」
完全なる八つ当たりである。
基礎が出来なくて悪戦苦闘しつづけた結果なにも生み出せなかった自分の不甲斐なさ。自分への苛立ちに溜め込んだ怒り。それをわざわざ教えてくれている相手に妬みとしてぶつけているだけ。
私から八つ当たりをされたクライネルト君は眉をひそめるだけに留めた。
「そんなことは」
「クライネルト君だっていい迷惑でしょ。同じクラスの人間だからって落ちこぼれの面倒見させられて」
「ブルームさん」
彼が何かを言おうとするのを、首を横に振って阻止する。
「どうせ出来ないんだから、時間を無駄にすることは無いよ」
自分で言っておいて泣きたくなってきた。
だけど口は止まらない。恩を仇で返すように憎まれ口を叩いた私だったが、相手の表情が失望したように冷たくなったことに気づいて口を閉ざした。
「なら、勝手にしたらいい」
静かに突き放された言葉はどこか空虚に聞こえた。時間を犠牲にして指導しようとしてくれた彼にも見放された。完全なる自業自得だけど、もう終わりだと私は悟った。
彼が立ち去っていくのを見送った後、私も実技場を後にした。
もう無駄だ。私にはできない。なにをしても無駄なんだ。
このまま学校にいたって落第するだけ。みんなに軽蔑されるだけだ。
いっそ退学して実家に戻ろうか。
ぽたり。
フラフラと外に出ると、雨が降ってきた。
俯いて歩いていた私は地面に落ちた水滴を見て空を見上げる。
「……?」
残照が視界の向こうの山のてっぺんを照らしている。
雲ひとつない空なのに雨?
「ひぐっ…」
喉奥から込み上げて来る嗚咽に自分が泣いているんだと気づいたのは一拍後。涙腺が限界を迎えてしまったのか、ぼろぼろと涙が頬を伝う。
自分で自分が嫌になる。クライネルト君はなにも悪くないのに、ひどいことを言ってしまった。
私はなんて嫌な人間なんだ。なんでうまくいかないんだろう。
人に八つ当たりしてもなんにもならないのに。
『リナリア、どうしたの?』
『お腹痛いの?』
ちゅんちゅんとさえずる小鳥の声に私は宙を見上げた。たくさんの小鳥達が地面に集結して私の心配をしてくれた。
「……なんでもないよ、大丈夫。それよりどうしたの、その羽根。血が出てる」
『この辺うろついてるカラスにやられちゃったんだ』
群れの中にいた一羽が羽根から血を出していたので、私は手を伸ばした。怪我をしている小鳥は私の意図に気づいたようで小さな羽ばたきひとつで指先にとまる。
小鳥が潰れないように空いた片手をそっと添えると、言い慣れたおまじないを唱える。
「……痛いの、痛いの飛んでゆけ」
ポウッと暖かく柔らかい力が手の中に集中するのがわかった。
すぐに小鳥の怪我が治っていく。彼は『痛いのがなくなった! ありがとう!』と喜んでいた。
私は治癒魔法が使えたことに安堵する。
ほら、私は魔力持ちなのよ。魔法を使えるの。──なのに基礎魔法が使えない。周りの仲間たちはきっと私に失望してしまった。
自分の居場所を見つけたと思ったのに、ここでも私は仲間外れ。
昔から動物達だけが友達だった。
私が彼らを見返りを求めず助けるのは、動物達も見返りを求めないから。彼らは私を見捨てない。馬鹿にしないもの。
『リナリア? どうしたの? やっぱりお腹痛いの?』
『だれかにいじめられた?』
『誰? 頭にフン落としてきてやるよ』
元気のない私を心配する小鳥達が周りに集まってきた。肩や頭にとまる彼らが口々に話しかけて来るのを見てたら、すこし気が抜けて笑ってしまった。
彼らになら素直に自分の気持ちを明かせる。
愚痴るように小鳥達に辛かったことを語ると、彼らは右から左から上から下からピーチクパーチク騒いでいた。助言らしい物はなにも得られなかったけど、少しだけすっきりした。
「もうちょっとだけ、もうちょっとだけ頑張ろう」
自分に言い聞かせると、私はその場で目を閉じて周りの元素の気配を探る事からやり直したのである。
「我に従う土の元素達よ……」
私の基本属性は土だ。なのですべての元素じゃなく、土に限定して呼びかけてみたが、相変わらず私の手からは搾りかすのような煙しか出てこない。頑張れば何とかなると思っていたが、何ともならずあれから数日が経過していた。
そうこうしている間に実技授業は先に進み、その中で私だけが置いてきぼりになってしまっている。
「ブルームさんはまだ出来ないの? このままじゃ落第しちゃうよ?」
授業中、みんなの前で先生に名指しされた私は萎縮する。先生の失望顔が怖くて、俯いて黙り込む。
周りではクラスメイトの一部がくすくす嘲笑する声が聞こえて来た。
「落第だってよ」
「まだ最初の段階じゃない、あの子卒業できないんじゃない?」
ひそひそとわざと聞こえるように言われるが、先生はなにも言わない。同じことを思っているからだろう。入学しょっぱなから躓いた生徒のことが面倒だと思っているんだ。
──ここでも、私は爪弾きものなんだな。だけど落第することは私もなんとなく想像しているから否定はできない。
「簡単なのになんで出来ないの?」
「お前、元素に嫌われてるんじゃねーの」
男子から小馬鹿にされたけど、私はなにも返せなかった。
自分でもわからないんだ。何度練習しても、どれだけ魔力を消費しても元素達は応えてくれない。私には魔力が宿っていないんじゃないかと不安になったけど、治癒魔法自体は使えるので魔力がなくなったわけじゃない。元素に嫌われているわけじゃないと信じたいのに……私は不安に駆られた。
「君は隅の方で練習していなさい。出来るまで皆に混ざれないと考えておきなさい」
先生に言われた言葉が心に深く突き刺さる。見捨てられたと感じてしまった。
何で私だけが取り残されているんだろう。
他のクラスメイトが次の実技に取り掛かっている間も私は基礎魔法の練習をした。ただただ焦って呪文を唱える。
だけど結局、その授業中も私は煙しか発生させられなかったのである。
授業が終わり、先生やクラスメイト達が立ち去った後、実技場に残された私はくるっと首を動かした。
「クライネルト君、大丈夫だから先に帰ってて」
前回同様、先生はクライネルト君に指導を丸投げした。クライネルト君はそれを断ることなく私の指導をしようとしてくれていたが、私は申し訳なくてそれを断った。
なんというか、今日もできない気がしているのだ。そうなれば時間の無駄となり、さすがのクライネルト君にも軽蔑の眼差しを送られるかもしれない。
「だけど、このままじゃ本当に置いていかれるよ? 基礎が出来てなきゃ先に進めない。早く出来るようになった方がいい」
クライネルト君は正論を言ってのけた。
そんなのわかっている。私だって先生がわざとあぁ言ったわけじゃないって理解しているさ。
だけどできないもんはできないんだ。どうしろというのだ。
「ブルームさんは土属性なんだってね。それと、故郷では誰かに習うことなく治癒魔法を日常的に使っていて、それに加えて通心術を──…」
なにやらクライネルト君がずらずら話している。だけど私は彼の話を聞いている余裕すらなかった。
自分が情けなくて、苦しかった。
ただ俯いてスカートの端を握り締めて耐えるくらいしかできなかった。
「目には見えないけど、空気中にはたくさんの元素達が漂っている。まず心を落ち着けて、目を閉じて彼らの存在を探るんだ」
何度もそれやった。だけど元素達の存在なんてわからなかった。
そして彼らも応えてくれなかった。
「慣れてくればコツも掴めるから、まずは始まりからもう一度やり直してみよう」
クライネルト君もきっと内心では私のことを見下しているんだろう。なんでこんなことも出来ないんだ? と呆れているだろうし、自分の時間を奪う私を煩わしいと思っているであろう。だけど先生に頼まれたから仕方なく面倒見ているんだ。優等生も大変だね。
──クライネルト君はさ、家が魔術師家系なんだもの。生まれたときから側に魔法があったんだから早いうちから基礎を身につけていたんでしょ。私とは違う。
私だってね、せめて座学だけは身につけようと夜寝る時間を削って勉強しているし、毎日早朝から夜遅くまで基礎の自主練しているの。それでも出来ないんだよ。そんな私にこれ以上なにをしろっていうの。
「無駄だよ。全部やったけど出来なかった」
彼は何の足しにもならない落ちこぼれの指導をしてくれているのに、私は反発してしまった。
「それはわかってる。だからもう一度初心に戻って」
「……我に従う元素達よ、我に力を貸し給え」
促されるがまま、渋々呪文を唱える。
そしてやはり私の手からはポヒュンと間抜けな音を立てて、魔法の残りカスが出現してくるのみ。
それを見たクライネルト君は考え込む姿勢になって無言になってしまった。真顔でじろじろ見られて私は気まずい気持ちになった。
「……これでも私は朝から晩まで練習してるの。それでも出来ないのよ」
沈黙が辛くて言い訳臭いことを言ってしまう。
指導してくれようとしてるのはありがたいけど、結局は時間の無駄だ。
だから私のことは放っておいてくれと言おうとしたら、深い海底のような瞳が私を射抜いた。
「諦めてしまったらそこでおしまいだよ。ここが踏ん張り所なんだ」
真面目な優等生らしい発言だ。彼の言っている言葉は理解できる。諦めたってなにも始まらないってわかっている。
だけど、何度やってもダメだった私は心折れかけていた。何やっても無駄だって諦めかけていた。授業中に受けた先生やクラスメイトの呆れた視線を思い出し、私は泣きたくなった。
「──どうせあなたも出来ないって思ってるでしょ?」
完全なる八つ当たりである。
基礎が出来なくて悪戦苦闘しつづけた結果なにも生み出せなかった自分の不甲斐なさ。自分への苛立ちに溜め込んだ怒り。それをわざわざ教えてくれている相手に妬みとしてぶつけているだけ。
私から八つ当たりをされたクライネルト君は眉をひそめるだけに留めた。
「そんなことは」
「クライネルト君だっていい迷惑でしょ。同じクラスの人間だからって落ちこぼれの面倒見させられて」
「ブルームさん」
彼が何かを言おうとするのを、首を横に振って阻止する。
「どうせ出来ないんだから、時間を無駄にすることは無いよ」
自分で言っておいて泣きたくなってきた。
だけど口は止まらない。恩を仇で返すように憎まれ口を叩いた私だったが、相手の表情が失望したように冷たくなったことに気づいて口を閉ざした。
「なら、勝手にしたらいい」
静かに突き放された言葉はどこか空虚に聞こえた。時間を犠牲にして指導しようとしてくれた彼にも見放された。完全なる自業自得だけど、もう終わりだと私は悟った。
彼が立ち去っていくのを見送った後、私も実技場を後にした。
もう無駄だ。私にはできない。なにをしても無駄なんだ。
このまま学校にいたって落第するだけ。みんなに軽蔑されるだけだ。
いっそ退学して実家に戻ろうか。
ぽたり。
フラフラと外に出ると、雨が降ってきた。
俯いて歩いていた私は地面に落ちた水滴を見て空を見上げる。
「……?」
残照が視界の向こうの山のてっぺんを照らしている。
雲ひとつない空なのに雨?
「ひぐっ…」
喉奥から込み上げて来る嗚咽に自分が泣いているんだと気づいたのは一拍後。涙腺が限界を迎えてしまったのか、ぼろぼろと涙が頬を伝う。
自分で自分が嫌になる。クライネルト君はなにも悪くないのに、ひどいことを言ってしまった。
私はなんて嫌な人間なんだ。なんでうまくいかないんだろう。
人に八つ当たりしてもなんにもならないのに。
『リナリア、どうしたの?』
『お腹痛いの?』
ちゅんちゅんとさえずる小鳥の声に私は宙を見上げた。たくさんの小鳥達が地面に集結して私の心配をしてくれた。
「……なんでもないよ、大丈夫。それよりどうしたの、その羽根。血が出てる」
『この辺うろついてるカラスにやられちゃったんだ』
群れの中にいた一羽が羽根から血を出していたので、私は手を伸ばした。怪我をしている小鳥は私の意図に気づいたようで小さな羽ばたきひとつで指先にとまる。
小鳥が潰れないように空いた片手をそっと添えると、言い慣れたおまじないを唱える。
「……痛いの、痛いの飛んでゆけ」
ポウッと暖かく柔らかい力が手の中に集中するのがわかった。
すぐに小鳥の怪我が治っていく。彼は『痛いのがなくなった! ありがとう!』と喜んでいた。
私は治癒魔法が使えたことに安堵する。
ほら、私は魔力持ちなのよ。魔法を使えるの。──なのに基礎魔法が使えない。周りの仲間たちはきっと私に失望してしまった。
自分の居場所を見つけたと思ったのに、ここでも私は仲間外れ。
昔から動物達だけが友達だった。
私が彼らを見返りを求めず助けるのは、動物達も見返りを求めないから。彼らは私を見捨てない。馬鹿にしないもの。
『リナリア? どうしたの? やっぱりお腹痛いの?』
『だれかにいじめられた?』
『誰? 頭にフン落としてきてやるよ』
元気のない私を心配する小鳥達が周りに集まってきた。肩や頭にとまる彼らが口々に話しかけて来るのを見てたら、すこし気が抜けて笑ってしまった。
彼らになら素直に自分の気持ちを明かせる。
愚痴るように小鳥達に辛かったことを語ると、彼らは右から左から上から下からピーチクパーチク騒いでいた。助言らしい物はなにも得られなかったけど、少しだけすっきりした。
「もうちょっとだけ、もうちょっとだけ頑張ろう」
自分に言い聞かせると、私はその場で目を閉じて周りの元素の気配を探る事からやり直したのである。
29
あなたにおすすめの小説
時間を止めて ~忘れられない元カレは完璧な容姿と天性の才能を持つ世界一残酷な人でした 【完結】
remo
恋愛
どんなに好きになっても、彼は絶対に私を愛さない。
佐倉ここ。
玩具メーカーで働く24歳のOL。
鬼上司・高野雅(がく)に叱責されながら仕事に奔走する中、忘れられない元カレ・常盤千晃(ちあき)に再会。
完璧な容姿と天性の才能を持つ世界一残酷な彼には、悲しい秘密があった。
【完結】ありがとうございました‼
猫になった悪女 ~元夫が溺愛してくるなんて想定外~
黒猫子猫
恋愛
ディアナは欲深く、夫にも結婚を強いた悪女として知られた女王だ。当然のように人々から嫌われ、夫婦仲は悪く、病に倒れた時も誰も哀しまなかった。ディアナは、それで良かった。余命宣告を受け、自分の幸せを追い求める事などとうに止めた。祖国のためにできる事は全てやった。思うままに生きたから、人生をやり直せると言われても、人間などまっぴらごめんだ。
そして、《猫》になった。日向でのんびりと寝ている姿が羨ましかったからだ。いざ、自堕落な生活をしようと思ったら、元夫に拾われてしまった。しかも、自分が死んで、解放されたはずの彼の様子が妙だ。
あなた、隙あらば撫でようとするの、止めてくれる? 私達は白い結婚だったでしょう。
あなた、再婚する気がないの? 「お前を愛したりしない」って嬉しい事を言ってくれたのは誰よ!
猫になった孤高の女王×妻を失って初めて色々気づいてしまった王配の恋のお話。
※全30話です。
お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?
夕立悠理
恋愛
もうすぐ高校一年生になる朱里には、大好きな人がいる。義兄の小鳥遊優(たかなしゆう)だ。優くん、優くん、と呼んで、いつも後ろをついて回っていた。
けれど、楽しみにしていた高校に入学する日、思い出す。ここは、前世ではまっていた少女漫画の世界だと。ヒーローは、もちろん、かっこよくて、スポーツ万能な優。ヒロインは、朱里と同じく新入生だ。朱里は、二人の仲を邪魔する悪役だった。
思い出したのをきっかけに、朱里は優を好きでいるのをやめた。優くん呼びは、封印し、お兄ちゃんに。中学では一緒だった登下校も別々だ。だって、だって、愛しの「お兄ちゃん」は、ヒロイン様のものだから。
──それなのに。お兄ちゃん、ちょっと、距離近くない……?
※お兄ちゃんは、彼氏様!!……だよね? は二人がいちゃついてるだけです。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
一途な皇帝は心を閉ざした令嬢を望む
浅海 景
恋愛
幼い頃からの婚約者であった王太子より婚約解消を告げられたシャーロット。傷心の最中に心無い言葉を聞き、信じていたものが全て偽りだったと思い込み、絶望のあまり心を閉ざしてしまう。そんな中、帝国から皇帝との縁談がもたらされ、侯爵令嬢としての責任を果たすべく承諾する。
「もう誰も信じない。私はただ責務を果たすだけ」
一方、皇帝はシャーロットを愛していると告げると、言葉通りに溺愛してきてシャーロットの心を揺らす。
傷つくことに怯えて心を閉ざす令嬢と一途に想い続ける青年皇帝の物語
Catch hold of your Love
天野斜己
恋愛
入社してからずっと片思いしていた男性(ひと)には、彼にお似合いの婚約者がいらっしゃる。あたしもそろそろ不毛な片思いから卒業して、親戚のオバサマの勧めるお見合いなんぞしてみようかな、うん、そうしよう。
決心して、お見合いに臨もうとしていた矢先。
当の上司から、よりにもよって職場で押し倒された。
なぜだ!?
あの美しいオジョーサマは、どーするの!?
※2016年01月08日 完結済。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる