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◇李景宵(り けいしょう)◇
皇帝の弟である李景宵の執務室は、離宮の中でもひときわ静かな位置に設えられている。
南向きの高窓からは、初春のやわらかな日差しが差し込み、薄絹の簾を透かして床に淡い影を落としていた。
開け放たれた窓の向こうでは、庭の木々を渡る風が若葉を揺らし、どこかで小鳥が朗らかに囀っている。白梅の名残と、新しく芽吹いた草の匂いが、微かに室内へ流れ込んできた。
――穏やかな昼だ。
少なくとも、外の気配だけを切り取れば、そう言えただろう。
景宵は几案に向かい、積み上げられた案牘に視線を落としていた。
地方官からの訴状、内廷の調停案件、礼制の齟齬に関する報告。どれも急を要するものではないが、後回しにすれば必ず尾を引く、厄介な類いの文書ばかりだ。利害が絡み、誰かが必ず不満を抱く。正解はなく、ただ規則に照らして最も波風の立たない落とし所を探る作業が続く。
文字を追うごとに、目の奥がじわりと重くなる。
昨夜、まともに眠れていないことを、今さらのように思い出した。
(――集中しろ)
そう自分に言い聞かせ、景宵は案牘を一枚めくる。だが、行を追う視線がわずかに揺れ、次の瞬間、瞼が落ちかけた。
その気配を逃さず、控えていた沈周安(しん じゅうあん)が静かに声をかけてくる。
「殿下」
その声に、景宵は小さく息を吐き、視線だけを上げる。
「……何だ」
「お疲れでしたら、少し仮眠をお取りになってはいかがでしょうか。文書は逃げません」
周安は、几案の脇に立ったまま、感情を滲ませない表情でそう言った。進言というより、事実を淡々と述べるような口調だ。
「……そうだな」
そう応じはしたものの、景宵はすぐには身を動かさなかった。
眠気は、確かにある。
文字を追い続けたせいで思考は鈍り、こめかみの奥がじくじくと重い。
だが、それだけだ。
横になったところで、眠れるわけではない。
瞼を閉じれば、意識だけが冴え、呼吸の音と時の流れを数えることになる。
それを休息と呼べないことを、景宵は嫌というほど知っていた。
机の隅に置かれた、小さな長方形の蓋付きの箱へと視線が向く。
指先でそっと撫でると、乾いた感触が伝わってきた。
ほんのひと月前まで、夜は、違った。
胸の奥に、鈍い痛みが走る。
温もりを思い出すたび、無意識に眉が寄った。
そのわずかな変化を見逃さなかったのだろう。
周安が、いつもより抑えた声音で言った。
「差し出がましいこととは承知しておりますが……
ひとつ、ご進言してもよろしいでしょうか」
箱から視線を外し、景宵は静かに息を吐いた。
「……構わん、申せ」
周安が一歩前に出て、恭しく身を低くする。
景宵との年の差は十ほど上だったと記憶しているが、目元に刻まれた疲労の名残が、実年よりわずかに老けた印象を与えていた。
景宵に仕える以前、厄介な皇族付きとして苦労を重ねたと聞く。初めて会った頃は顔色も悪かったが、今は肌艶も戻り、身のこなしも落ち着いている。
側に置いて二年。
宮内の人脈と事情に通じ、必要な情報を滞りなく揃えてくる。判断も早く、信頼に足る側近だった。
「……差し出がましいことですが。眠りを軽く見られぬ方がよろしいかと存じます。私の親戚に、長く眠れぬまま無理を重ね、ある日ふと崩れてしまった者がおりまして……。その後は、回復にも随分と時を要しました」
周安の言葉に、景宵は「……はぁ」と短く息を吐いた。
力を抜いて背もたれに身を預け、指先で眉間を押さえる。
「それくらい、承知している」
口にした言葉が、思ったよりも鈍く響いた。
「だがな。医官の処方も、眠りに効くとされた茶も、一通り試した。それでも、肝心なところで効かない。これ以上、打つ手があるとは思えん」
「……殿下ご自身、眠りを妨げている理由には、お心当たりがおありなのでは」
周安の言葉に、景宵は視線を落とした。
否定はしない。
周安のいう通り、理由はわかっている。
かつてそこにあった温もりが、今はないからだ。
腕の中にあった重み。
眠りに落ちる前、無意識に触れていた存在。
それを失ったことが、これほどまでに夜を遠ざけるとは思っていなかった。
「……ですので」
景宵の沈黙を受け取ったように、周安が言葉を継ぐ。
「別の形で、眠りを取り戻す手立てをお考えになってはいかがかと」
「別の形?」
眉がわずかに動く。
問い返したのは、意味が分からなかったからではない。
その先を察して、反射的に拒みが生じたからだ。
だが、進言を許したのは自分自身だ。
景宵は一度、息を整えた。
「……具体的には」
「そうですね……例えば、誰かと同じ寝所にお休みになるのはいかがでしょうか?」
「……誰を想定している」
皮肉を含ませたつもりだったが、声に力は乗らなかった。
周安は一瞬だけ間を取り、慎重に言葉を選ぶ。
「たとえば、先日、離宮へ迎え入れられた、寧珀様など」
(――寧珀?)
「……誰だ、それは」
「邵族より差し出された瑞性の者ですよ。先日の謁見で、お目にかかられたはずですが」
「ああ……」
記憶の奥をなぞると、淡い灰白の衣と、過剰なほど整えられた礼の姿勢が蘇る。
「いたな……」
自分でも驚くほど、空々しい声だ。
思い出しても、胸が動かない。
瑞性の男。
人によっては、女より好む者もいるのだろう。だが景宵にとって「瑞性」というだけで、その存在はどこか哀れに映る。
主性に引き寄せられるためだけに在り、当人たちもまた、そこに己の価値を結びつけて生きている。
自ら選ぶ余地のない生き方だ。主体性を奪われた在り方は、どうしても痛ましく思えてしまう。
――『で、ですが……それでは、僕……あ、いや、私がここにいる意味が……』
謁見の折、言葉を失いかけていた寧珀の声が、ふと脳裏をよぎった。
「そもそも邵族は、白嶺山陵を守る“神聖な民族”と位置づけられております。形式の上でも、あまりに素っ気ない扱いは好ましくないかと」
「丁重に扱っているだろ。身辺も過不足なく整えてやっているはずだ」
「ですが……彼自身は、殿下との縁を望んでいるようでした」
「ないな」
きっぱりと言い切る。
たとえこの先、自分が伴侶を迎えることがあったとしても、瑞性だけは選ばない。
西陵国では、白虎は『守り』や『境界』の象徴として語られる一方、瑞性は主性に結びつくための体質として扱われてきた。
しかし、景宵には、その結びつきが必ずしも幸福をもたらすとは思えなかった。
幼い頃、気持ちの伴わない縁がどれほど人を摩耗させるかを、最も近い場所で見ている。
役目として結ばれ、役目として耐え続ける。その果てに残るのは、空虚だけだ。
「……わかりました。邵族の青年の件は、ひとまず脇に置きましょう」
自分から持ち出した話題だというのに、周安はあっさりと切り替えた。
それが、この男の持つ実務的な一面なのだと、景宵は理解している。
「何よりも重要なのは、殿下がきちんとお休みになられることです」
淡々と、しかし引かずに言う。
「もしご所望でしたら、眠りを助けるため、お側に控える者を改めて選び直すことも可能です。似通った容姿の者がよろしければ、そのように手配をいたしましょう。今度は、より身体の丈夫な者を――」
「周安」
名を呼んだだけだった。
だが、その声の温度で、周安は自分の踏み込みすぎを悟ったらしい。
「……失礼いたしました。出過ぎた進言でした」
短く詫び、静かに頭を下げる。
「私の身を案じての言葉だということは、わかっている」
景宵は、即座に湧き上がった感情を抑え、ゆっくりと息を吐いた。
「強く咎めるつもりはない。だが、これだけは、はっきりさせておく」
周安の前で、言葉を選ぶ必要はなかった。
「……あの子の代わりはいない」
視線が、自然と自分の両手へと落ちる。
「私にとって、唯一の……存在だった」
この手で触れた温もり。
胸に寄せられた小さな体の重さ。
それらを、いつまで覚えていられるのだろうか。
すでに、少しずつ薄れていく感覚がある。
それが、ひどく怖かった。
(――会いたい)
そう、思ってしまう。
皇帝の弟である李景宵の執務室は、離宮の中でもひときわ静かな位置に設えられている。
南向きの高窓からは、初春のやわらかな日差しが差し込み、薄絹の簾を透かして床に淡い影を落としていた。
開け放たれた窓の向こうでは、庭の木々を渡る風が若葉を揺らし、どこかで小鳥が朗らかに囀っている。白梅の名残と、新しく芽吹いた草の匂いが、微かに室内へ流れ込んできた。
――穏やかな昼だ。
少なくとも、外の気配だけを切り取れば、そう言えただろう。
景宵は几案に向かい、積み上げられた案牘に視線を落としていた。
地方官からの訴状、内廷の調停案件、礼制の齟齬に関する報告。どれも急を要するものではないが、後回しにすれば必ず尾を引く、厄介な類いの文書ばかりだ。利害が絡み、誰かが必ず不満を抱く。正解はなく、ただ規則に照らして最も波風の立たない落とし所を探る作業が続く。
文字を追うごとに、目の奥がじわりと重くなる。
昨夜、まともに眠れていないことを、今さらのように思い出した。
(――集中しろ)
そう自分に言い聞かせ、景宵は案牘を一枚めくる。だが、行を追う視線がわずかに揺れ、次の瞬間、瞼が落ちかけた。
その気配を逃さず、控えていた沈周安(しん じゅうあん)が静かに声をかけてくる。
「殿下」
その声に、景宵は小さく息を吐き、視線だけを上げる。
「……何だ」
「お疲れでしたら、少し仮眠をお取りになってはいかがでしょうか。文書は逃げません」
周安は、几案の脇に立ったまま、感情を滲ませない表情でそう言った。進言というより、事実を淡々と述べるような口調だ。
「……そうだな」
そう応じはしたものの、景宵はすぐには身を動かさなかった。
眠気は、確かにある。
文字を追い続けたせいで思考は鈍り、こめかみの奥がじくじくと重い。
だが、それだけだ。
横になったところで、眠れるわけではない。
瞼を閉じれば、意識だけが冴え、呼吸の音と時の流れを数えることになる。
それを休息と呼べないことを、景宵は嫌というほど知っていた。
机の隅に置かれた、小さな長方形の蓋付きの箱へと視線が向く。
指先でそっと撫でると、乾いた感触が伝わってきた。
ほんのひと月前まで、夜は、違った。
胸の奥に、鈍い痛みが走る。
温もりを思い出すたび、無意識に眉が寄った。
そのわずかな変化を見逃さなかったのだろう。
周安が、いつもより抑えた声音で言った。
「差し出がましいこととは承知しておりますが……
ひとつ、ご進言してもよろしいでしょうか」
箱から視線を外し、景宵は静かに息を吐いた。
「……構わん、申せ」
周安が一歩前に出て、恭しく身を低くする。
景宵との年の差は十ほど上だったと記憶しているが、目元に刻まれた疲労の名残が、実年よりわずかに老けた印象を与えていた。
景宵に仕える以前、厄介な皇族付きとして苦労を重ねたと聞く。初めて会った頃は顔色も悪かったが、今は肌艶も戻り、身のこなしも落ち着いている。
側に置いて二年。
宮内の人脈と事情に通じ、必要な情報を滞りなく揃えてくる。判断も早く、信頼に足る側近だった。
「……差し出がましいことですが。眠りを軽く見られぬ方がよろしいかと存じます。私の親戚に、長く眠れぬまま無理を重ね、ある日ふと崩れてしまった者がおりまして……。その後は、回復にも随分と時を要しました」
周安の言葉に、景宵は「……はぁ」と短く息を吐いた。
力を抜いて背もたれに身を預け、指先で眉間を押さえる。
「それくらい、承知している」
口にした言葉が、思ったよりも鈍く響いた。
「だがな。医官の処方も、眠りに効くとされた茶も、一通り試した。それでも、肝心なところで効かない。これ以上、打つ手があるとは思えん」
「……殿下ご自身、眠りを妨げている理由には、お心当たりがおありなのでは」
周安の言葉に、景宵は視線を落とした。
否定はしない。
周安のいう通り、理由はわかっている。
かつてそこにあった温もりが、今はないからだ。
腕の中にあった重み。
眠りに落ちる前、無意識に触れていた存在。
それを失ったことが、これほどまでに夜を遠ざけるとは思っていなかった。
「……ですので」
景宵の沈黙を受け取ったように、周安が言葉を継ぐ。
「別の形で、眠りを取り戻す手立てをお考えになってはいかがかと」
「別の形?」
眉がわずかに動く。
問い返したのは、意味が分からなかったからではない。
その先を察して、反射的に拒みが生じたからだ。
だが、進言を許したのは自分自身だ。
景宵は一度、息を整えた。
「……具体的には」
「そうですね……例えば、誰かと同じ寝所にお休みになるのはいかがでしょうか?」
「……誰を想定している」
皮肉を含ませたつもりだったが、声に力は乗らなかった。
周安は一瞬だけ間を取り、慎重に言葉を選ぶ。
「たとえば、先日、離宮へ迎え入れられた、寧珀様など」
(――寧珀?)
「……誰だ、それは」
「邵族より差し出された瑞性の者ですよ。先日の謁見で、お目にかかられたはずですが」
「ああ……」
記憶の奥をなぞると、淡い灰白の衣と、過剰なほど整えられた礼の姿勢が蘇る。
「いたな……」
自分でも驚くほど、空々しい声だ。
思い出しても、胸が動かない。
瑞性の男。
人によっては、女より好む者もいるのだろう。だが景宵にとって「瑞性」というだけで、その存在はどこか哀れに映る。
主性に引き寄せられるためだけに在り、当人たちもまた、そこに己の価値を結びつけて生きている。
自ら選ぶ余地のない生き方だ。主体性を奪われた在り方は、どうしても痛ましく思えてしまう。
――『で、ですが……それでは、僕……あ、いや、私がここにいる意味が……』
謁見の折、言葉を失いかけていた寧珀の声が、ふと脳裏をよぎった。
「そもそも邵族は、白嶺山陵を守る“神聖な民族”と位置づけられております。形式の上でも、あまりに素っ気ない扱いは好ましくないかと」
「丁重に扱っているだろ。身辺も過不足なく整えてやっているはずだ」
「ですが……彼自身は、殿下との縁を望んでいるようでした」
「ないな」
きっぱりと言い切る。
たとえこの先、自分が伴侶を迎えることがあったとしても、瑞性だけは選ばない。
西陵国では、白虎は『守り』や『境界』の象徴として語られる一方、瑞性は主性に結びつくための体質として扱われてきた。
しかし、景宵には、その結びつきが必ずしも幸福をもたらすとは思えなかった。
幼い頃、気持ちの伴わない縁がどれほど人を摩耗させるかを、最も近い場所で見ている。
役目として結ばれ、役目として耐え続ける。その果てに残るのは、空虚だけだ。
「……わかりました。邵族の青年の件は、ひとまず脇に置きましょう」
自分から持ち出した話題だというのに、周安はあっさりと切り替えた。
それが、この男の持つ実務的な一面なのだと、景宵は理解している。
「何よりも重要なのは、殿下がきちんとお休みになられることです」
淡々と、しかし引かずに言う。
「もしご所望でしたら、眠りを助けるため、お側に控える者を改めて選び直すことも可能です。似通った容姿の者がよろしければ、そのように手配をいたしましょう。今度は、より身体の丈夫な者を――」
「周安」
名を呼んだだけだった。
だが、その声の温度で、周安は自分の踏み込みすぎを悟ったらしい。
「……失礼いたしました。出過ぎた進言でした」
短く詫び、静かに頭を下げる。
「私の身を案じての言葉だということは、わかっている」
景宵は、即座に湧き上がった感情を抑え、ゆっくりと息を吐いた。
「強く咎めるつもりはない。だが、これだけは、はっきりさせておく」
周安の前で、言葉を選ぶ必要はなかった。
「……あの子の代わりはいない」
視線が、自然と自分の両手へと落ちる。
「私にとって、唯一の……存在だった」
この手で触れた温もり。
胸に寄せられた小さな体の重さ。
それらを、いつまで覚えていられるのだろうか。
すでに、少しずつ薄れていく感覚がある。
それが、ひどく怖かった。
(――会いたい)
そう、思ってしまう。
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