傀儡使いと獣耳少女の世界遍歴

トンボ

文字の大きさ
49 / 119
第二章 大魔道書『神々の終焉讃歌録』

47 在るべき場所へ

しおりを挟む
「……これは」

 アレンの闘いが終わり、辺りは静寂に包まれた。
 駆け寄ってきたシアンと合流したシルヴァは、アレンの方へ行こうとしたところで、ハーヴィンの居た場所に積もった灰の中に何かが落ちているのを見つけて立ち止まる。

 シルヴァは灰に近寄り、その埋もれた何かを拾い上げた。シルヴァが手に取ったそれは、とても草臥くたびれている様子の紙だった。よく見ると、そのしわのある表面には細かい文字が綴られており、どうやらこれは手紙のようだ。

 シルヴァはその本文を読まず、裏面を返してみてみる。

「……ハーヴィンへ、か」

 その手紙の裏面の右下にはそう書かれた。シルヴァはそれを少し見つめると、その手紙をそのまま灰の中に戻す。

 これはシルヴァが踏み込んで良い内容ではない気がしたのだ。例え持ち主がすでにこの世にいないとしても、彼の内情を意味もなく勝手に覗くのは、ある種の冒涜ともいえるかもしれない。

 故にシルヴァはそのまま灰に背を向けた。心配そうに顔を傾けるシアンに、シルヴァは「大丈夫」と笑い、二人でアレンの方へ向かったのだった。






「アレン!」

 シルヴァとシアンがその場所に駆け付けると、アレンは一人瓦礫の上に腰を掛けていた。シルヴァの声に気づいた彼は二人の方へ視線を向けると、疲労の募った笑顔を浮かべる。

「……その様子だと、そっちも解決したみたいだね」

 そのまま立ち上がり、服についた砂を払うアレン。崩れ落ちた例の傀儡の破片が散らばる中で立ち、見る限り怪我ひとつないその姿に、シルヴァとシアンは息を呑んだ。

 二人は少なくても、アレンと対峙していた魔導傀儡の別次元な強さを本能で実感していた。あの傀儡は起動したら最後、真正面から戦ったら数分と持たないと理解するほどに。
 それをアレンは傷一つなく下した。その事実が何とも現実味がなくて、二人は少し困惑していた。

 そんな二人に向かってアレンは口を開く。

「ハーヴィンは……いや、聞く必要はないか」

 自問自答。アレンはシルヴァの答えを待たずして結論を導いた。
 その様子にシルヴァはアレンに問う。

「聞かなくていいの?」

「何となく最期は予想がつく。……精霊を憑依させて、あれほどの出力で暴れたんだ。体が耐え切れるはずがない」

「……」

 アレンの言葉に、静かに悟っていたであろうシアンは少し目を細めて獣耳を垂らした。

 シアンもシアンで、アレンもアレンで、ハーヴィンに対して思うところがあったのかもしれない。彼は三人とは真っ向から敵対している存在だった。一時は私兵を使ってカレンをさらおうとまでしていた。けれども、彼の魔導書に対する執念。それだけは歪んでいたとしても真なるものだった。だから好印象は持たずとも、何か思うところはあるのかもしれない。

 ハーヴィンの話でその場は再びしんと静まった。そんな雰囲気を打破するために、急くようにシルヴァはアレンに声をかける。

「とりあえず、僕たちは無事だったんだ。何か祝いでも――」

 そこまで言ってシルヴァはようやく自分の失態に気づいた。シルヴァもシルヴァで疲弊していたのかもしれない。

 自分たちが無事、というには楽観的過ぎる。短い間だったが、シルヴァとシアンと一緒にカレンもこの場所で生活をしていたのだ。例えその正体が殺戮人形だったとしても、三人の中ではただ一人の人間として映っている。
 その彼女は、果たして無事だっただろうか。

「……心配ない」

 思わず目を伏せて黙りこくっていたシルヴァの肩を、アレンは優しく叩いた。

「いつかは、こうなる定めだった。あれを制御するのにもいずれ限界がくる。その時が少し早まっただけさ」

 そう言うアレンの表情は、確かに曇ってはいなかった。けれど、晴れているわけでもない。柔らかい表情の奥には、冷たいものを感じさせた。シルヴァはやり切れなくなって、アレンの顔から眼を反らす。

 シルヴァの隣に立っていたシアンも、その言葉を聞いて目を伏せた。
 シアンにとって、カレンという存在は一日だけの付き合いで済ませられるほどに薄い存在ではなかったのだろう。シアンとシルヴァとの間にあった認識の違い。お互いに『分かっている』と思っていたからこそ、言うべきことを言わずして成り立っているように見えた関係性。それを正したのはシアンであり、そのきっかけを与えたのはきっとカレンだ。それが、アレンによって殺戮衝動を抑圧されていた殺陣魔導傀儡カレンであろうが、彼女がシアンを導いたのには変わりがない。

「カレン……」

 ぼそりと、シアンが獣耳をピタンと頭に倒して悲しそうに呟いた。そんなシアンをアレンは少し見つめると、それからぼそりと彼女に問う。

「シアン、一つ聞いてもいいかな?」

「……? いいよ?」

 シアンはアレンの方を向いて、依然と獣耳は倒したままであるけれど、その問いに応える。アレンはそれを見ると、そのまま続けた。

「俺は確かにカレンを制御してた。……けど、行動すべてを制御し把握できてたワケじゃない。あの傀儡は、たまに想定外な行動をしてたんだ。……昼過ぎに、君はカレンに手を引かれて台所に行ったよね? 傀儡アレは、君に何を言ったんだ?」

 それを聞いたシアンは目を丸くして、アレンへ聞き返す。

「アレンがカレンを通じて私に行ったわけじゃないの……? 私はアレンがカレンを生きてるように見せかけてるって聞いたから……」

「……いや、そういう魔法は俺は専門外で、魔力のほとんど殺戮衝動の『抑圧』に使わざる得なかった。だからアレの基本的な行動はアレ自身で……」

「……うん?」

 アレンとシアンの会話を聞いて、シルヴァはその入れ違いに少し首を傾げた。それは当事者であるシアンとアレンも大きく感じていることで、その場の雰囲気がまた異なるものへと変わる。
 シルヴァは困惑する二人の間に入って、アレンへ聞いた。

「じゃあアレンは殺戮衝動を抑える以外のことはあまりしてない、ってこと?」

「あまり、というべきじゃないな。言ったろ、俺はその専門じゃない。だから殺戮衝動を抑えるだけでも精一杯以上だった。いつ殺戮衝動が放たれるか分からない綱渡りをしてた、と言っても過言じゃない。そんな俺が、それ以外のできると思うか?」

「……じゃ、じゃあ、私に言った言葉は、まさかカレン自身が……」

 シアンはその推測に達し、口の前に手を当てる。アレンも汗を流しながらシルヴァをちらりと見た。

 そういえば、とシルヴァは思い返す。四人で昼ご飯を食べ終わった少し後のことだ。
 確かカレンが台所に一人で行って洗い物をしていた時だ。リビングでは三人が話していた時、彼女は台所で皿を落とした。そしてその音はリビングまで届き、その場にいた者はハーヴィンから襲撃を受けたのかと思って、慌ててカレンのいる台所に向かったのだった。

 その時、アレンは誰よりも早く台所へ向かっていた。当時は姉を襲われたのだから、反応が早くなるのも仕方ないと考えていた。
 しかし今になって考えてみると、少し違うのかもしれない。あの音を、アレンは抑え込んでいた殺人衝動が何かの拍子に漏れ出た音だと思って焦った。そしてアレンはそれを放っておく訳にはいかず、なおそれをシルヴァとシアンに見られる訳にもいかなかった。だから、二人よりも早く現場に向かったのではないだろうか。

「シアン、もう一度問う。姉貴・・は君に何を――」

 アレンが真っすぐな瞳でシアンを見つめて言った、その時だった。

 三人の周りの地面から、いくつかの淡い青い光が輝き始めた。三人は慌てて構えるけれど、殺意のようなものは全く感じない。だから不安を感じるというよりも、不思議に思って困惑した。

 その光の出どころを観察して、シルヴァには気づいたことがあった。
 その光源は、何かの破片から放たれている。見る限り、これは家の瓦礫の類ではない。黒く、木でも石でもない、ちょっとテカテカと角ばっている端材。まじまじとよく見ると、シルヴァが見たことのない、全くの未知の材料だった。

 それを観察したのはシルヴァだけでもない。シアンやアレンも、彼と同じように観察してその光源に気づいていた。
 その中でも、シアンはシルヴァと同じ反応だったが、アレンに限ってはそうはならない。

「――これは、俺が粉々にした、魔導傀儡の……!」

 その発言に、シルヴァとシアンの視線が一瞬でアレンに向かっていった。そしてアレンが冗談だとか、見間違えとかでそう言ったわけではないと彼の表情から悟った後は、再びその端材へと視線を戻す。

 その青い光は段々と集まっていき、まるで煙のように大気へと集中した。それを三人は呆気とした表情で眺めている。
 周囲を照らす青い光からは、妙な暖かさを感じた。不安になるようなものとは程遠い、どちらかというと安心を与えてくるような暖かさ。

「この、温度……」

 シアンはそう呟くと、瞳に涙を溜めて虚空を抱きしめる。が、その腕は当然くうをかいて、自分の体へと返ってきた。

 ――その時だった。

「――」

 集まっていた青い光が、シアンの方へ向かったと思ったら、腕に姿を変えて、彼女の頭を撫でた。それを見ていたシルヴァとアレンはともかく、直に触られたシアンは弾かれるように視線を上げる。

「……カレン?」

 シアンの呟きに、青い光の腕は彼女の頭から離れていく。
 その腕の根本にある光はぼやけていて、とても何かを形どっているかははっきりしない。けれど、シアンの発言からして、三人はその正体について検討はついていた。だけど、その結論で確定させるには、とてもとても、自分たちに都合の良い結果であって、現実というよりは幻想に過ぎなかった。

「……っ!」

 アレンが大きく目を見開いて、腕を前に広げる。
 するとあろうことか、その青い光はアレンの方へ向かっていったと思うと、それは――。

「――」

 ――少なくとも、それは青い霧が邪魔して、シルヴァからは見えなかった。

 それでも、よく目を凝らして何とか霧の中を見た結果、その向こうには人影のようなものが、アレンの両頬を両手で触れて、彼の顔の前でほほ笑んでいるような輪郭があったような気がした・・・・

 それは杞憂かもしれない。その光はその後、すぐに上空へと消えていって、気が付けば世界は再び夕暮れの赤に染まっていた。
 呆気らかんした光景。その場所に佇む三人。

「俺、は……」

 そんな中で、アレンは肩を抱いて崩れ落ちる。そして赤い夕焼けに照らされながら、静かに涙を流したのだった。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化! 転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

巻き込まれた薬師の日常

白髭
ファンタジー
神に選ばれ、魔素の循環する界へと送り込まれたのは――現代の薬師。 剣も魔法も扱えない彼が憑依したのは、戦闘力ゼロの商人見習いの少年だった。 彼の武器は、知識と経験。商品を生み出し、人脈を築き、産業を広げていく。 「居場所を見つけたい」その願いが、やがて世界を変える力となる。 これは、一人の薬師が紡ぐ研究と開発、そして成長の物語。 【カクヨムでも掲載しています】 表紙は紹介文をもとに、ai【adobe firefly】で作成したものです。(参考程度に……)

処理中です...