18 / 74
2巻
2-2
しおりを挟む
数分かけてCランクモンスターの群れが目視出来るところまで到達すると、それらはブラックウルフの群れだとわかった。
「表示されていたのはブラックウルフだったか……ウルフ系のモンスターは肉があまり美味しくないけど、それ以外は全て武器や防具の素材になるから、特に中堅CランクからBランクの冒険者には人気があるんだよね。それにレイア達とは完璧な別種族だから倒すのにそれ程迷わなくて済むし、俺としてもありがたい。それじゃあ、ブラックウルフには俺の『武器防具錬成』の練習台になってもらおうかな」
クロードは隠れて覗いていた茂みからブラックウルフの群れの前に出る。
お互いが戦闘態勢に入った。
最初にしかけたのはブラックウルフの群れで、クロードは武器を構えたままブラックウルフ達を迎え撃つ形になった。
「みんな、なるべくで良いから素材を傷付けないようにしてブラックウルフを倒してね。でも絶対じゃないから、危ないと思ったらそんな事考えないで倒しちゃって良いよ」
「はい。わかりました。でもそのような縛りがあった方が戦闘にメリハリが付いて良い訓練になると思いますよ。まあ、無理はしませんけどね」
そう言いながらクロードとナビー、五つ子のうちの一匹ハロが土魔法でブラックウルフ達の足を止めた。
レイアと残りの四匹ボロ、イリア、レイ、リサがブラックウルフ達の首に噛みついたり引っかいたりしながら攻撃して、徐々に群れを倒していった。
開始から数分後、最後の一体を倒して戦闘は終わりを迎えた。
「よし、これが最後のブラックウルフだね。みんな、体もよく動いてたし連携も取れてたね。今回の戦闘で課した、なるべく素材を傷付けないという条件も無事にクリア出来てたし、みんな本当に強くなったよ。それじゃあ、倒したブラックウルフをアイテムボックスにしまって、次のモンスターのところに向かおうか」
ブラックウルフ十体の死体をアイテムボックスにしまい終わったクロードは、また『マップ』を発動して次のモンスターを求めて森の中を探索し始めた。
それから十分程モンスターを探していると『マップ』の端にBランクのモンスターの反応が現れた。
「お、次はBランクのモンスターか。いったいどんなモンスターなんだろう。とりあえず確認しに行こうか。みんな、行くよ」
「はい。Bランクのモンスターですか。なんだか腕が鳴りますね」
「「「「「「わふふ、わふ」」」」」」
そして、今回も目視出来るところまで来て茂みに隠れながら見てみると、そのモンスターは、ドラゴニュートだった。
「げ、ドラゴニュートかぁ。あのモンスターは知能が高い事でも知られている限りなくAランクに近いモンスターなんだよ。みんな、どうする? 今ならまだ引き返せる……」
クロードはそう言いかけたところで言葉を止めた。
「……と思ったけど、どうやらもう引き返すのは無理みたいだね。ドラゴニュートがしっかりこっちを見てるよ。ここにいるのがバレバレだな。戦うしかないかな。みんな、戦闘準備して! 来るよ」
戦闘態勢へと入った瞬間、ドラゴニュートがもの凄い速さでこちらに接近してきた。
クロード達はドラゴニュートの強烈な突進を回避して、距離を一定以上取りつつドラゴニュートを囲むような陣形をとった。
「みんな、各自カバーし合いながら確実にドラゴニュートの体力を削っていこう」
「はい。わかりました」
「「「「「「わふ」」」」」」
ナビー、レイア、五つ子達の返事を聞いたクロードは、早口で作戦を告げる。
「まず、ナビーと子供達は俺とレイアのサポートに回ってくれ。今回の相手のドラゴニュートは、今まで相手にしてきたモンスターとは明らかにレベルが違う。みんなに何かあったら俺は耐えられそうにないからね」
「っ!? わ、わかりました」
ナビーは最後の言葉に驚いたように返事をする。
彼女のそんな様子は気にせず、クロードとレイアはナビーと子供達にドラゴニュートを攪乱してもらいつつ、刃を交えた。
「このドラゴニュートは中々しぶといな。レイア、奴を左右から挟み込んで強烈な一撃を叩き込むよ」
「わふ!」
クロードとレイアは、ナビーと子供達の牽制によって集中力を切らしているドラゴニュートの隙をついて左右から挟み込んだ。
クロードは上級剣術スキルの技である『双牙煉獄斬』を、レイアは自分の牙に風の魔力を纏わせて『風爪牙』をそれぞれドラゴニュートに叩き込んだ。
そして、戦闘開始から十分経った頃、流石のドラゴニュートも一対多の不利な状況を覆す事は出来ず、クロード達によって倒された。
「ふう、ドラゴニュート一体倒すのに結構時間がかかってしまったね。さっさと素材をアイテムボックスにしまって次のモンスターを探そう」
その後、多数のCランクとBランクのモンスターを倒したクロードが、ネックの街にそろそろ戻ろうとしていた時、遠くの方から女性の叫び声が聞こえてきた。
クロードは、『マップ』を表示しながら女性の叫び声が聞こえたと思われる方へ急いで向かっていく。
道中、『マップ』の端にCランクモンスターの光点が現れたかと思えば、CランクモンスターやBランクモンスターの光点が『マップ』上に次々に出現。最後にAランクモンスターの光点が一つ現れた。
「ナビー、なんかもの凄くやばそうなモンスターの群れを発見したけど、肝心の叫び声の人が表示されないんだ。一体どうなってるんだ」
「マスター、『マップ』は今モンスターのみ表示されるように設定していますから、人が表示されないのは当然です。早く初期設定に戻してください」
「ああ、わ、わかった」
ナビーの言う通りに『マップ』を初期設定に戻してもう一度確認してみると、モンスターの大群の中に一つだけ別の光点を発見する事が出来た。
「この光点がさっきの叫び声の主かもしれないな。とりあえずここに向かおう。『マップ』を見た限り明らかにモンスターの群れに追われている」
「はい」
「「「「「「わふっ」」」」」」
『マップ』に表示された場所に急いで向かい、到着したクロード達。
様子を見てみると、体中傷だらけの人間の女性がオーガの群れの追撃を必死に避けながら逃げている光景があった。
「そうか、Cランクモンスターがオーガで、Bランクモンスターがハイオーガ、そして、あの一番後ろにいるのがAランクモンスターのオーガナイトだったのか」
クロードの呟きに、ナビーが頷く。
「あのメンツだと偵察部隊の可能性が一番高いですね。たぶんこの近くのどこかにオーガ達の集落か何かがあるはずです。そこにはもっと上のランクの化け物達がうじゃうじゃいるはずですから、そいつらに報告される前に彼女を救出しないとですね」
「なるほどな。確かにそんな上のランクの化け物達に報告されると、あとが面倒くさいな。奴らを倒して彼女を救出したら、速攻でネックの街まで戻ろう」
「そうですね。では、殲滅しに行きましょう」
「「「「「「わふふ」」」」」」
クロード達は、襲われている女性を救出するため、オーガの群れに向かって攻撃をしかけていった。
最初の攻撃を群れの最前列にいたオーガ達に浴びせている間に、女性が逃げてくれれば良かったのだが、女性は傷だらけで、ろくに体を動かす事が出来ない状態らしい。
クロードはリサに指示して彼女を後方に下がらせ、彼女の周りに結界魔法で結界を展開して安全を確保。
続けてリサに前線に戻るように指示した。
みんなで最前線にいるオーガ約二十体の首を集中的に攻撃し、バッタバッタと倒していく。そのうち、残りはハイオーガ十体とオーガナイト一体となった。
その時、オーガナイトが何やら指示を出す。
すると、ハイオーガ達がオーガナイトを中心に陣形を変えていき、何か大きい矢印のような陣を形成した。
「なんだあの陣形は……? 攻撃特化型の陣形か何かか? ん、矢印の傘の部分が開き始めてTの字っぽくなってきたぞ」
「あ、また形を変えました。どうやら変形はこれで終わりのようですね。最終的な形はピラミッド型のようです」
「ああ、あいつらは俺達をあの陣形で押しつぶそうとしているみたいだね。どういう意味があるのかはわからないが……まあ、そう上手くはいかないよ」
そして、この戦闘の第二ラウンドが始まった。
ピラミッド型の陣形を形成してきたオーガナイト達と睨み合う形となったクロード達は、どう攻めるべきか迷っていた。
「ん~。リーダーのオーガナイトを倒すには、その前に陣取っているハイオーガ達をなんとかしないといけないんだけど……よし! ちょっと子供達とナビーにとっては厳しい戦いになるかもしれないが、訓練も兼ねてやってみるか。ハイオーガ達を俺が六体、レイアが三体、ナビーと子供達が一体倒す事にしよう。その間、オーガナイトには俺の張る結界の中で大人しくしていてもらおう。あ、そうだ『鑑定』してあいつらの強さも調べておくかな」
クロードはそう言うと、早速結界魔法を放ちオーガナイトを結界の中に閉じ込める。その後、ハイオーガ十体とオーガナイトに『鑑定』を使った。
【名 前】
【種 族】ハイオーガ
【称 号】Bランクモンスター
【レベル】(25/100)
【能力値】
体 力 7500 魔 力 4150
攻撃力 8260 防御力 8910
魔 攻 3120 魔 防 3740
素早さ 3310 器用さ 2920
魅 力 100(オーガ相手の場合3000)
【名 前】
【種 族】オーガナイト
【称 号】Aランクモンスター
【レベル】(10/100)
【能力値】
体 力 14000 魔 力 8950
攻撃力 19950 防御力 20500
魔 攻 9500 魔 防 9850
素早さ 7900 器用さ 8800
魅 力 250(オーガ相手の場合7000)
「結界があるから、ハイオーガとの戦闘中にオーガナイトに邪魔される心配はなくなった。それにしても、どいつもこいつも子供達には少しきついかもな……でも、気を緩めたりしなければ問題なく立ち回れるだろう」
そこまで確認したクロードは、ナビー達に告げる。
「俺の結界でオーガナイトを閉じ込めておける時間は十五分が限界だ。ハイオーガを倒すのにあまり時間をかけないようにね。頼むよ」
まず、動き出したのはレイアだった。
レイアは、自分が担当するハイオーガ三体にそれぞれ体当たりして、陣から離れた場所に吹っ飛ばした。
自分が自由に動ける狩場を作り出して、ハイオーガ三体を自慢のスピードで翻弄し始めた。
ナビーと子供達は、ナビーが支援補助魔法で子供達の全ステータスを底上げした後、自身も強化し、魔法を使えるナビーとイリア、レイ、ハロでハイオーガを妨害する。
ハイオーガに隙が生じるとボロとリサが攻撃をしかけるといった戦い方で、少しずつハイオーガの体力を削っていった。
クロードはハイオーガ六体を引きつけて、レイアと同じように陣の中心から少し離れた場所でお互いに睨み合っていた。
剣を構えたクロードは、六体いるハイオーガのうちの一体に切りかかる。
すると、そのハイオーガを守るためなのか、他のハイオーガが前に出てきてクロードが切りかかったハイオーガを庇う。
ハイオーガ達の行動に驚いて、クロードの剣の軌道が狂った。
「し、しまった。ずれたか……もっとスピードを上げて奴らに防御する隙を与えないようにしないとな」
クロードは『支援補助魔法(極)』で自分に『速度上昇(極)』をかけて、移動速度を今までの約三倍にしてから、もう一度ハイオーガ達に切りかかっていった。
今度はクロードのスピードについていけず、ハイオーガ達は首筋を剣で切られて倒れていく。
いつの間にか、残りのハイオーガは二体となっていた。
一方その頃、ナビーと子供達は、ハイオーガ一体を相手に善戦していた。
「レイ、ハイオーガの顔めがけて『ファイアボール』を何発か撃ち込んでもらえる? ハイオーガの目をつぶして、みんなで切り込みましょう」
「わふ~」
ナビーの合図で、レイがハイオーガの顔めがけて『ファイアボール』を十発撃ち込んだ。
ハイオーガの目がくらんでいる隙にナビーと子供達は、体のあちこちを切り刻み、引き裂いてハイオーガを絶命させた。
レイアはハイオーガ三体を相手に中級風魔法の『ウィンドストーム』を発動した。三体のハイオーガを怯ませて、スキル『光速』で一瞬でそのうちの一体に近づく。
首筋を切り裂き絶命させると、まだ動く事が出来ず横並びに突っ立っている残り二体のハイオーガに接近。
両前脚にマグマのような真っ赤な魔力を纏わせて、二体のハイオーガを引き裂いた。
クロードも残り二体となったハイオーガの体力を確実に削っていた。
「お、みんな、もう終わったみたいだな。じゃあ、俺もそろそろ終わらせようかな」
クロードはハイオーガをわざとあおるような事を言いながら、自分の数メートル前方に下級雷魔法の『エレキトラップ』をしかけた。
ハイオーガ二体は人間の言葉の意味を理解する事が出来るのか、雄叫びを上げながら突っ込んできた。
「その突進は俺にとってはありがたい行動なんだけどね。君達はそこまで頭が良くないみたいだから、そんな事はわからないかな」
今のクロードの言葉でますます怒ったハイオーガ達は、血走った目を彼に向けながらそのまま駆けてきた。
しかし、クロードがしかけていた『エレキトラップ』に見事引っかかり数秒ではあるが痺れて動けなくなってしまう。
クロードはその隙を見逃さずに、身動きが取れなくなっている二体のハイオーガに素早く近づき中級剣術『疾風切り』で首を中心に切り刻んで倒した。
「はあ~、このハイオーガの知能がそこまで高くなくてよかった。もし、少しでも考える力があればあのトラップには引っかからなかったかもしれないからな」
そう呟きながら、仲間のもとへ向かった。
クロードがオーガナイトを結界で閉じ込めている場所へ戻ってくると、ナビーと子供達、レイアは既に集まっていた。
「みんな、早いな。やっぱり実力が上がってきているね……さてと、あとは、あそこの結界の中で暴れているオーガナイトだけだけど、もうすぐ結界が壊れそうだね」
オーガナイトを覆っている結界を見てみると盛大に揺らいでいた。
「あと一分もつかってところかな。みんな、今のうちにヒールポーションとマナポーションを飲んで体力と魔力を回復しておいて。万全の状態で奴を迎え撃とう」
そう言ってアイテムボックスからヒールポーションとマナポーションを取り出した。
クロードとナビーが飲んだあと、手分けしてレイアと子供達にも飲ませて、体力を回復させ、オーガナイトとの戦闘に備えた。
その直後、オーガナイトはクロードの張った結界を破壊して外に出てきた。
「とうとう出てきたか。こいつは中々強いよ。まだレベル10なのに既にステータスが結構高かったし、油断していると簡単に足をすくわれかねない。みんな、十分に注意してオーガナイトの対応にあたってね」
クロード達が戦闘態勢に入ると、オーガナイトもどでかい剣と盾を構えてゆっくりと前進してきた。
「ナビーと子供達はオーガナイトの左右から攻撃をしかけて。俺とレイアはオーガナイトの前後から挟み撃ちだ」
「はい」
「「「「「「わふ」」」」」」
クロード達はオーガナイトを前後左右から挟み込むような位置にそれぞれつくと、一斉に攻撃をしかけていった。
向こうの攻撃に当たらないように素早く動いて回避しながら、オーガナイトに攻撃を当てていき、少しずつダメージを与えていく。
やがてオーガナイトはクロード達の攻撃に耐える事が出来なくなり、膝を地につけた。
「よし、今がチャンスだ。一気にたたみかけるよ」
クロードがみんなにそう言ってオーガナイトに総攻撃をしかけようとした時――
オーガナイトがいきなり雄叫びを上げて立ち上がり、その体の表面に赤いもやのようなものが浮かび始めた。
「な、なんだ!? 急にオーガナイトから感じられるオーラが膨れ上がったような気がするんだけど、どうなっているんだ……」
クロードが急いでオーガナイトを鑑定してみると、ステータスの攻撃力と魔攻が一・五倍に上がっていた。
【名 前】
【種 族】オーガナイト
【称 号】Aランクモンスター
【レベル】(10/100)
【能力値】
体 力 1200/14000 魔 力 8950
攻撃力 29925 防御力 20500
魔 攻 14250 魔 防 9850
素早さ 7900 器用さ 8800
魅 力 250(オーガ相手の場合7000)
【ユニークスキル】
不屈(1/10)
「みんな、あいつの攻撃をまともに受けるんじゃないぞ。当たったら最後、即死するレベルまで攻撃力が爆上がりしてるからね」
クロード達は今度こそオーガナイトをしとめるために、一斉に自身の大技をオーガナイト目がけて放った。
オーガナイトは、ナビーの放った中級剣術『陽炎』とボロとリサがこの戦いで新しく覚えた『双爪』を大盾と大剣でなんとか防いだ。
だが、クロードの上級剣術『雷光一閃』とレイアの『獄炎爪』、そしてイリア、レイ、ハロが放った『火爪』『風爪』『土爪』は防ぐ事が出来ず盛大に散っていった。
その後、クロードは後方で結界を張って待機してもらっていた女性のもとへ行き結界を解くと、ヒールポーションを渡して体力を回復させた。
「あ、あの、助けてくれてありがとう。あ、あたいはベロニカって言うんだ、よろしくな」
「俺はクロードって言います。こっちの子がナビーで、こっちのグレートキングウルフとグレートウルフは俺の従魔でレイア、ボロ、イリア、レイ、ハロ、リサって言います。一応ヒールポーションは飲んでもらいましたけど、体の調子とかはどうですか」
「う、うん。問題ないみたいだ」
ベロニカは自身の赤い髪と同じくらいに頬を赤くしながら自分の体を調べて、問題ない事を確認していた。
「そうですか。では、もう時間も遅くなってしまっているので、急いで街まで戻りましょう。急げば閉門の時間に間に合うかもしれませんからね」
急ぎ足で街まで戻ったクロード達とベロニカは、ぎりぎり閉門時間に間に合って中に入る事が出来たのだった。
城門前でベロニカと別れたクロードは宿で夕食を食べると部屋に戻り、今日の分の『念話』スキルを作って眠りに就いた。
「表示されていたのはブラックウルフだったか……ウルフ系のモンスターは肉があまり美味しくないけど、それ以外は全て武器や防具の素材になるから、特に中堅CランクからBランクの冒険者には人気があるんだよね。それにレイア達とは完璧な別種族だから倒すのにそれ程迷わなくて済むし、俺としてもありがたい。それじゃあ、ブラックウルフには俺の『武器防具錬成』の練習台になってもらおうかな」
クロードは隠れて覗いていた茂みからブラックウルフの群れの前に出る。
お互いが戦闘態勢に入った。
最初にしかけたのはブラックウルフの群れで、クロードは武器を構えたままブラックウルフ達を迎え撃つ形になった。
「みんな、なるべくで良いから素材を傷付けないようにしてブラックウルフを倒してね。でも絶対じゃないから、危ないと思ったらそんな事考えないで倒しちゃって良いよ」
「はい。わかりました。でもそのような縛りがあった方が戦闘にメリハリが付いて良い訓練になると思いますよ。まあ、無理はしませんけどね」
そう言いながらクロードとナビー、五つ子のうちの一匹ハロが土魔法でブラックウルフ達の足を止めた。
レイアと残りの四匹ボロ、イリア、レイ、リサがブラックウルフ達の首に噛みついたり引っかいたりしながら攻撃して、徐々に群れを倒していった。
開始から数分後、最後の一体を倒して戦闘は終わりを迎えた。
「よし、これが最後のブラックウルフだね。みんな、体もよく動いてたし連携も取れてたね。今回の戦闘で課した、なるべく素材を傷付けないという条件も無事にクリア出来てたし、みんな本当に強くなったよ。それじゃあ、倒したブラックウルフをアイテムボックスにしまって、次のモンスターのところに向かおうか」
ブラックウルフ十体の死体をアイテムボックスにしまい終わったクロードは、また『マップ』を発動して次のモンスターを求めて森の中を探索し始めた。
それから十分程モンスターを探していると『マップ』の端にBランクのモンスターの反応が現れた。
「お、次はBランクのモンスターか。いったいどんなモンスターなんだろう。とりあえず確認しに行こうか。みんな、行くよ」
「はい。Bランクのモンスターですか。なんだか腕が鳴りますね」
「「「「「「わふふ、わふ」」」」」」
そして、今回も目視出来るところまで来て茂みに隠れながら見てみると、そのモンスターは、ドラゴニュートだった。
「げ、ドラゴニュートかぁ。あのモンスターは知能が高い事でも知られている限りなくAランクに近いモンスターなんだよ。みんな、どうする? 今ならまだ引き返せる……」
クロードはそう言いかけたところで言葉を止めた。
「……と思ったけど、どうやらもう引き返すのは無理みたいだね。ドラゴニュートがしっかりこっちを見てるよ。ここにいるのがバレバレだな。戦うしかないかな。みんな、戦闘準備して! 来るよ」
戦闘態勢へと入った瞬間、ドラゴニュートがもの凄い速さでこちらに接近してきた。
クロード達はドラゴニュートの強烈な突進を回避して、距離を一定以上取りつつドラゴニュートを囲むような陣形をとった。
「みんな、各自カバーし合いながら確実にドラゴニュートの体力を削っていこう」
「はい。わかりました」
「「「「「「わふ」」」」」」
ナビー、レイア、五つ子達の返事を聞いたクロードは、早口で作戦を告げる。
「まず、ナビーと子供達は俺とレイアのサポートに回ってくれ。今回の相手のドラゴニュートは、今まで相手にしてきたモンスターとは明らかにレベルが違う。みんなに何かあったら俺は耐えられそうにないからね」
「っ!? わ、わかりました」
ナビーは最後の言葉に驚いたように返事をする。
彼女のそんな様子は気にせず、クロードとレイアはナビーと子供達にドラゴニュートを攪乱してもらいつつ、刃を交えた。
「このドラゴニュートは中々しぶといな。レイア、奴を左右から挟み込んで強烈な一撃を叩き込むよ」
「わふ!」
クロードとレイアは、ナビーと子供達の牽制によって集中力を切らしているドラゴニュートの隙をついて左右から挟み込んだ。
クロードは上級剣術スキルの技である『双牙煉獄斬』を、レイアは自分の牙に風の魔力を纏わせて『風爪牙』をそれぞれドラゴニュートに叩き込んだ。
そして、戦闘開始から十分経った頃、流石のドラゴニュートも一対多の不利な状況を覆す事は出来ず、クロード達によって倒された。
「ふう、ドラゴニュート一体倒すのに結構時間がかかってしまったね。さっさと素材をアイテムボックスにしまって次のモンスターを探そう」
その後、多数のCランクとBランクのモンスターを倒したクロードが、ネックの街にそろそろ戻ろうとしていた時、遠くの方から女性の叫び声が聞こえてきた。
クロードは、『マップ』を表示しながら女性の叫び声が聞こえたと思われる方へ急いで向かっていく。
道中、『マップ』の端にCランクモンスターの光点が現れたかと思えば、CランクモンスターやBランクモンスターの光点が『マップ』上に次々に出現。最後にAランクモンスターの光点が一つ現れた。
「ナビー、なんかもの凄くやばそうなモンスターの群れを発見したけど、肝心の叫び声の人が表示されないんだ。一体どうなってるんだ」
「マスター、『マップ』は今モンスターのみ表示されるように設定していますから、人が表示されないのは当然です。早く初期設定に戻してください」
「ああ、わ、わかった」
ナビーの言う通りに『マップ』を初期設定に戻してもう一度確認してみると、モンスターの大群の中に一つだけ別の光点を発見する事が出来た。
「この光点がさっきの叫び声の主かもしれないな。とりあえずここに向かおう。『マップ』を見た限り明らかにモンスターの群れに追われている」
「はい」
「「「「「「わふっ」」」」」」
『マップ』に表示された場所に急いで向かい、到着したクロード達。
様子を見てみると、体中傷だらけの人間の女性がオーガの群れの追撃を必死に避けながら逃げている光景があった。
「そうか、Cランクモンスターがオーガで、Bランクモンスターがハイオーガ、そして、あの一番後ろにいるのがAランクモンスターのオーガナイトだったのか」
クロードの呟きに、ナビーが頷く。
「あのメンツだと偵察部隊の可能性が一番高いですね。たぶんこの近くのどこかにオーガ達の集落か何かがあるはずです。そこにはもっと上のランクの化け物達がうじゃうじゃいるはずですから、そいつらに報告される前に彼女を救出しないとですね」
「なるほどな。確かにそんな上のランクの化け物達に報告されると、あとが面倒くさいな。奴らを倒して彼女を救出したら、速攻でネックの街まで戻ろう」
「そうですね。では、殲滅しに行きましょう」
「「「「「「わふふ」」」」」」
クロード達は、襲われている女性を救出するため、オーガの群れに向かって攻撃をしかけていった。
最初の攻撃を群れの最前列にいたオーガ達に浴びせている間に、女性が逃げてくれれば良かったのだが、女性は傷だらけで、ろくに体を動かす事が出来ない状態らしい。
クロードはリサに指示して彼女を後方に下がらせ、彼女の周りに結界魔法で結界を展開して安全を確保。
続けてリサに前線に戻るように指示した。
みんなで最前線にいるオーガ約二十体の首を集中的に攻撃し、バッタバッタと倒していく。そのうち、残りはハイオーガ十体とオーガナイト一体となった。
その時、オーガナイトが何やら指示を出す。
すると、ハイオーガ達がオーガナイトを中心に陣形を変えていき、何か大きい矢印のような陣を形成した。
「なんだあの陣形は……? 攻撃特化型の陣形か何かか? ん、矢印の傘の部分が開き始めてTの字っぽくなってきたぞ」
「あ、また形を変えました。どうやら変形はこれで終わりのようですね。最終的な形はピラミッド型のようです」
「ああ、あいつらは俺達をあの陣形で押しつぶそうとしているみたいだね。どういう意味があるのかはわからないが……まあ、そう上手くはいかないよ」
そして、この戦闘の第二ラウンドが始まった。
ピラミッド型の陣形を形成してきたオーガナイト達と睨み合う形となったクロード達は、どう攻めるべきか迷っていた。
「ん~。リーダーのオーガナイトを倒すには、その前に陣取っているハイオーガ達をなんとかしないといけないんだけど……よし! ちょっと子供達とナビーにとっては厳しい戦いになるかもしれないが、訓練も兼ねてやってみるか。ハイオーガ達を俺が六体、レイアが三体、ナビーと子供達が一体倒す事にしよう。その間、オーガナイトには俺の張る結界の中で大人しくしていてもらおう。あ、そうだ『鑑定』してあいつらの強さも調べておくかな」
クロードはそう言うと、早速結界魔法を放ちオーガナイトを結界の中に閉じ込める。その後、ハイオーガ十体とオーガナイトに『鑑定』を使った。
【名 前】
【種 族】ハイオーガ
【称 号】Bランクモンスター
【レベル】(25/100)
【能力値】
体 力 7500 魔 力 4150
攻撃力 8260 防御力 8910
魔 攻 3120 魔 防 3740
素早さ 3310 器用さ 2920
魅 力 100(オーガ相手の場合3000)
【名 前】
【種 族】オーガナイト
【称 号】Aランクモンスター
【レベル】(10/100)
【能力値】
体 力 14000 魔 力 8950
攻撃力 19950 防御力 20500
魔 攻 9500 魔 防 9850
素早さ 7900 器用さ 8800
魅 力 250(オーガ相手の場合7000)
「結界があるから、ハイオーガとの戦闘中にオーガナイトに邪魔される心配はなくなった。それにしても、どいつもこいつも子供達には少しきついかもな……でも、気を緩めたりしなければ問題なく立ち回れるだろう」
そこまで確認したクロードは、ナビー達に告げる。
「俺の結界でオーガナイトを閉じ込めておける時間は十五分が限界だ。ハイオーガを倒すのにあまり時間をかけないようにね。頼むよ」
まず、動き出したのはレイアだった。
レイアは、自分が担当するハイオーガ三体にそれぞれ体当たりして、陣から離れた場所に吹っ飛ばした。
自分が自由に動ける狩場を作り出して、ハイオーガ三体を自慢のスピードで翻弄し始めた。
ナビーと子供達は、ナビーが支援補助魔法で子供達の全ステータスを底上げした後、自身も強化し、魔法を使えるナビーとイリア、レイ、ハロでハイオーガを妨害する。
ハイオーガに隙が生じるとボロとリサが攻撃をしかけるといった戦い方で、少しずつハイオーガの体力を削っていった。
クロードはハイオーガ六体を引きつけて、レイアと同じように陣の中心から少し離れた場所でお互いに睨み合っていた。
剣を構えたクロードは、六体いるハイオーガのうちの一体に切りかかる。
すると、そのハイオーガを守るためなのか、他のハイオーガが前に出てきてクロードが切りかかったハイオーガを庇う。
ハイオーガ達の行動に驚いて、クロードの剣の軌道が狂った。
「し、しまった。ずれたか……もっとスピードを上げて奴らに防御する隙を与えないようにしないとな」
クロードは『支援補助魔法(極)』で自分に『速度上昇(極)』をかけて、移動速度を今までの約三倍にしてから、もう一度ハイオーガ達に切りかかっていった。
今度はクロードのスピードについていけず、ハイオーガ達は首筋を剣で切られて倒れていく。
いつの間にか、残りのハイオーガは二体となっていた。
一方その頃、ナビーと子供達は、ハイオーガ一体を相手に善戦していた。
「レイ、ハイオーガの顔めがけて『ファイアボール』を何発か撃ち込んでもらえる? ハイオーガの目をつぶして、みんなで切り込みましょう」
「わふ~」
ナビーの合図で、レイがハイオーガの顔めがけて『ファイアボール』を十発撃ち込んだ。
ハイオーガの目がくらんでいる隙にナビーと子供達は、体のあちこちを切り刻み、引き裂いてハイオーガを絶命させた。
レイアはハイオーガ三体を相手に中級風魔法の『ウィンドストーム』を発動した。三体のハイオーガを怯ませて、スキル『光速』で一瞬でそのうちの一体に近づく。
首筋を切り裂き絶命させると、まだ動く事が出来ず横並びに突っ立っている残り二体のハイオーガに接近。
両前脚にマグマのような真っ赤な魔力を纏わせて、二体のハイオーガを引き裂いた。
クロードも残り二体となったハイオーガの体力を確実に削っていた。
「お、みんな、もう終わったみたいだな。じゃあ、俺もそろそろ終わらせようかな」
クロードはハイオーガをわざとあおるような事を言いながら、自分の数メートル前方に下級雷魔法の『エレキトラップ』をしかけた。
ハイオーガ二体は人間の言葉の意味を理解する事が出来るのか、雄叫びを上げながら突っ込んできた。
「その突進は俺にとってはありがたい行動なんだけどね。君達はそこまで頭が良くないみたいだから、そんな事はわからないかな」
今のクロードの言葉でますます怒ったハイオーガ達は、血走った目を彼に向けながらそのまま駆けてきた。
しかし、クロードがしかけていた『エレキトラップ』に見事引っかかり数秒ではあるが痺れて動けなくなってしまう。
クロードはその隙を見逃さずに、身動きが取れなくなっている二体のハイオーガに素早く近づき中級剣術『疾風切り』で首を中心に切り刻んで倒した。
「はあ~、このハイオーガの知能がそこまで高くなくてよかった。もし、少しでも考える力があればあのトラップには引っかからなかったかもしれないからな」
そう呟きながら、仲間のもとへ向かった。
クロードがオーガナイトを結界で閉じ込めている場所へ戻ってくると、ナビーと子供達、レイアは既に集まっていた。
「みんな、早いな。やっぱり実力が上がってきているね……さてと、あとは、あそこの結界の中で暴れているオーガナイトだけだけど、もうすぐ結界が壊れそうだね」
オーガナイトを覆っている結界を見てみると盛大に揺らいでいた。
「あと一分もつかってところかな。みんな、今のうちにヒールポーションとマナポーションを飲んで体力と魔力を回復しておいて。万全の状態で奴を迎え撃とう」
そう言ってアイテムボックスからヒールポーションとマナポーションを取り出した。
クロードとナビーが飲んだあと、手分けしてレイアと子供達にも飲ませて、体力を回復させ、オーガナイトとの戦闘に備えた。
その直後、オーガナイトはクロードの張った結界を破壊して外に出てきた。
「とうとう出てきたか。こいつは中々強いよ。まだレベル10なのに既にステータスが結構高かったし、油断していると簡単に足をすくわれかねない。みんな、十分に注意してオーガナイトの対応にあたってね」
クロード達が戦闘態勢に入ると、オーガナイトもどでかい剣と盾を構えてゆっくりと前進してきた。
「ナビーと子供達はオーガナイトの左右から攻撃をしかけて。俺とレイアはオーガナイトの前後から挟み撃ちだ」
「はい」
「「「「「「わふ」」」」」」
クロード達はオーガナイトを前後左右から挟み込むような位置にそれぞれつくと、一斉に攻撃をしかけていった。
向こうの攻撃に当たらないように素早く動いて回避しながら、オーガナイトに攻撃を当てていき、少しずつダメージを与えていく。
やがてオーガナイトはクロード達の攻撃に耐える事が出来なくなり、膝を地につけた。
「よし、今がチャンスだ。一気にたたみかけるよ」
クロードがみんなにそう言ってオーガナイトに総攻撃をしかけようとした時――
オーガナイトがいきなり雄叫びを上げて立ち上がり、その体の表面に赤いもやのようなものが浮かび始めた。
「な、なんだ!? 急にオーガナイトから感じられるオーラが膨れ上がったような気がするんだけど、どうなっているんだ……」
クロードが急いでオーガナイトを鑑定してみると、ステータスの攻撃力と魔攻が一・五倍に上がっていた。
【名 前】
【種 族】オーガナイト
【称 号】Aランクモンスター
【レベル】(10/100)
【能力値】
体 力 1200/14000 魔 力 8950
攻撃力 29925 防御力 20500
魔 攻 14250 魔 防 9850
素早さ 7900 器用さ 8800
魅 力 250(オーガ相手の場合7000)
【ユニークスキル】
不屈(1/10)
「みんな、あいつの攻撃をまともに受けるんじゃないぞ。当たったら最後、即死するレベルまで攻撃力が爆上がりしてるからね」
クロード達は今度こそオーガナイトをしとめるために、一斉に自身の大技をオーガナイト目がけて放った。
オーガナイトは、ナビーの放った中級剣術『陽炎』とボロとリサがこの戦いで新しく覚えた『双爪』を大盾と大剣でなんとか防いだ。
だが、クロードの上級剣術『雷光一閃』とレイアの『獄炎爪』、そしてイリア、レイ、ハロが放った『火爪』『風爪』『土爪』は防ぐ事が出来ず盛大に散っていった。
その後、クロードは後方で結界を張って待機してもらっていた女性のもとへ行き結界を解くと、ヒールポーションを渡して体力を回復させた。
「あ、あの、助けてくれてありがとう。あ、あたいはベロニカって言うんだ、よろしくな」
「俺はクロードって言います。こっちの子がナビーで、こっちのグレートキングウルフとグレートウルフは俺の従魔でレイア、ボロ、イリア、レイ、ハロ、リサって言います。一応ヒールポーションは飲んでもらいましたけど、体の調子とかはどうですか」
「う、うん。問題ないみたいだ」
ベロニカは自身の赤い髪と同じくらいに頬を赤くしながら自分の体を調べて、問題ない事を確認していた。
「そうですか。では、もう時間も遅くなってしまっているので、急いで街まで戻りましょう。急げば閉門の時間に間に合うかもしれませんからね」
急ぎ足で街まで戻ったクロード達とベロニカは、ぎりぎり閉門時間に間に合って中に入る事が出来たのだった。
城門前でベロニカと別れたクロードは宿で夕食を食べると部屋に戻り、今日の分の『念話』スキルを作って眠りに就いた。
159
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。
応援本当に有難うございました。
イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。
書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」
から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。
書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。
WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。
この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。
本当にありがとうございました。
【以下あらすじ】
パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった...
ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから...
第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。
何と!『現在3巻まで書籍化されています』
そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。
応援、本当にありがとうございました!
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?
水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」
「はぁ?」
静かな食堂の間。
主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。
同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。
いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。
「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」
「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」
父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。
「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」
アリスは家から一度出る決心をする。
それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。
アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。
彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。
「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」
アリスはため息をつく。
「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」
後悔したところでもう遅い。
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
