16 / 49
《私のお婿さんっ!》
しおりを挟む
仁田宅へ着くと、出迎えてくれたのは一馬と新顔であった。精悍で野性的な黒髪の青年は父親の仁田によく似ており、次男の啓二だと紹介された。
「兄貴から聞いています。あの馬鹿双子がご迷惑をおかけしました……。父さんが張り切って仕込んでいたので、良かったら食べて行ってください!」
「おい啓二! 言わんでも良いこと言うな!」
「はいはい」
顔を赤らめて男性用のエプロンを着ている仁田に啓二は微笑んだ。
それから双子も現れてモグラへ礼を告げていた。被疑者からの謝罪もあったし、学校側もお咎めはなかったそうだ。
「それは良かったよぉ。三重くんも甲斐くんも良かったね。でもこれから気を付けてねっ」
「おうよ!」
「はい!」
二卵性双生児でも同じタイミングでなおかつ元気良く返事をする姿に、モグラはどうしてだが高校生の二人の頭を撫でていたのだ。
五男は中学生の岳。六男、七男は小学五年生と三年生の男子で六華と七貴である。三人とも発展途上だが端正な顔立ちをしていた。――つまり美形家族である。
そして長女で唯一の女子の美波は海月にくっついて離れなかった。海月は自分よりも年下の子供に好かれていたことに冷や汗を掻く。
海月は自分よりも幼い子供が苦手であった。扱いがわからないのである。
だが美波は海月に興味津々で将来は美少女になるだろう顔を輝かせていた。海月は戸惑いを抱く。どうすればいいのだろうか。すると美波は太陽のような笑顔を見せた。
「占いやって!」
「は……はい?」
当惑し、モグラに助けを求めているが彼は海月の視線に気が付かない。モグラは仁田の息子たちと戯れていた。
(とりあえず、やっておくか……。よくわかんないけど)
海月は疲弊の息を吐き出した。しかたなく商売道具のカードからトランプを取り出し、シャッフルをしてから机の上に置いて掻き混ぜた。海月は爛々とした美波の瞳を無視しつつも心中で問いかける。
――この子が出会う運命の相手はいつごろか。どのくらいの時期に現れるか。
真剣な視線でカードを見つめる海月の姿に幼いながらも美波は見惚れた。海月のミステリアスな雰囲気は兄たちの誰よりも美しく、儚げで、そして、……悲しそうだと思った。
カードを五枚取り出し一枚をめくれば、ハートのAであった。……運命の相手はすぐそこだと示されていた。
「えっっ――――!???」
あまりにも早すぎる展開に海月は驚き、先のカードをめくろうと二枚目に手を添える。すると美波の小さな手が重なった。海月はぎこちなくその手の先を少しずつ見つめていく。そして静かに美波と視線が合わさる。すると幼女は大輪の花のような笑みを見せた。
「わたし、お兄ちゃんのオヨメさんになる!」
「えっ……?」
「だってお兄ちゃん、かっこいいのに悲しそうなんだもん。――美波が幸せにしてあげる!」
にっこりと微笑んだ天使にたじろぐ海月と興味本位で見ていたモグラや兄たちが驚いて目を見張る。
「……海月が、かぁ――」
「父さんっ、美波がぁ~~!!!!」
言葉を失いかけているモグラはともかく、兄たちは鼻歌を歌いながら天ぷらを作っている仁田へ報告していた。仁田はすぐさま可愛らしい天使に駆け寄る。
「美波!!! お前、一目惚れしたのか!???」
火を切ってにこにこしている美波へ駆け寄った父親の姿に、海月の保護者であるモグラは仲睦まじそうに微笑んでいた。だが海月は冷や汗を掻いてどんな言い訳をしようかを考えていたのだ。
「兄貴から聞いています。あの馬鹿双子がご迷惑をおかけしました……。父さんが張り切って仕込んでいたので、良かったら食べて行ってください!」
「おい啓二! 言わんでも良いこと言うな!」
「はいはい」
顔を赤らめて男性用のエプロンを着ている仁田に啓二は微笑んだ。
それから双子も現れてモグラへ礼を告げていた。被疑者からの謝罪もあったし、学校側もお咎めはなかったそうだ。
「それは良かったよぉ。三重くんも甲斐くんも良かったね。でもこれから気を付けてねっ」
「おうよ!」
「はい!」
二卵性双生児でも同じタイミングでなおかつ元気良く返事をする姿に、モグラはどうしてだが高校生の二人の頭を撫でていたのだ。
五男は中学生の岳。六男、七男は小学五年生と三年生の男子で六華と七貴である。三人とも発展途上だが端正な顔立ちをしていた。――つまり美形家族である。
そして長女で唯一の女子の美波は海月にくっついて離れなかった。海月は自分よりも年下の子供に好かれていたことに冷や汗を掻く。
海月は自分よりも幼い子供が苦手であった。扱いがわからないのである。
だが美波は海月に興味津々で将来は美少女になるだろう顔を輝かせていた。海月は戸惑いを抱く。どうすればいいのだろうか。すると美波は太陽のような笑顔を見せた。
「占いやって!」
「は……はい?」
当惑し、モグラに助けを求めているが彼は海月の視線に気が付かない。モグラは仁田の息子たちと戯れていた。
(とりあえず、やっておくか……。よくわかんないけど)
海月は疲弊の息を吐き出した。しかたなく商売道具のカードからトランプを取り出し、シャッフルをしてから机の上に置いて掻き混ぜた。海月は爛々とした美波の瞳を無視しつつも心中で問いかける。
――この子が出会う運命の相手はいつごろか。どのくらいの時期に現れるか。
真剣な視線でカードを見つめる海月の姿に幼いながらも美波は見惚れた。海月のミステリアスな雰囲気は兄たちの誰よりも美しく、儚げで、そして、……悲しそうだと思った。
カードを五枚取り出し一枚をめくれば、ハートのAであった。……運命の相手はすぐそこだと示されていた。
「えっっ――――!???」
あまりにも早すぎる展開に海月は驚き、先のカードをめくろうと二枚目に手を添える。すると美波の小さな手が重なった。海月はぎこちなくその手の先を少しずつ見つめていく。そして静かに美波と視線が合わさる。すると幼女は大輪の花のような笑みを見せた。
「わたし、お兄ちゃんのオヨメさんになる!」
「えっ……?」
「だってお兄ちゃん、かっこいいのに悲しそうなんだもん。――美波が幸せにしてあげる!」
にっこりと微笑んだ天使にたじろぐ海月と興味本位で見ていたモグラや兄たちが驚いて目を見張る。
「……海月が、かぁ――」
「父さんっ、美波がぁ~~!!!!」
言葉を失いかけているモグラはともかく、兄たちは鼻歌を歌いながら天ぷらを作っている仁田へ報告していた。仁田はすぐさま可愛らしい天使に駆け寄る。
「美波!!! お前、一目惚れしたのか!???」
火を切ってにこにこしている美波へ駆け寄った父親の姿に、海月の保護者であるモグラは仲睦まじそうに微笑んでいた。だが海月は冷や汗を掻いてどんな言い訳をしようかを考えていたのだ。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
熱い風の果てへ
朝陽ゆりね
ライト文芸
沙良は母が遺した絵を求めてエジプトにやってきた。
カルナック神殿で一服中に池に落ちてしまう。
必死で泳いで這い上がるが、なんだか周囲の様子がおかしい。
そこで出会った青年は自らの名をラムセスと名乗る。
まさか――
そのまさかは的中する。
ここは第18王朝末期の古代エジプトだった。
※本作はすでに販売終了した作品を改稿したものです。
神木さんちのお兄ちゃん!
雪桜
キャラ文芸
✨ キャラ文芸ランキング週間・月間1位&累計250万pt突破、ありがとうございます!
神木家の双子の妹弟・華と蓮には"絶世の美男子"と言われるほどの金髪碧眼な『兄』がいる。
美人でカッコよくて、その上優しいお兄ちゃんは、常にみんなの人気者!
だけど、そんな兄には、何故か彼女がいなかった。
幼い頃に母を亡くし、いつも母親代わりだったお兄ちゃん。もしかして、お兄ちゃんが彼女が作らないのは自分達のせい?!
そう思った華と蓮は、兄のためにも自立することを決意する。
だけど、このお兄ちゃん。実は、家族しか愛せない超拗らせた兄だった!
これは、モテまくってるくせに家族しか愛せない美人すぎるお兄ちゃんと、兄離れしたいけど、なかなか出来ない双子の妹弟が繰り広げる、甘くて優しくて、ちょっぴり切ない愛と絆のハートフルラブ(家族愛)コメディ。
果たして、家族しか愛せないお兄ちゃんに、恋人ができる日はくるのか?
これは、美人すぎるお兄ちゃんがいる神木一家の、波乱万丈な日々を綴った物語である。
***
イラストは、全て自作です。
カクヨムにて、先行連載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる