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《きじがもしも……》
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「ヤマタノオロチって、あのヤマトタケルが倒したっていうあの大きな蛇のこと……だっけ?」
「そうです! さすが兄貴、物知りですねぇ」
「うーん……。まぁ古事記とかでちょっと知ったからかな。でも、ヤマタノオロチっって酒で酔わされて十拳剣で倒されたんじゃなかったのか?」
すると睦月は侮蔑するように雨を見てから傷ついた柱などを修理していく。その手際の良さによーじは舌を巻いて自分も参加をした。
雨がざぁざぁと降る中で睦月は言葉を走らせる。「確かに八岐大蛇は討伐されました。ですがここにはあやかしにか知られていないもう一つの話があるんです」
電動のドリルで天井を直しながら睦月はさらに紡ぐ。
「八岐大蛇を畏怖した人々は祠を建てましたが、その一部が鬼に加担して鬼と共に共同して人々を食らうようになりました。そこを倒したのが鬼道丸様です。鬼道丸様はヤマトタケルのように酒で酔わせてから、などではなく真っ当から切り刻んで倒したそうです。その畏怖を恐れて見た町の人間が、鬼道丸様の祠を建ててから俺と同じみ使いとして蛇としての役割を与えました」
「役割を与えたって、ことは……じゃあそいつらが暴れているのか?」
「えぇ。そのみ使いが散らばって、暴れている……ということかもしれません」
よーじはその話を聞いて鬼道丸の強さをひしひしと感じつつ、では鬼治丸は一体どんな存在なのかと気になった。だから少し睦月に聞くことにしたのだ。
「きじは鬼道丸にとってどんな存在なんだ? 確か、鬼を治めるからだって聞いたけれど」
「それは……あの……」
どこか言いにくそうな睦月によーじはふと首を傾げる。すると睦月は辺りを見渡したかと思えば「絶対に鬼治丸様には言わないでくださいね」そう言って言葉を紡ぐ。
「鬼治丸様は、いわば鬼を治める。いや、鬼道丸様の生贄です」
「生贄……。どうして?」
「どうしてって言われても……。当時の鬼治丸様が脆弱な存在だったから、ではないかなと」
よーじの身体は怒りで震えた。確かに祖父の話を聞く限り、桃葉の話を聞く限り、確かに当時のきじは兄よりも身体が弱っているせいで早くに亡くなった。しかも鬼を連れていた過去もある。でもそれはきじが亡くなってからだ。
きじはなにも悪くない。きじはか弱い身体のせいで、兄よりも成長が遅れただけで、双子なだけで生贄という名の餓鬼という名を付けられ、しかも鬼を治めると言う名で鬼治丸という死んでからの名を与えられたのだ。
「……もしも。もしもだ。睦月やそのヤマタノオロチとかの神のみ使いが鬼道丸を治める為に吸収されるとする」
「……はい」
「そしてそれは俺に憑依して戦うきじにどんな影響を与えるんだ?」
睦月が言おうとした瞬間「よーじ、睦月っ!」突然声がして二人は振り向いた。そこには手に抱えた弥生と共に頭にタオルを被って浴衣を着ていたきじの姿が居た。
よーじは慌てふためいて自分が持っていた傘をきじへ差し出す。「ダメだろっ、傘を差さないと! 風邪ひくぞ?」
するときじはあはは、なんて笑いながら傘を手に取った。「ごめん。あっ、ママがもう朝ごはん作ったよって。早く行こうよ」
「えっ、もうそんな時間? やばっ!」
それと、と言ってからきじは笑みを浮かべて睦月へ視線を向けるのだ。睦月は途端に背筋を伸ばした。「……言ったらだめだよ」
小声で囁かれた言葉は駆け出しているよーじの耳には届かず、ただ神のみ使いであるカラス天狗の睦月にしか届いていない。
「そうです! さすが兄貴、物知りですねぇ」
「うーん……。まぁ古事記とかでちょっと知ったからかな。でも、ヤマタノオロチっって酒で酔わされて十拳剣で倒されたんじゃなかったのか?」
すると睦月は侮蔑するように雨を見てから傷ついた柱などを修理していく。その手際の良さによーじは舌を巻いて自分も参加をした。
雨がざぁざぁと降る中で睦月は言葉を走らせる。「確かに八岐大蛇は討伐されました。ですがここにはあやかしにか知られていないもう一つの話があるんです」
電動のドリルで天井を直しながら睦月はさらに紡ぐ。
「八岐大蛇を畏怖した人々は祠を建てましたが、その一部が鬼に加担して鬼と共に共同して人々を食らうようになりました。そこを倒したのが鬼道丸様です。鬼道丸様はヤマトタケルのように酒で酔わせてから、などではなく真っ当から切り刻んで倒したそうです。その畏怖を恐れて見た町の人間が、鬼道丸様の祠を建ててから俺と同じみ使いとして蛇としての役割を与えました」
「役割を与えたって、ことは……じゃあそいつらが暴れているのか?」
「えぇ。そのみ使いが散らばって、暴れている……ということかもしれません」
よーじはその話を聞いて鬼道丸の強さをひしひしと感じつつ、では鬼治丸は一体どんな存在なのかと気になった。だから少し睦月に聞くことにしたのだ。
「きじは鬼道丸にとってどんな存在なんだ? 確か、鬼を治めるからだって聞いたけれど」
「それは……あの……」
どこか言いにくそうな睦月によーじはふと首を傾げる。すると睦月は辺りを見渡したかと思えば「絶対に鬼治丸様には言わないでくださいね」そう言って言葉を紡ぐ。
「鬼治丸様は、いわば鬼を治める。いや、鬼道丸様の生贄です」
「生贄……。どうして?」
「どうしてって言われても……。当時の鬼治丸様が脆弱な存在だったから、ではないかなと」
よーじの身体は怒りで震えた。確かに祖父の話を聞く限り、桃葉の話を聞く限り、確かに当時のきじは兄よりも身体が弱っているせいで早くに亡くなった。しかも鬼を連れていた過去もある。でもそれはきじが亡くなってからだ。
きじはなにも悪くない。きじはか弱い身体のせいで、兄よりも成長が遅れただけで、双子なだけで生贄という名の餓鬼という名を付けられ、しかも鬼を治めると言う名で鬼治丸という死んでからの名を与えられたのだ。
「……もしも。もしもだ。睦月やそのヤマタノオロチとかの神のみ使いが鬼道丸を治める為に吸収されるとする」
「……はい」
「そしてそれは俺に憑依して戦うきじにどんな影響を与えるんだ?」
睦月が言おうとした瞬間「よーじ、睦月っ!」突然声がして二人は振り向いた。そこには手に抱えた弥生と共に頭にタオルを被って浴衣を着ていたきじの姿が居た。
よーじは慌てふためいて自分が持っていた傘をきじへ差し出す。「ダメだろっ、傘を差さないと! 風邪ひくぞ?」
するときじはあはは、なんて笑いながら傘を手に取った。「ごめん。あっ、ママがもう朝ごはん作ったよって。早く行こうよ」
「えっ、もうそんな時間? やばっ!」
それと、と言ってからきじは笑みを浮かべて睦月へ視線を向けるのだ。睦月は途端に背筋を伸ばした。「……言ったらだめだよ」
小声で囁かれた言葉は駆け出しているよーじの耳には届かず、ただ神のみ使いであるカラス天狗の睦月にしか届いていない。
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