22 / 65
《走らない?》
しおりを挟む
「おらの仲間に、……なる?」
「う、うん。僕、なんとなくわかるんだ。よーじが君に吸い込まれた瞬間、すごい力であの化け物をって、まぁあれが大蛇さんの本来の姿だと思うけど。それでも果敢に戦っていたあの姿を見て、……本当にすごいなって」
それから、と繋げて夜空は雨が上がった空を見上げた。その姿をクシナも見届ける。夜空は口を開いた。「僕も手助けをしたいって思ったんだ。でもそれは僕だけじゃない。クシナさんもそう願っているんだ」
するとクシナは上品な笑顔できじを見る。「はい。私もあなた様の手助けがしたいです。八岐大蛇に聞きました。鬼道丸様の封印が解けたと。それをあなた様が身を捧げる為、果敢に戦っていると」
そんなことを言っていたのかと呆気に取られているきじにクシナはふふっと笑う。
「私は縁結びの神でもあります。本来であれば男女でありますが、ここはより良い縁である、私たちを入れては下さりませんか?」
きじはよーじや睦月以外に仲間ができるとは思いも依らない気持ちになった。しかし、兄である鬼道丸が守っていた神のみ使いは徐々に強くなるはずだ。
今回は最強のあやかしである八岐大蛇であったから振れ幅が大きいかもしれないが、神のみ使いは縁起が良かろうが悪かろうが憑りついた人間へ何かしらの影響を与える。
そして今回はよーじの親友である夜空が憑りつかれた。しかし夜空は取引で自分の鈍足な脚を捧げて八岐大蛇の脚を貰った。そしてクシナを手に入れた。
はたしてこれは吉と出るか凶と出るか。ここは鬼を治める者としてきじは判断をしたいところであった。きじは息を吐く。「……まぁ、考えておくよ」
きじたちは歩きながらよーじの実家である神社へたどり着いた。歩いてくれたが高校から距離が近かったので意外と早めに到着することができた。
そして境内には桃葉が雑巾がけをしている。しかし足音が聞こえたからか一旦手を止めて皆を見やる。
「これは葉治に鬼治丸様たち……に、その子は葉治の、友達の……?」
「あっ、はい! 水澪 夜空と言います」
すると桃葉は夜空の両脚を見て不審げな顔をした。夜空の両脚は死人のような生白い脚をしていたからだ。じっと見つめる桃葉に今度はクシナが挨拶をする。
「初めまして。櫛名田姫と申します。クシナで構いません。よろしくお願いします」
クシナの本名を聞いた途端、桃葉は愕然とした顔になったかと思えばよーじへ駆け寄った。それから両肩を掴んだのだ。「葉治っ! お前、自分の友達の両脚を生贄に差し出したのかっ、この馬鹿者がっっ!」
桃葉に揺さぶられるよーじであるが、今度は夜空が声を掛ける。「待ってください! 僕は自ら差し出したんです。自分から大蛇さんの両脚を捧げました」
驚愕する桃葉であるが夜空はにこっと笑う。それから「クシナさん。来てくださいっ」そう言った瞬間、クシナは夜空の身体の中へ入っていく。浸透するように入っていく。その姿には皆は愕然としていた。
きじとよーじはお互いを見合った。「おらと同じ……?」それはよーじもだ。「あぁ、俺と同じだな……」
そこへ睦月も訳が分からないと言った様子で頭を抱えている。そんな四人に白い瞳となった夜空は着物の姿となって顕現する。それからよーじへ笑いかけた。
「僕と競争しよう、よーじ」
突然言い放つ夜空によーじはその意図がわからずにいたものの、走る準備をする。よーじは睦月へ鳥居から参道を通って本殿への約50メートルのルートで試合の合図をするように伝える。「いいですよっ、大丈夫ですっ!」
そして二人は走る準備をしていた。きじはどういうことを夜空が伝えたいのか明確にはわからない。
「う、うん。僕、なんとなくわかるんだ。よーじが君に吸い込まれた瞬間、すごい力であの化け物をって、まぁあれが大蛇さんの本来の姿だと思うけど。それでも果敢に戦っていたあの姿を見て、……本当にすごいなって」
それから、と繋げて夜空は雨が上がった空を見上げた。その姿をクシナも見届ける。夜空は口を開いた。「僕も手助けをしたいって思ったんだ。でもそれは僕だけじゃない。クシナさんもそう願っているんだ」
するとクシナは上品な笑顔できじを見る。「はい。私もあなた様の手助けがしたいです。八岐大蛇に聞きました。鬼道丸様の封印が解けたと。それをあなた様が身を捧げる為、果敢に戦っていると」
そんなことを言っていたのかと呆気に取られているきじにクシナはふふっと笑う。
「私は縁結びの神でもあります。本来であれば男女でありますが、ここはより良い縁である、私たちを入れては下さりませんか?」
きじはよーじや睦月以外に仲間ができるとは思いも依らない気持ちになった。しかし、兄である鬼道丸が守っていた神のみ使いは徐々に強くなるはずだ。
今回は最強のあやかしである八岐大蛇であったから振れ幅が大きいかもしれないが、神のみ使いは縁起が良かろうが悪かろうが憑りついた人間へ何かしらの影響を与える。
そして今回はよーじの親友である夜空が憑りつかれた。しかし夜空は取引で自分の鈍足な脚を捧げて八岐大蛇の脚を貰った。そしてクシナを手に入れた。
はたしてこれは吉と出るか凶と出るか。ここは鬼を治める者としてきじは判断をしたいところであった。きじは息を吐く。「……まぁ、考えておくよ」
きじたちは歩きながらよーじの実家である神社へたどり着いた。歩いてくれたが高校から距離が近かったので意外と早めに到着することができた。
そして境内には桃葉が雑巾がけをしている。しかし足音が聞こえたからか一旦手を止めて皆を見やる。
「これは葉治に鬼治丸様たち……に、その子は葉治の、友達の……?」
「あっ、はい! 水澪 夜空と言います」
すると桃葉は夜空の両脚を見て不審げな顔をした。夜空の両脚は死人のような生白い脚をしていたからだ。じっと見つめる桃葉に今度はクシナが挨拶をする。
「初めまして。櫛名田姫と申します。クシナで構いません。よろしくお願いします」
クシナの本名を聞いた途端、桃葉は愕然とした顔になったかと思えばよーじへ駆け寄った。それから両肩を掴んだのだ。「葉治っ! お前、自分の友達の両脚を生贄に差し出したのかっ、この馬鹿者がっっ!」
桃葉に揺さぶられるよーじであるが、今度は夜空が声を掛ける。「待ってください! 僕は自ら差し出したんです。自分から大蛇さんの両脚を捧げました」
驚愕する桃葉であるが夜空はにこっと笑う。それから「クシナさん。来てくださいっ」そう言った瞬間、クシナは夜空の身体の中へ入っていく。浸透するように入っていく。その姿には皆は愕然としていた。
きじとよーじはお互いを見合った。「おらと同じ……?」それはよーじもだ。「あぁ、俺と同じだな……」
そこへ睦月も訳が分からないと言った様子で頭を抱えている。そんな四人に白い瞳となった夜空は着物の姿となって顕現する。それからよーじへ笑いかけた。
「僕と競争しよう、よーじ」
突然言い放つ夜空によーじはその意図がわからずにいたものの、走る準備をする。よーじは睦月へ鳥居から参道を通って本殿への約50メートルのルートで試合の合図をするように伝える。「いいですよっ、大丈夫ですっ!」
そして二人は走る準備をしていた。きじはどういうことを夜空が伝えたいのか明確にはわからない。
0
あなたにおすすめの小説
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる