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《恐るべし鬼道丸》
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福禄が広々とした玄関の外へ投げ出されると、鬼道丸の拳が空を切った。射抜くような空気と殺気に涼は地面で転んで痛がっている福禄へ駆け寄る。
「福禄っ、――憑依しろっ!」
「え、あ。うんっ!」
福禄と共に玄関を出て鬼道丸から離れてから涼は福禄と憑依した。涼の身体を借りた福禄は拳をぱぁんっと合わせて一礼する。それから身構えた。
鬼道丸が玄関からゆっくりと出てきた。屈託のないその笑みが逆に恐怖を感じさせる。「俺の話を聞いてからにしてくれないか、福禄?」
「でもその前に、鬼道丸様。あなたに俺は殺されかけた。それはどういうことか説明できますか?」
すると鬼道丸はニヒルな顔つきで答えた。「朱印になれって言ってんだよ」
福禄が首を傾げる。「朱印? それはどういう意味ですか?」
「御朱印帳ってあるだろう? 神仏閣に朱印をする、縁を大切にするっていう話だ。俺は今、早太とその関係性となっている。それでここからが大事だ。……俺の弟である餓鬼も、その仲間も含めて二体、神のみ使いを取り込んで朱印となった」
福禄が目を見開いた。それから鬼道丸はそんな福禄へ歩み寄る。小さい身体なので歩幅が小さいくせに、やけに大きく感じた。
「俺はこの身体として復活してから俺を殺した人間たちの末裔を殺そうとしている。ちなみにお前が憑依しているその男だって、俺を殺した長の息子さ」
福禄も意識下にある涼は絶句した。はったりではないかと思ったが得心のある話を涼は知っている。
昔、シカの仏像を拝んでいる父に聞いたことがあったのだ。どうしてその仏像を拝めているのだと。すると父は悲壮な顔をして言った。「父さんの祖先が人を殺めてしまったんだ。だからその一体である福禄寿様がその怒りを治めてくださる」そして父は毎日のように拝んでいた。
涼はもしかして、と思った。福禄がここに居たのは、あの仏像から現れたのは鬼道丸の復活を阻止するために自分たちの信仰を密かに見張っていたのではないかと。
だが確証はない。福禄は仏像から現れたかと思えば、「ここってどこ?」の一点張りでこの会社のことなどつゆ知らなかったのだから。
鬼道丸が福禄へ歩み寄り、――止まる。「俺と手を組まないか? その男はお前にとっても裏切り者なんだ。お前をただの稼ぎ頭としか思っていない」
「……みっさん、それほんとう?」
涼は何も言えなかった。その通りだったからだ。でもそれだけではない。福禄をただの稼ぎ頭だとは一度も思ったことはない。「……違う。お前は最高の、相棒だ」
涼自身が意識を乗っ取って話した瞬間、――拳が入った。涼は後ろに倒れる。それから鬼道丸は修羅の如く涼を殴りつけた。「ぐっはぁっっ!???」
「はははっっっ!!!! そういうのは別に良いんだよ。俺は強くなりたいんだ、人を簡単に殺せるほど強くなりたいんだよ」
カウンターパンチが顎に向かって飛びかかり、涼は鼻血を噴き出した。その瞬間、意識が変わり福禄となる。
涼の意識はない。涼はもう絶体絶命のピンチであったので福禄がひずみを上げている身体を動かしているのだ。鬼道丸はにたりと笑う。「どうした福禄。俺の強さに惚れたか?」
福禄は鼻血を袖で拭ってから舌打ちをした。そして、全速力で逃げたのだ。池の橋を通って庭を通って街灯を潜り、門まで向かう。するとそこには運転手が立っていた。そこで顔面が腫れて血だらけの涼の姿を見て絶句する。福禄が叫んだ。
「運転手さんっ、ドア開けて救急外来! 早くっ!」
運転手が何事かと思いつつ涼に憑依している福禄を中に入れる。それから福禄は憑依を解いた。そこには気絶してぼろぼろになった涼の姿がそこにあった。
車が発進すると福禄は涼の血だらけになった顔を自分の服で拭う。「……みっさん」
福禄は今の鬼道丸を恐れた。今の鬼道丸は弟の餓鬼よりも格段に強かった。
「福禄っ、――憑依しろっ!」
「え、あ。うんっ!」
福禄と共に玄関を出て鬼道丸から離れてから涼は福禄と憑依した。涼の身体を借りた福禄は拳をぱぁんっと合わせて一礼する。それから身構えた。
鬼道丸が玄関からゆっくりと出てきた。屈託のないその笑みが逆に恐怖を感じさせる。「俺の話を聞いてからにしてくれないか、福禄?」
「でもその前に、鬼道丸様。あなたに俺は殺されかけた。それはどういうことか説明できますか?」
すると鬼道丸はニヒルな顔つきで答えた。「朱印になれって言ってんだよ」
福禄が首を傾げる。「朱印? それはどういう意味ですか?」
「御朱印帳ってあるだろう? 神仏閣に朱印をする、縁を大切にするっていう話だ。俺は今、早太とその関係性となっている。それでここからが大事だ。……俺の弟である餓鬼も、その仲間も含めて二体、神のみ使いを取り込んで朱印となった」
福禄が目を見開いた。それから鬼道丸はそんな福禄へ歩み寄る。小さい身体なので歩幅が小さいくせに、やけに大きく感じた。
「俺はこの身体として復活してから俺を殺した人間たちの末裔を殺そうとしている。ちなみにお前が憑依しているその男だって、俺を殺した長の息子さ」
福禄も意識下にある涼は絶句した。はったりではないかと思ったが得心のある話を涼は知っている。
昔、シカの仏像を拝んでいる父に聞いたことがあったのだ。どうしてその仏像を拝めているのだと。すると父は悲壮な顔をして言った。「父さんの祖先が人を殺めてしまったんだ。だからその一体である福禄寿様がその怒りを治めてくださる」そして父は毎日のように拝んでいた。
涼はもしかして、と思った。福禄がここに居たのは、あの仏像から現れたのは鬼道丸の復活を阻止するために自分たちの信仰を密かに見張っていたのではないかと。
だが確証はない。福禄は仏像から現れたかと思えば、「ここってどこ?」の一点張りでこの会社のことなどつゆ知らなかったのだから。
鬼道丸が福禄へ歩み寄り、――止まる。「俺と手を組まないか? その男はお前にとっても裏切り者なんだ。お前をただの稼ぎ頭としか思っていない」
「……みっさん、それほんとう?」
涼は何も言えなかった。その通りだったからだ。でもそれだけではない。福禄をただの稼ぎ頭だとは一度も思ったことはない。「……違う。お前は最高の、相棒だ」
涼自身が意識を乗っ取って話した瞬間、――拳が入った。涼は後ろに倒れる。それから鬼道丸は修羅の如く涼を殴りつけた。「ぐっはぁっっ!???」
「はははっっっ!!!! そういうのは別に良いんだよ。俺は強くなりたいんだ、人を簡単に殺せるほど強くなりたいんだよ」
カウンターパンチが顎に向かって飛びかかり、涼は鼻血を噴き出した。その瞬間、意識が変わり福禄となる。
涼の意識はない。涼はもう絶体絶命のピンチであったので福禄がひずみを上げている身体を動かしているのだ。鬼道丸はにたりと笑う。「どうした福禄。俺の強さに惚れたか?」
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車が発進すると福禄は涼の血だらけになった顔を自分の服で拭う。「……みっさん」
福禄は今の鬼道丸を恐れた。今の鬼道丸は弟の餓鬼よりも格段に強かった。
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