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《非日常の中での日常》
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血だらけの福禄が逃げてしまったことにより屋敷に静寂が募る。そんな中で鬼道丸と憑依していた早太は憑依を解いた。メイド姿の早太は満足そうな顔をしている。
「まっ、鬼道丸様の力を見せつければ逃げ出すのも仕方ありませんね。でも、どうしましょう? 結局、朱印にはできませんでしたね」
早太の問いかけに拳を血だらけにしていた鬼道丸は早太へ両手をぶら下げた。早太は察する。どうやら手を拭って欲しいようだ。「かしこまりました、鬼道丸様」
早太は懐に持ち合わせていた黒地のハンカチで鬼道丸の両手を拭う。早太が憑依する前、鬼道丸は包丁を使っていたが、さすがに傷害や殺人事件になるので拳で応戦している。
拳は福禄と共に早太も得意であった。いや、福禄よりも早太は得意分野かもしれない。早太は鵺を打ち取った時は猪突猛進かのように、その抜群な運動神経の良さは早太の得意技であった。それが猪早太の名前の由来なのだから。
鬼道丸の手がきれいになる。だがそれでも血の匂いは消えずにいた。「俺はまた祠に納められちまうのかな。あの餓鬼のように」
「鬼道丸様……」
「餓鬼にまた封じられるの、……かな」
自分の弟のことを餓鬼と呼ぶ姿は懐かしさからか、もしくは疎ましく思っているかは定かではない。しかしそれでも鬼道丸は早太の顔を見てにこっと笑んだ。
「腹が減ったっ! 夜食だ。なんかつまみで作ってくれ」
普段通りの鬼道丸の姿に早太は安堵して「おにぎりか茶漬けかどちらがよろしいですか?」玄関を閉めて廊下を渡っていると鬼道丸はぱぁっと明るくなる。
「おにぎりも茶漬けも食べたいっ! あっ、茶漬けは鯛茶漬けな」
「はい。ですが鯛はないので鮭にしますね」
早太が手際よくおにぎりと鮭茶漬けを作る中で鬼道丸は夜の空を眺めていたのであった。
朝となった。よーじと夜空は自分たちが風呂に入った記憶がない。そのおかげでぼろぼろの身体で眠っていた。
よーじが唸るように布団から這い出て起き上がる。身体の節々が痛く、怪我もあった。沁みる可能性があるものの、風呂には入りたかったので入ることにした。
しかしきじや狼煙が見当たらない。睦月は黄金色のカラスの姿で眠っていた。首を捻るがよーじは着替えを持って出ていこうとする。
脇には夜空が唸っていた。寝相が悪いのかぺったんこなお腹が出ている。腹部には打撲痕があった。「……夜空も頑張ったもんなぁ。睦月に扱かれても頑張っていたもんなぁ」
一人呟き夜空のお腹を引っ込めて布団を被せた。夜空が少し安らかな顔をしていたのでよーじは顔をゆっくりと笑う。「さっ、風呂入ろうっと」
和室を出ると窓辺から朝日が見えなかった。まだ朝の五時ぐらいだとよーじは考える。そんな中で読経の声が聞こえた。祖父の桃葉と母親の小枝の声だ。
よーじは部屋をノックして二人に声かける。すると二人は読経を止めてよーじへ駆け寄った。
小枝が強く抱きしめてくれた。「大丈夫? あとで怪我を診せて!」
桃葉もぼろぼろのよーじの身体を見て呟く。「さすが狼煙様は強いなぁ……。そういえば今、狼煙様と鬼治丸様が風呂に浸かっておるぞ」
「えっ、二人が風呂に入ってんの? ほんとかよ」
「あぁ。葉治、お前も風呂に入ったらいい。狼煙様が仰っていたぞ。風呂は滋養に効くとな」
狼煙がそんなことを言っていたことによーじは驚きつつも桃葉と小枝に礼を言った。「ありがとう。風呂入ったら怪我を診て欲しいな。母さんもごめんね、休みなのに」
「良いのよ。よーじも夜空くんも今日が休みで良かったわね。まぁ、身体をきれいにしたら処置してあげるから」
「……ありがとう、二人とも」
そう言って二人に礼をするよーじは風呂場へと向かう。すると風呂場ではわいわいと賑やかであった。よーじは痛む身体を抑えて脱衣して扉を開ける。
するとそこにはきじの頭を洗ってあげている狼煙の姿があった。きじはシャワーヘッドを付けており髪の毛が泡立っていたのであった。
「まっ、鬼道丸様の力を見せつければ逃げ出すのも仕方ありませんね。でも、どうしましょう? 結局、朱印にはできませんでしたね」
早太の問いかけに拳を血だらけにしていた鬼道丸は早太へ両手をぶら下げた。早太は察する。どうやら手を拭って欲しいようだ。「かしこまりました、鬼道丸様」
早太は懐に持ち合わせていた黒地のハンカチで鬼道丸の両手を拭う。早太が憑依する前、鬼道丸は包丁を使っていたが、さすがに傷害や殺人事件になるので拳で応戦している。
拳は福禄と共に早太も得意であった。いや、福禄よりも早太は得意分野かもしれない。早太は鵺を打ち取った時は猪突猛進かのように、その抜群な運動神経の良さは早太の得意技であった。それが猪早太の名前の由来なのだから。
鬼道丸の手がきれいになる。だがそれでも血の匂いは消えずにいた。「俺はまた祠に納められちまうのかな。あの餓鬼のように」
「鬼道丸様……」
「餓鬼にまた封じられるの、……かな」
自分の弟のことを餓鬼と呼ぶ姿は懐かしさからか、もしくは疎ましく思っているかは定かではない。しかしそれでも鬼道丸は早太の顔を見てにこっと笑んだ。
「腹が減ったっ! 夜食だ。なんかつまみで作ってくれ」
普段通りの鬼道丸の姿に早太は安堵して「おにぎりか茶漬けかどちらがよろしいですか?」玄関を閉めて廊下を渡っていると鬼道丸はぱぁっと明るくなる。
「おにぎりも茶漬けも食べたいっ! あっ、茶漬けは鯛茶漬けな」
「はい。ですが鯛はないので鮭にしますね」
早太が手際よくおにぎりと鮭茶漬けを作る中で鬼道丸は夜の空を眺めていたのであった。
朝となった。よーじと夜空は自分たちが風呂に入った記憶がない。そのおかげでぼろぼろの身体で眠っていた。
よーじが唸るように布団から這い出て起き上がる。身体の節々が痛く、怪我もあった。沁みる可能性があるものの、風呂には入りたかったので入ることにした。
しかしきじや狼煙が見当たらない。睦月は黄金色のカラスの姿で眠っていた。首を捻るがよーじは着替えを持って出ていこうとする。
脇には夜空が唸っていた。寝相が悪いのかぺったんこなお腹が出ている。腹部には打撲痕があった。「……夜空も頑張ったもんなぁ。睦月に扱かれても頑張っていたもんなぁ」
一人呟き夜空のお腹を引っ込めて布団を被せた。夜空が少し安らかな顔をしていたのでよーじは顔をゆっくりと笑う。「さっ、風呂入ろうっと」
和室を出ると窓辺から朝日が見えなかった。まだ朝の五時ぐらいだとよーじは考える。そんな中で読経の声が聞こえた。祖父の桃葉と母親の小枝の声だ。
よーじは部屋をノックして二人に声かける。すると二人は読経を止めてよーじへ駆け寄った。
小枝が強く抱きしめてくれた。「大丈夫? あとで怪我を診せて!」
桃葉もぼろぼろのよーじの身体を見て呟く。「さすが狼煙様は強いなぁ……。そういえば今、狼煙様と鬼治丸様が風呂に浸かっておるぞ」
「えっ、二人が風呂に入ってんの? ほんとかよ」
「あぁ。葉治、お前も風呂に入ったらいい。狼煙様が仰っていたぞ。風呂は滋養に効くとな」
狼煙がそんなことを言っていたことによーじは驚きつつも桃葉と小枝に礼を言った。「ありがとう。風呂入ったら怪我を診て欲しいな。母さんもごめんね、休みなのに」
「良いのよ。よーじも夜空くんも今日が休みで良かったわね。まぁ、身体をきれいにしたら処置してあげるから」
「……ありがとう、二人とも」
そう言って二人に礼をするよーじは風呂場へと向かう。すると風呂場ではわいわいと賑やかであった。よーじは痛む身体を抑えて脱衣して扉を開ける。
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