鬼を治めるよーじ

蒼空 結舞(あおぞら むすぶ)

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《福禄を憑依!》

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 窓ガラスなどが割れる音に人々の叫び声が聞こえた。よーじもきじも福禄でさえもこの事態はまずいなと考えている。
 小枝を涼の病室へ連れて行き、ベッドへ横たわらせてから三人は考える。でもその前によーじは夜空へ電話を掛けた。
 夜空はすぐに出てくれた。『もしもし? 今さ、病院に向かっているんだ。よーじときじくんが見舞いに行ったと思う病院に』
 よーじは驚いてどうしてわかったのだろうかと夜空に問いかける。「……どうしてわかったんだ? ニュースかなにかでやっているのか?」
 夜空は足早に駆けつけているのか少し息せき切って答えた。
『ニュースでやっているよっ。しかもSNSでも拡散されてる。僕たちも病院に着いたらよーじたちが居る場所に行くからっ!』
 そう言って夜空は電話を手短に切ってしまった。もしかしたら睦月に憑依された状態かもしれないなと鑑みた。
 そんな中でよーじは涼の個室の病室にはテレビが付いていた。机に置いてあるテレビカードを勝手に使わせてもらってニュースを見ると確かにここの場所が映っている。かなりおおごとになっているようだ。病室の外には多くの警備隊が居た。パトカーも何台も並んでいる。
「どうする、きじ? これだったら鬼道丸は掴まれば確実に牢屋行きだぞ。人でも殺していたら死刑だ」
「死刑……、死罪、か。兄者が、また……」
 きじが複雑そうで、それでいて悲壮な顔をしていた。自分の兄が今度は実際にやらかしてしまっているのでおおごとになるのが嫌だったようだ。
 自分の兄と出会って嬉しいはずなのにこんな形で、最悪な形で会うということにきじは辛かったらしい。弥生を抱えながら涙を堪えていた。
 その弥生を見てふと考えた。どうして弥生は実態として現れたのか、ということだ。よーじが考えていると弥生が、喋らないはずの弥生が口をもごもごとさせていたのだ。「主人の魂を借りたんだ、よーじ」
「えっ……。弥生が、――話した?」
 それはきじも驚いて目を見張るぐらいであった。しかし弥生は構わずにきじの胸に手を置いて真紅を瞳できじを見やる。きじの瞳も赤いのでお互いウサギのような感覚だと双方を見ていたよーじは思う。弥生は唖然としているきじへ言葉を紡ぐ。
「主人。私は、主人の魂を捧げられてここに居る。実態として居られる。でも本来はこの状態が危険なんだ」
「危険……? どういうことだ」
「主人の魂を気づかれたら、今度は主人の実態がなくなる」
 弥生の言葉にきじもよーじも目を見開いた。しかしきじはどこか得心を得たように弥生に抱き着く。それから温かい雫を流した。
「たとえそうであっても、お前に、……弥生に会えておらは嬉しいよ。ありがとう、ママも助けてくれて……」
 きじはそう言って弥生の鼻先に触れたキスをする。弥生が目を丸くしていたがやんわりと優しげな顔をしてきじの顔に触れた。
「ねぇ、聞きたいんだけどさ。このままじゃまずいよ、餓鬼。あの鬼道丸様をどうやって止める?」
 福禄は相変わらず涼の不自由な身体を借りたままだ。そんな福禄にきじは少し頭を捻る。しかしやはり子供だからかうまい考えが浮かばないようだ。するとよーじが福禄へ顔を向ける。
「なぁ、福禄。お前の朱印は俺が取り込んだ。本当は光石さんに戦って欲しいぐらいだけど、光石さんの身体を酷使すればこのままだともっと酷いことになる」
「……お前は確か、よーじって子だよね。じゃあ、お前に憑依しろってこと? そんな馬鹿げた考え」
「いや、それは……――ありかもしれないっ!」
 弥生の頭を撫でながらきじは「それだっ!」というようにどこで真似をしたのだろうか。左手を下にして右手を拳にして軽く打つ。しかし福禄は納得がいっていない様子だ。
「はぁ~~?? 無理に決まってるでしょ、そんなの! いきなり憑依しろって言ったって相手との相性もあるでしょ。……まぁ、複数の神のみ使いと憑依させていたら考えても良いけど……」
「いや。初めはきじと憑依して次は弥生と、それから狼煙とも憑依できたぞ」
「……えっ?」
 よーじがなんでもないという風に伝えると福禄はギョッとした顔を見せた。それじゃら少し考える。
 福禄は考えた。この絶望的な環境で、鬼道丸の元へ向かうにはどうすれば良いか。ボロボロの涼を早く治すにはこれが最善だと福禄は舌打ちをして、涼との憑依を解いた。
 「少しだけだよ、よーじって子。餓鬼の味方になったわけではないからね」それからよーじへ憑依したのだ。
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