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*《スパイス》
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辛いカレーを食したからか、汗だくになった二人はクーラーをかけた室内でぼんやりとしていた。しかし、ウツギは頬を紅潮させて息を荒げているのでさすがにおかしいなと思った楠は「風呂でも入っておくか? 平気か?」声を掛けてきた。
身体をビクつかせ、「いや、多分、平気……です」一応そう言っているが声も掠れて瞳を濃紺と水色に変化させているウツギが心配になり、楠は駆け寄る。
「大丈夫じゃねぇだろ、ほらこんなに汗が――」
「ひぃうっ!??」
「……へっ?」
頬に手が触れただけで身体が跳ねて飛び上がるウツギは、明らかに発情したてのウサギのような表情をした。瞳も充血し、頬がリンゴのように染まり、息を切らす姿はなんとも情欲をそそらせる。そんな彼は汗だくのグレーのTシャツを脱いだかと思えば身を捩らせ自身の淡く咲くつぼみを探り触れていく。――楠の喉が鳴った。
「お前……なにがあったんだよ」
「わかんない、です。はぅ……、あつ、い……、うぅっ……!」
ウツギ自身も困惑している様子だが今度はスキニーパンツを脱ぎ出し、下着のなかに手を突っ込んでいるので「待て待て待て……」楠は焦った。かなり焦燥感を抱いた。恐らくは辛いカレーを食べたからだとは思うが、……まさかこんなにもウツギが狼狽えたのは初めてで、その煽情的な姿に魅了されてしまう。
(いかんいかん! なに考えてんだ!)
とりあえず杞憂に終わらぬように、楠はほぼ全裸になっているウツギを見てコップに水を注ぎ、手渡そうとした。だがウツギの瞳は濃紺と水色の狭間で移ろい、コップを手で跳ねのけてしまう。
ビシャリという音とカランという乾いた音がして、楠のワイシャツに水がぶちまけられる。――ウツギは虚空を眺める瞳から一気に目が覚める。
「ご、めんなさい……、水びだしに……」
「あぁ、大丈夫だ。別に」
「早く脱がないと、早く……、うぅっ、あぅ……!」
それどころではないだろうというウツギの姿を見つつも、楠はワイシャツを脱いで上半身を魅せつけた。均等に割れた筋肉と美しい三角筋と上腕筋にウツギのあるはずのない鼓動が跳ねる。
……触れてみたいと願ってしまう。だから実行した。
「お、い……?」
ペタペタと触れて肉感的な感触を触れ、樟脳と汗の香りに委ねられ……ウツギは吐息を漏らす。自分が変態になったような気分だ。これだけで果ててしまいそうになる。――そんな変態的な自分が嫌なので、紛らわすためにウツギは自身に手を伸ばし扱いた。下着から取り出し、小ぶりな自身を一所懸命に慰めて果てようとする姿に、楠は背筋が伸びる。
「あぅ……、く、すのき、さん……ごめん、なさい……! ひぃっう……、うぅっ……!」
懸命に吐き出そうとするウツギに楠はどうしようもなくなった。涙が零れ許しを請う姿を見て……楠は舌打ちをした。
楠もジーパンを脱いで下着を脱ぎ去り、自身を取り出してウツギと共に充てがうのだ。――さすがにウツギも目を見張った。
「くすのき……さん?」
「黙ってろ、馬鹿。……お互い、キモチイイのが、いいだろ」
「う、うん」
しどろもどろになりつつも、お互いの熱で慰める様子はウツギも楠も興奮させた。――それだけ異様に甘美な時間は堪らないほど良かった。
「あぅ……、イ、イクっ……!」
「俺も……出るっ!!!」
二人が同時に果てて吐き出した。白濁液でぐっしょりだ。――だが、ウツギの熱は収まらない。
熱く籠った吐息を漏らし、今度は自身の後ろに指を挿入しようとして――楠が手を止めさせた。
「あぁぅ……、なん、で……?」
「馬鹿。お前は痛みを感じなくとも、普通に尻に指なんか挿れたら血が出るぞ? ――ワセリン持ってくるから、待ってろ」
そう言って楠は立ち上がりベッド脇に置いてあるワセリンを取り出した。自分がかさつく手をしているので常備してあるのだ。
だがそんなことよりも、仕舞い込んであるが下着越しからわかるほど昂ぶりを保つ楠自身を見たウツギは、後ろを解そうとする楠の前面に出て……昂ぶりを手にした。
「……なっ、なにして!??」
あからさまに動揺する楠がおかしくて、ウツギは匂いを嗅いでみる。汗と独特の雄の香りがする匂いだ。嫌ではない。
だから口に入れてしまうたいと興味本位で思ってしまう。――口に昂ぶりを運んでじゅぅと舐めてみた。
「あぅ、て、めぇ……」
雄のような喘ぎにふと笑ってそのまま熱い肉棒を口に運んでみようとするが、楠が右手でウツギを抑え、左手でウツギの尻を揉みしだいていく。……ウツギの左目が紺色に変化する。
「あぅ……いや、あぁっ……! くす、のきさん――ずる、い……」
「ははっ、俺を襲うなんざ百年早いんだよ、馬鹿ウツギ」
「バカじゃ、ない……、あぅ……!」
「馬鹿なら馬鹿なりに、俺の行為に付き合ってろ。ほら――尿道がパクパクして、またやらしい精液が出てるぜ?」
耳元で罵られ、囁かれてウツギはぞくりとする。気持ちが良い。……それだけで十分であった。
「あぁぅ……、イク……イッちゃう……!」
指を何本挿入されたのかわからぬまま、ウツギは白濁液を吐き出し気絶したように眠る。
ウツギは知らない。ウツギの憐れのない姿を思い起こし何回も射精をした後、ウツギを着替えさせた……哀れで勇気を出せぬ愚者の人間の姿を知らないのだ。
身体をビクつかせ、「いや、多分、平気……です」一応そう言っているが声も掠れて瞳を濃紺と水色に変化させているウツギが心配になり、楠は駆け寄る。
「大丈夫じゃねぇだろ、ほらこんなに汗が――」
「ひぃうっ!??」
「……へっ?」
頬に手が触れただけで身体が跳ねて飛び上がるウツギは、明らかに発情したてのウサギのような表情をした。瞳も充血し、頬がリンゴのように染まり、息を切らす姿はなんとも情欲をそそらせる。そんな彼は汗だくのグレーのTシャツを脱いだかと思えば身を捩らせ自身の淡く咲くつぼみを探り触れていく。――楠の喉が鳴った。
「お前……なにがあったんだよ」
「わかんない、です。はぅ……、あつ、い……、うぅっ……!」
ウツギ自身も困惑している様子だが今度はスキニーパンツを脱ぎ出し、下着のなかに手を突っ込んでいるので「待て待て待て……」楠は焦った。かなり焦燥感を抱いた。恐らくは辛いカレーを食べたからだとは思うが、……まさかこんなにもウツギが狼狽えたのは初めてで、その煽情的な姿に魅了されてしまう。
(いかんいかん! なに考えてんだ!)
とりあえず杞憂に終わらぬように、楠はほぼ全裸になっているウツギを見てコップに水を注ぎ、手渡そうとした。だがウツギの瞳は濃紺と水色の狭間で移ろい、コップを手で跳ねのけてしまう。
ビシャリという音とカランという乾いた音がして、楠のワイシャツに水がぶちまけられる。――ウツギは虚空を眺める瞳から一気に目が覚める。
「ご、めんなさい……、水びだしに……」
「あぁ、大丈夫だ。別に」
「早く脱がないと、早く……、うぅっ、あぅ……!」
それどころではないだろうというウツギの姿を見つつも、楠はワイシャツを脱いで上半身を魅せつけた。均等に割れた筋肉と美しい三角筋と上腕筋にウツギのあるはずのない鼓動が跳ねる。
……触れてみたいと願ってしまう。だから実行した。
「お、い……?」
ペタペタと触れて肉感的な感触を触れ、樟脳と汗の香りに委ねられ……ウツギは吐息を漏らす。自分が変態になったような気分だ。これだけで果ててしまいそうになる。――そんな変態的な自分が嫌なので、紛らわすためにウツギは自身に手を伸ばし扱いた。下着から取り出し、小ぶりな自身を一所懸命に慰めて果てようとする姿に、楠は背筋が伸びる。
「あぅ……、く、すのき、さん……ごめん、なさい……! ひぃっう……、うぅっ……!」
懸命に吐き出そうとするウツギに楠はどうしようもなくなった。涙が零れ許しを請う姿を見て……楠は舌打ちをした。
楠もジーパンを脱いで下着を脱ぎ去り、自身を取り出してウツギと共に充てがうのだ。――さすがにウツギも目を見張った。
「くすのき……さん?」
「黙ってろ、馬鹿。……お互い、キモチイイのが、いいだろ」
「う、うん」
しどろもどろになりつつも、お互いの熱で慰める様子はウツギも楠も興奮させた。――それだけ異様に甘美な時間は堪らないほど良かった。
「あぅ……、イ、イクっ……!」
「俺も……出るっ!!!」
二人が同時に果てて吐き出した。白濁液でぐっしょりだ。――だが、ウツギの熱は収まらない。
熱く籠った吐息を漏らし、今度は自身の後ろに指を挿入しようとして――楠が手を止めさせた。
「あぁぅ……、なん、で……?」
「馬鹿。お前は痛みを感じなくとも、普通に尻に指なんか挿れたら血が出るぞ? ――ワセリン持ってくるから、待ってろ」
そう言って楠は立ち上がりベッド脇に置いてあるワセリンを取り出した。自分がかさつく手をしているので常備してあるのだ。
だがそんなことよりも、仕舞い込んであるが下着越しからわかるほど昂ぶりを保つ楠自身を見たウツギは、後ろを解そうとする楠の前面に出て……昂ぶりを手にした。
「……なっ、なにして!??」
あからさまに動揺する楠がおかしくて、ウツギは匂いを嗅いでみる。汗と独特の雄の香りがする匂いだ。嫌ではない。
だから口に入れてしまうたいと興味本位で思ってしまう。――口に昂ぶりを運んでじゅぅと舐めてみた。
「あぅ、て、めぇ……」
雄のような喘ぎにふと笑ってそのまま熱い肉棒を口に運んでみようとするが、楠が右手でウツギを抑え、左手でウツギの尻を揉みしだいていく。……ウツギの左目が紺色に変化する。
「あぅ……いや、あぁっ……! くす、のきさん――ずる、い……」
「ははっ、俺を襲うなんざ百年早いんだよ、馬鹿ウツギ」
「バカじゃ、ない……、あぅ……!」
「馬鹿なら馬鹿なりに、俺の行為に付き合ってろ。ほら――尿道がパクパクして、またやらしい精液が出てるぜ?」
耳元で罵られ、囁かれてウツギはぞくりとする。気持ちが良い。……それだけで十分であった。
「あぁぅ……、イク……イッちゃう……!」
指を何本挿入されたのかわからぬまま、ウツギは白濁液を吐き出し気絶したように眠る。
ウツギは知らない。ウツギの憐れのない姿を思い起こし何回も射精をした後、ウツギを着替えさせた……哀れで勇気を出せぬ愚者の人間の姿を知らないのだ。
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