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最終試験6

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「え、ちょ――…」

 戸惑いつつも安鶴沙の手から逃れようとするシルヴィ。しかし、すでに遅かった。シルヴィは手を引かれバランスを崩す。そのまま抱き着くように体を掴まれ――次の瞬間、シルヴィの視界が回った。

 安鶴沙は自身の体を後ろに倒しつつ、シルヴィの体を後方へ投げていた。柔道で言う、引込返ひきこみがえしである。

 それは、シルヴィにとって全く未知の技だった。気が付いた時には体は宙に舞い、仰向けに倒されていた。

「まだ、続けますか?」

 安鶴沙がシルヴィの顔を覗き込む。その手に握られているのは――シルヴィの持っていた短刀ダガー

(いつの間に――…)

 安鶴沙はシルヴィの体を投げると同時に、短刀ダガーまでも奪い取っていた。

 シルヴィは、安鶴沙が対人戦では無類の強さを誇るという事を知っていた。だが…それは、予想を超えていた。

「…私の負けね」

 そう言って、シルヴィは小さくため息を吐いた。
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