追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

ルカとゲオルグ

　ゲオルグがルカ・ハークレイと出会ったのは、今から3年前の事だった。当時ゲオルグはDランク冒険者。腕はそれなりに立つが、協調性がないためパーティを組んでくれる者は昔馴染みのウォルター・ストークス以外にはいなかった。そんな彼に、冒険者ギルドから打診があったのだ。ルカという名前の少年をパーティに入れてはどうか、と。

　ルカは10歳の少年で、身寄りがいないのだという。なんでも3ヵ月前に故郷の村が襲われて親類縁者は全員亡くなってしまったのだと。冒険者に保護されたルカは、現在は冒険者ギルドの支部で下働きをしているとの事だ。

（なんで俺がそんなガキの面倒見なきゃならねえ）

　最初、ゲオルグはそう思って断ろうとした。だが、すぐに考えを改めた。

（まあいい…荷物持ちとしてさんざんこき使ってやって、俺について来れなくなったら捨てればいいだけだ）

　冒険者稼業というのは楽ではない。武術の訓練も受けていない10歳の少年が自分達について来れるとは思っていなかった。だが、それならそれで構わない。使えないなら見捨てればいい――そんな風に考えていた。

「よろしくお願いします、ゲオルグさん」

　そう挨拶してパーティに加わってきたルカは、可愛らしい少年だった。美少年と言ってよい。そんな彼の風貌を見て、ゲオルグは確信した。

（はっ…こんなガキ、こき使ってやればすぐに音ねを上げて逃げ出すだろ）