瞬風雷刃の勇者 ~忘れた記憶~

ノイ

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1章 イグニドル

4話 『新米冒険者』

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城から出た俺は街中でこれからのことについて考えていた。


俺はもうこの時、勢いだけでこの城を飛び出したことを少しだけ後悔していた。


俺はこの世界に来たことがある……そう言ってもこの街から一歩も外には出たことがない。つまり、この先は未知の世界ということ。


俺は地図くらい貰っておけばと後悔する。


街には多くに人が溢れている。


この都市【イグニドル】では普通のことだ。


しかし、悩んでいてもしょうがない。


俺は人を避け、前に進む。


この街には多くの商業施設が立ち並んでいる。


これもこの街の特徴なのだ。


レベル1の俺には武器も武具も何もない。


このまま国と国同士の境界線を渡ろうにも危険すぎる。


「まずは……一通り揃えんとな」


しかし、それにはお金も何もない。


となると、行く場所が限られてくる。


俺は迷わず前に進み続ける。


しばらくすると、人通りも少なくなり、商業施設も少なくなってきた。そこに、俺の目的地はあった。


「ここか……相変わらず、変わってねーな」


俺の目の前には立派な一軒家が立っている。これこそが、商業施設の頂点に位置する【ギルド協会】。


冒険者として必須のこの場所。


ここでは、主にギルドカードの発行やパスポートの発行、それに、依頼の受諾を行っている。


俺はなんの迷いもなくそこの扉を開ける。


カランコロンという音が店内に響き渡る。


「いらっしゃいませ。今回はどのようなご用件でしょうか?」


執事服を着た青年が目の前にいた。


その一軒家の中は広く、幾つものカウンターが設置されている。


そこには『ギルドカード発行係』など目印が天井からぶら下がっている。


「……ギルドカードの発行を」

「承知いたしました」


俺はギルドカード発行係に連れて行かれた。


「では、分からないことがありましたら、お申し出ください」

「は、はぁ……」


建物は俺がいた頃とは何の変わりもなかった。


しかし、中身を見てしまえば、全然違っていた。


冒険者はこのギルド協会がなければ無職と変わらない。


そして、ギルド協会も冒険者がいなくては成り立たない。


だから、一生懸命ギルド協会は手招きをしているのだろう。


俺はカウンターの席に座る。


「ギルドカードの発行ですね?」

「はい、お願いします」

「了解しました。では、こちらが規約書になります。目を通しておいてください。それと、ここに名前の記入を」

「分かりました」


俺の目の前にはA4サイズのプリントが置かれた。


そこには幾つかの項目ごとに規約が書かれている。


そして、その一番最後には名前の書く場所がある。


俺は何の迷いもなく、そこに名前を書いた。


「……トモヒロ、様ですね?」

「はい」

「では、ギルドカードについては、別室で手続きを行ってもらいます。少々お待ちください」

「はい、分かりました」


周りを見渡してみる。


ここには、ギルドカードの発行などの他にもお食事処まで備えついている。


カウンターの女性は一度席を外した。


しかし、すぐに席に戻ってきた。


「では、これから測定を行いますので、別室へ移動お願いします」

「分かりました」


俺は冒険者になるのは初めてだった。


そもそも、勇者だったらこんなギルド協会にお世話にならなくても仕事はあったし。


異世界が二度目だったとしても俺の緊張は止まらない。


カウンターの女性は俺を別室へ案内してくれた。


このギルド協会の二階。


そこで、俺はギルドカードの作成を行う。


一階は人が多く、混んでいたのとは対照的で、二階は部屋が多く、廊下に人はほとんどいなかった。


「では、こちらです。中に……担当の人がいますのでその人の指示に従ってください」


その女性は俺をここまで案内するのが仕事らしい。


すぐに一階へと戻って行ってしまった。


俺は仕方なくその扉をゆっくりと開け、中に入る。


「あなたが……トモヒロさんですか?」

「はい。そうです」

「では、これより測定を始めます。まずは……」


能力測定はギルドカードを作成するのに一番大切な要素だ。


これがないと、ギルドカード自体発行できない。


これとステータスはどう違うのか、俺は疑問を持った。


「……能力値とステータスってどう違うんですか?」


恐る恐る聞くと、その人はニコリとしながら答える。


「能力値とステータスは基本的に同じですよ?」

「えっ……!」


答えはいつもシンプルでつまらないもの。


結局、どうしてここで能力測定をするのか分からない。


しかし、今度はそんな疑問を持っているとその人は話を続ける。


「ステータスというのは基本的に他人に見せることが出来ないんですよ。そんなんではギルドカードを作成することが出来ません。だから、能力測定を行っているんです」


俺の疑問は打ち砕かれてしまった。


俺の疑問はなくなったところで能力測定が始まった。












測定はそこまで時間がかからず、すぐに終わった。


「これで、測定は終了となります。すぐにギルドカードは出来ますので、カウンターでお受け取りください」

「分かりました」


俺は一階に下り、カードを受け取り、ギルド協会を後にした。
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