瞬風雷刃の勇者 ~忘れた記憶~

ノイ

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1章 イグニドル

6話 『パーティー。』

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「ハァ、ハァ、ハァ……。もう、追ってこないな」

「そ、そうですね」


俺は幼女と全速力で街に向かって走っていた。


森の中を下っていったため、結構足元が悪かった。


そして、足元に気をつけて走っていると余計に体力が削られる。


その繰り返しだった。


しかし、森のど真ん中ではなく、外れだったため、追いつかれずに結界の中に入ることに成功した。


俺は息を切らして、今にも倒れそうな顔をしていた。


俺のことだけで精一杯だった。


幼女のこと何一つ、気遣う余裕がなかった。


しかし、その幼女は俺の顔を覗いてくる。


「だ、大丈夫ですか?」

「あ、あぁ……」


幼女は一切、息が切れていなかった。


流石、獣人族といえるだろう。


獣人族は基本的に魔法のコントロールが苦手なのだ。


しかし、その代わりにパワーと体力がある。


こんなに小さい子でも例外ではない。


そして、体力について。


俺のステータスにもHPとして表示されていた。


しかし、この世界で示す体力というのはRPGでいうものとはまるっきり違う。


RPGで体力と示しているのは命の指数。


しかし、この世界ではスタミナと言った方が正しい。


その数が獣人族は他の種族と比べて高い。


俺は少し休み、落ち着いてから話し出す。


「それより、これからどうする?」


俺が真剣な眼差しで幼女に問うと、


「そ、そうです。困りました。これから、どうしましょ」


彼女の話を聞いているに、こんな無茶をしたのは今日だけではなかったらしい。


ずっと宿を借りて暮らしていたらしいのだが、ついこの間、その宿からも追い出されたらしい。


お金がない俺としてはほっとくわけにはいかない。


だが、今の俺に何が出来るか分からない。


一緒に依頼をこなすのもいいが、彼女の足手まといになりかねない。


そんなことをグチャグチャ考えていると俺の考えを見透かしたかのように彼女は俺に問う。


「……失礼じゃなかったら、一緒に依頼を受けてもらえないでしょうか?」


礼儀正しくていい子。


そして、俺ははっきり言って弱い。


一人より二人の方が絶対に稼げる。


俺の気持ちはすぐに決まっていた。


「あぁ……頼む」

「よ、よろしくお願いします。私の名前はステラ・セイラー」

「あぁ……よろしく。俺の名前はトモヒロだ」


一通り、自己紹介が終わった俺たちはまず、ギルド協会に向かうことにした。





しばらく歩くと俺たちは目的地のギルド協会に到着した。


そして、俺は何の躊躇もなく、その扉を開ける。


これから、一応一緒に依頼をこなしていくには出続けしなくてはいけないものがあった。


それは、パーティー登録。


RPGとかではどこでも簡単に登録できるものだった。


しかし、この世界では違う。


ギルド協会にある一つの部署に願い届けを出さなければならない。


そして、パーティーの人全員がその全員のパーティーの能力値を見ることができる。


だからこそ、そのパーティーを作成するのには覚悟がいる。


ステラとはまだ会って間もないが、問題ないだろう。


「いらっしゃいませ」


ギルド協会にはいるとまず最初にその声が聞こえる。


いつも通りだ。


俺は「大丈夫です」と最初に言って、パーティー作成のプレートがぶら下げられているカウンターまで行く。


「……パーティーの作成ですね?」

「はい」

「わかりました。少々お待ちください。登録は別室で行いますので」


このパーティー登録も別室で行うらしい。


俺たちはカウンターの席に座り、待つことにした。


そのカウンターの女性は席を外し、どこかへ行く。


そして、しばらくすると、その女性は戻ってきた。


「では、準備が整いましたので、移動を開始します」

「はい」


俺たちは連れられてまた、二階に来た。


その二階の廊下をずっと行ったところの部屋に入った。


そこは、真っ白な部屋。


「では、これよりパーティー作成に入ります。すぐに終わりますので、気を楽にしていてください」


この部屋自体も二階構造になっているらしい。


俺たちがいる一階とさっきの女性が行った二階。


二階はモニタールームのようになっている。


そこから俺たちに指示を出したり、いろいろ操作できたりする。


そして、モニタールームに行った女性から最初の指示がある。


「では、これから始めます。部屋の中央に立ってください」


俺たちはその指示を聞くと真ん中へ行った。


その瞬間、俺たちの足元には大きな円のような魔法陣が描かれた。


それはとても光っていて、綺麗だった。


その光に見入っているとすぐに手続きは完了した。


この世界ではあまり魔法陣を使った魔法を使わない。


それは、一々手間がかかるということからだ。


しかし、このような手続きなどではよく使われる。


敵がいるのにノロノロと魔法陣を展開していたら、命が幾つあっても足りない。


しかし、魔法陣には従来の魔法よりもパワーがある。


そのため、パーティーを組んでいる人の中では魔法陣を使っている人も少ないが、確実にいる。


一人ではダメなことでも二人いれば、どうにかなる。


この世界でもそれは変わらない。


そうそう、この部屋に来る人はいない。


なぜなら、パーティーを一から作るときのみにこれが必要とされるからだ。


しかし、まれにパーティー解消ということもありえる。


二人目からは普通に一階のカウンターから手続きすることができるのだ。


その辺に関してはとても便利。


「これで、終わりましたので、一階のカウンターでパーティーカードを受け取ってください」


俺たちは部屋を出て、一階のカウンターへ行った。


「では、こちらがパーティーカードとなります。なくさないようにしてくださいね」

「はい」


俺はパーティーカードを手に取るとすぐにバッグへ入れた。


そして、俺は依頼を受けるためのボードへ向かった。
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