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0章 プロローグ
02 二度目の契約
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『おめでとうございます。ナツ・ヴァーンさん。そして、ようこそ神々の世界、ファンルーへ』
すると、目の前は真っ白になり、気がつくとさっきまでの戦場とは違う場所にいた。
そして、目の前には黒髪で紫の目の色をした美少女が立っていた。
その美少女はもちろん俺の知っている人ではない。
「ここは………?」
俺は戸惑いの声を上げながら目の前の美少女に聞く。
「はい。ここは先ほども言った通り神々の世界『ファンルー』です」
「神々の世界?」
この世界には一般的に3つの空間があるとされている。
俺が住んでいる『人間界』はもちろん、魔族が多く住んでいる『魔界』、天使が住んでいる『天界』があると言われている。
そして、もう一つほとんどの人が知らない空間というものも存在している。
それこそが神々が住んでいる世界『神界』。
しかし、その神界は研究者たちが調べても分からなかったため、この世界に存在するのは『人間界』『魔界』『天界』の3つへとなった。
「はい。人間界の方たちは我々神々がいないと伝わっているようですが、それは違います」
「存在……するってことか?」
「はい。そして、あなたはその契約者に選ばれたのです」
「契約者?」
魔術の最も難易度が高いものが『召喚術』だ。
そして、自分の魔力ランクによって召喚可能な種族が決まってくる。
しかし、神々がいるという噂は聞いたことがあるが、契約したものは聞いたことがない。
自分の魔力は自分でもわかっているつもりだ。
そこまで、大きな魔力を持っているとは自分では思えないのだが。
「どうして………俺なんだ?」
「はい。神々は天使や悪魔とは違い、魔力ランクだけで決めるわけではありません」
「どういうことだ?」
「最も重要なのは相性です」
「相性?」
「はい。魔術にも雷などの種属も人間性などの相性によって決まります。それと似たような感じです」
「ほぉ……なるほど」
「では、これより始めたいと思います」
「え……」
俺は戸惑いを隠せずにいた。
「ちょっ……。俺は『Yes』も『No』も答えてませんが」
「そうですか……しかし、私たちも諦めるわけにはいかないのです」
「もし、俺が断ったらどうなるんだ?」
「はい……どの世界においても神々には逆らうことができないのが常識です。まあ、これを運命って言うんですが」
「はぁ……」
「すなわち、あなたはあそこで死にますね」
彼女は軽く答える。
ここまで話を聞くに彼女は神々であるのは間違いないだろう。
となると、断るとあそこで死ぬことになる可能性は考えていた。
しかし、口からはっきりと言われるとそれはそれでショックを受ける。
「そうか………俺に拒否権はないということか?」
「はい。もし、あなたが望んでくれるのなら私はあなたの言うことを全て叶えてあげましょう」
「ほ、本当にか?」
「はい。主人の言うことを聞く。それが我々の使命ですから」
「分かった。契約をする。そして、あいつを助けてやってくれ」
「それは……殺さずに正気に戻させろという意味ですか?」
「あぁ……そうだ」
「分かりました。殺さずの誓いを承りました。では、契約を行いましょう」
俺も前に一度だけ天使と契約したことがある。
天使や悪魔は契約者の魔力を少しだけ食し、生きる。
俺たちは魔法陣の上に立つ。そして、
『私、シリウスはナツ・ヴァーンとの契約を承認する』
『私、ナツ・ヴァーンはシリウスとの契約を承認する』
そう言った俺たちは最後に口づけをした。
すると、その瞬間魔法陣はパッと光を出した。
そして、次の瞬間、俺は元いたあの戦場に戻ってきていた。
「手も足も出ないのか?」
「ふぇっ!」
この世界ではさっきまでの時間はカウントされておらず、止まっていたらしい。
しかし、俺の中ではあの時の時間は確かにあった。
そのため、いきなりきた多くの矢の餌食と俺はなる。
反射神経がいいのか俺はその飛んでくる多くの矢を次々と弾きかえしていく。
「流石だね。でも、もう、終わりだよ。俺の『この技』は君でも避けることはできない」
『この技』と称しているのはこれまで俺を攻撃し続けた普通技ではないことはすぐに理解した。
そして、それとともに恐怖が芽生えてくる。
これまで相棒としてやってきてたった一度だけ先輩のあの技を見たことがある。
ロックオンされた人は勢いよく爆発され、地面は荒く削られていく。
先輩の技の名前は『【メテオアーツ】』
弓使いの先輩には適した最強技だ。
先輩は俺の予想通り周囲に響くように叫ぶ。
「【メテオアーツ】』
すると、弓矢の矢の先からはさっきは見られなかった赤い輝きが見られた。
それはまさしく烈火の炎。
俺の目を瞑らせ、そして、恐怖心を植え付けるには十分すぎる光景だった。
もう……ダメかと思った瞬間、俺の目の前には光り輝く魔法陣がいきなり現れた。
そこから現れたのが俺が先ほど契約したあの美少女神様だった。
「お待たせいたしました。少し手続きが混み合ってまして」
「あぁ……シリウス」
「な………召喚魔法だと」
「契約者、シリウスに向けて命令する。先輩、グレイ・オルコットを殺さずに捕らえろ」
「分かりました。命令を実行します」
メテオアーツみたいな必殺技は魔具を使うものなら必須だ。
そして、まず最初に頃合いを計って撃った方が勝つだろう。
しかし、それをひっくり返す存在。
それが召喚魔法だ。
メテオアーツは俺とシリウスに向かって勢いよく飛んでくる。
シリウスはそれを避けようとはしていない。
手をかざして一言、
「【アブソール】」
すると、俺に向かって飛んできた大きな炎の塊は消滅する。
その威力は神というだけはある。
そして、シリウスは先輩を制圧しにかかる。
それだけなら良かった。
自分には分からないような違和感が俺を襲う。
そして、シリウスは俺の方を向いて一言放つ。
その言葉を聞いて俺は絶句する。
「ナツ・ヴァーンさん。残念ながらこの世に神など存在しない」
「え………」
「私の名前はルシフェル」
「ルシフェルだと………」
俺はこれでも幾つもの講習を受けて資格を取った魔術師だ。
だからこそ、その名前を聞いて驚きを隠せない。
ルシフェル。
それは、神話に出てくる堕天使。
ルシフェルは天界から追放され、魔界へと堕ちる。
そして、終いには魔王、サタンとなる。
「お前が……どうして」
「この世界に来るためにはゲートを経由して来なければならない。その仲介役として君を選んだだけだよ」
ゲート。
それは召喚魔法を行うには必要不可欠のもの。
奴らを呼び出すにはそのゲートを経由しなければならないし、奴らもそのゲートがなければこの世界にはやってこられない。
「私は元は天使だ。だから、お礼を言っておくよ。『ありがとう』」
「え………」
そして、ルシフェルは先輩に向けて手をかざす。
そして一言、
「【アブソール】」
その言葉を発した瞬間、先輩の身体はルシフェルの手に吸い込まれ、消えていく。
俺にはそれを見ていることしかできない。
俺では魔族を倒すことができない。
そうやって最初から諦めてしまっていた。
そして、先輩の全てが闇へと消えると一言、ルシフェルが言った。
「この世界に招いてくれてありがとう。そして、さようなら。また、会える日を楽しみにしているよ」
ルシフェルの背中には黒く輝いている羽が見える。
そして、ルシフェルは空へと羽ばたいた。
一瞬のうちに全てが終わり、俺の中には罪悪感と絶望感だけが残ってしまっていた。
すると、目の前は真っ白になり、気がつくとさっきまでの戦場とは違う場所にいた。
そして、目の前には黒髪で紫の目の色をした美少女が立っていた。
その美少女はもちろん俺の知っている人ではない。
「ここは………?」
俺は戸惑いの声を上げながら目の前の美少女に聞く。
「はい。ここは先ほども言った通り神々の世界『ファンルー』です」
「神々の世界?」
この世界には一般的に3つの空間があるとされている。
俺が住んでいる『人間界』はもちろん、魔族が多く住んでいる『魔界』、天使が住んでいる『天界』があると言われている。
そして、もう一つほとんどの人が知らない空間というものも存在している。
それこそが神々が住んでいる世界『神界』。
しかし、その神界は研究者たちが調べても分からなかったため、この世界に存在するのは『人間界』『魔界』『天界』の3つへとなった。
「はい。人間界の方たちは我々神々がいないと伝わっているようですが、それは違います」
「存在……するってことか?」
「はい。そして、あなたはその契約者に選ばれたのです」
「契約者?」
魔術の最も難易度が高いものが『召喚術』だ。
そして、自分の魔力ランクによって召喚可能な種族が決まってくる。
しかし、神々がいるという噂は聞いたことがあるが、契約したものは聞いたことがない。
自分の魔力は自分でもわかっているつもりだ。
そこまで、大きな魔力を持っているとは自分では思えないのだが。
「どうして………俺なんだ?」
「はい。神々は天使や悪魔とは違い、魔力ランクだけで決めるわけではありません」
「どういうことだ?」
「最も重要なのは相性です」
「相性?」
「はい。魔術にも雷などの種属も人間性などの相性によって決まります。それと似たような感じです」
「ほぉ……なるほど」
「では、これより始めたいと思います」
「え……」
俺は戸惑いを隠せずにいた。
「ちょっ……。俺は『Yes』も『No』も答えてませんが」
「そうですか……しかし、私たちも諦めるわけにはいかないのです」
「もし、俺が断ったらどうなるんだ?」
「はい……どの世界においても神々には逆らうことができないのが常識です。まあ、これを運命って言うんですが」
「はぁ……」
「すなわち、あなたはあそこで死にますね」
彼女は軽く答える。
ここまで話を聞くに彼女は神々であるのは間違いないだろう。
となると、断るとあそこで死ぬことになる可能性は考えていた。
しかし、口からはっきりと言われるとそれはそれでショックを受ける。
「そうか………俺に拒否権はないということか?」
「はい。もし、あなたが望んでくれるのなら私はあなたの言うことを全て叶えてあげましょう」
「ほ、本当にか?」
「はい。主人の言うことを聞く。それが我々の使命ですから」
「分かった。契約をする。そして、あいつを助けてやってくれ」
「それは……殺さずに正気に戻させろという意味ですか?」
「あぁ……そうだ」
「分かりました。殺さずの誓いを承りました。では、契約を行いましょう」
俺も前に一度だけ天使と契約したことがある。
天使や悪魔は契約者の魔力を少しだけ食し、生きる。
俺たちは魔法陣の上に立つ。そして、
『私、シリウスはナツ・ヴァーンとの契約を承認する』
『私、ナツ・ヴァーンはシリウスとの契約を承認する』
そう言った俺たちは最後に口づけをした。
すると、その瞬間魔法陣はパッと光を出した。
そして、次の瞬間、俺は元いたあの戦場に戻ってきていた。
「手も足も出ないのか?」
「ふぇっ!」
この世界ではさっきまでの時間はカウントされておらず、止まっていたらしい。
しかし、俺の中ではあの時の時間は確かにあった。
そのため、いきなりきた多くの矢の餌食と俺はなる。
反射神経がいいのか俺はその飛んでくる多くの矢を次々と弾きかえしていく。
「流石だね。でも、もう、終わりだよ。俺の『この技』は君でも避けることはできない」
『この技』と称しているのはこれまで俺を攻撃し続けた普通技ではないことはすぐに理解した。
そして、それとともに恐怖が芽生えてくる。
これまで相棒としてやってきてたった一度だけ先輩のあの技を見たことがある。
ロックオンされた人は勢いよく爆発され、地面は荒く削られていく。
先輩の技の名前は『【メテオアーツ】』
弓使いの先輩には適した最強技だ。
先輩は俺の予想通り周囲に響くように叫ぶ。
「【メテオアーツ】』
すると、弓矢の矢の先からはさっきは見られなかった赤い輝きが見られた。
それはまさしく烈火の炎。
俺の目を瞑らせ、そして、恐怖心を植え付けるには十分すぎる光景だった。
もう……ダメかと思った瞬間、俺の目の前には光り輝く魔法陣がいきなり現れた。
そこから現れたのが俺が先ほど契約したあの美少女神様だった。
「お待たせいたしました。少し手続きが混み合ってまして」
「あぁ……シリウス」
「な………召喚魔法だと」
「契約者、シリウスに向けて命令する。先輩、グレイ・オルコットを殺さずに捕らえろ」
「分かりました。命令を実行します」
メテオアーツみたいな必殺技は魔具を使うものなら必須だ。
そして、まず最初に頃合いを計って撃った方が勝つだろう。
しかし、それをひっくり返す存在。
それが召喚魔法だ。
メテオアーツは俺とシリウスに向かって勢いよく飛んでくる。
シリウスはそれを避けようとはしていない。
手をかざして一言、
「【アブソール】」
すると、俺に向かって飛んできた大きな炎の塊は消滅する。
その威力は神というだけはある。
そして、シリウスは先輩を制圧しにかかる。
それだけなら良かった。
自分には分からないような違和感が俺を襲う。
そして、シリウスは俺の方を向いて一言放つ。
その言葉を聞いて俺は絶句する。
「ナツ・ヴァーンさん。残念ながらこの世に神など存在しない」
「え………」
「私の名前はルシフェル」
「ルシフェルだと………」
俺はこれでも幾つもの講習を受けて資格を取った魔術師だ。
だからこそ、その名前を聞いて驚きを隠せない。
ルシフェル。
それは、神話に出てくる堕天使。
ルシフェルは天界から追放され、魔界へと堕ちる。
そして、終いには魔王、サタンとなる。
「お前が……どうして」
「この世界に来るためにはゲートを経由して来なければならない。その仲介役として君を選んだだけだよ」
ゲート。
それは召喚魔法を行うには必要不可欠のもの。
奴らを呼び出すにはそのゲートを経由しなければならないし、奴らもそのゲートがなければこの世界にはやってこられない。
「私は元は天使だ。だから、お礼を言っておくよ。『ありがとう』」
「え………」
そして、ルシフェルは先輩に向けて手をかざす。
そして一言、
「【アブソール】」
その言葉を発した瞬間、先輩の身体はルシフェルの手に吸い込まれ、消えていく。
俺にはそれを見ていることしかできない。
俺では魔族を倒すことができない。
そうやって最初から諦めてしまっていた。
そして、先輩の全てが闇へと消えると一言、ルシフェルが言った。
「この世界に招いてくれてありがとう。そして、さようなら。また、会える日を楽しみにしているよ」
ルシフェルの背中には黒く輝いている羽が見える。
そして、ルシフェルは空へと羽ばたいた。
一瞬のうちに全てが終わり、俺の中には罪悪感と絶望感だけが残ってしまっていた。
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