最強の魔術師と最悪の召喚魔

ノイ

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1章 学園1

10 決着

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俺たちは飛び回る。だが、リンも一切攻撃を仕掛けてこない。俺の一番身近にいたのはリンだ。俺の心情を読み取ることも多少は出来るようになったらしい。
俺が狙っていたのはおれの特性を活かしたものだ。しかし、俺の特性が使えないとなるとそれまた、考えなくてはならない。

俺たちは一瞬一瞬の駆け引きを大切にしている。それが生死に関わるということも俺たちはよく分かっている。周りからは爆発魔法のドッカーンという音が響いて聞こえてくる。

「兄さま。私たちもそろそろ始めましょうか」

「そうだな。逃げてばかりじゃ、時間オーバーになっちまうからな」

「そうです。私は兄さまに会い、戦うことを目標にしていたのですから」

「そうか……復讐ってわけか?」

「違います。私は力を認めて欲しかっただけで」

「ほぉ……俺にか?じゃあ、一発でも俺にいれてみろ。お前に出来るか?」

「もちろんです。この学園も私は担っているのですから」

「いい心意気だ。人の気持ちは強くなるからな」

このままでは俺やリンの言った通り時間オーバーで引き分けになってしまう。引き分けになった場合、この勝負がどう決するのか俺には分からないが、引き分けでも退学の可能性がある。そして、それを間逃れる絶対的方法はリンたちに勝つ、それだけだ。
俺はリンに向かって剣を構える。そして、その剣に集中し、魔力を注いでいく。魔法を施した剣と普通の剣では圧倒的に魔法を施した剣の方が有利だ。そのため、俺が見る限りでは剣に魔法を施さずに戦う人は見たことがない。

「リンの実力、見せてみろよ。俺のこの目に」

「分かりました。私はあなたを超えます」

「はっ、そうかよ。だが、それは少しばかり無理だな。俺が剣を構える。それはリンの負けを意味している」

「………っ、どういうことですか?」

「見ていろよ。俺の実力を。そして、見せてみろよ、リンの実力を」

俺の剣に付与した魔法はとてつもなく増えていっている。それだけなら普通のことだろう。ただ、俺の持っている魔力をこの会話中にも注ぎ込んでいる、それだけだ。しかし、リンは理解できないといった表情をしている。そりゃあ、そうだろう。この状況で俺がこんなに強気になる理由が見当たらないのだから。

俺はその魔力をたくさん注ぎ込んだ剣を片手にリンのところまで超スピードで飛んでいく。その光景に驚いたリン。俺はリンを叩き斬るように振りおろす。バランスを崩し、その剣がリンに当たると思った瞬間、ギリギリのところでリンは俺の剣を避けた。

「よ、避けた……これで、勝ちだ」

「ほぉ……避けたのはすごい。だけど、ダメだね。俺が教えたことが何もできてない」

「え………」

「自動魔法陣 第二の陣 【フローラル】」


俺がそう唱えるとリンの足元に一つの魔法陣が現れた。俺が使った【フローラル】は簡単に言えば転移魔法だ。そこまで遠くには飛ばすことのできない術。しかし、今この状況で一番有利に働いてくれる。

「リン。まだまだだよ。隙が甘い」

リンは転移された。その場所。それは、俺たちの真下の地面だった。転移魔法によって下に落とされたリン。それだけだったら別に大したことではないのだろう。

「………最初からここを予想していたってこと?」

そう言いながらリンは地面に落ちていく。そして、地面に足をついたとき、新たなる魔法陣が発動する。その名も【ファルクス】。炎系の魔法で一瞬のうちに体を焼き尽くす。

ボォワっていう音とともにリンは炎に包まれる。そして、システム音が流れる。

『リン・ヴァーン、戦闘不能により離脱しました』

この仮想空間で致命傷を受けることはない。致命傷級の技を食らうと自動的に強制離脱させられる。まぁ、だから俺はこの技を使ったんだけど。

一通り終わり、俺はレーナの方を見る。レーナがまだ、爆発魔法を使っていられること自体に驚いていた。すると、またシステム音がこの仮想空間に響いて聞こえてくる。

『30分、経過しました。これより強制離脱を開始します』

俺たちの目の前は光り、意識を失った。そして、気付いた時にはあの何もない真っ白部屋に戻ってきていた。

「お疲れ。ナツくんの戦いぶりは凄かったね」

「いや……ありがとうございます」

「うんうん。それとレーナさんの魔力の多さには驚いたよ」

「そ、そうですか?」
「うん。あの量はなかなかね。まぁ、コントロールは……ね」

「う………すいません」

「いや、いいんだよ。まだ、一年だからね」

「それよりも………」

ローザさんはそう言いながらリズさんの方を見る。リズさんは「す、すいません」と謝る。初心者を落とすことすら出来ないというのは少し問題なんだろう。

「まぁ、いいや。リズだって使い魔を召喚すれば……今の直哉くんと互角ぐらいには戦えるし」

「そうなんですか?」

「うん、まぁ、夏の大会を楽しみにしていてね」

「そう……ですね。分かりました」

「じゃあ、学園長室に戻ろっか。いろいろ渡したいし」

そう言いながら俺たちは実技室から出て、学園長室に向かった。そして、これから学園生活が始まろうとしていた。
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