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1章 学園1
11 出発
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俺たちは実技室から出ると学園長室へ戻ってきた。その間にもこのヴァレッヂ学園の凄さに俺自身、感じていた。今はもうお昼時ということもあり、校内はとても多くの人で賑わっていた。そして、それよりも驚いたのはこの学園の構造についてだ。
この構造は昔から最先端を走っていたことは知っていた。敷地面積は世界トップというのは当たり前の情報だが、それよりもこの学園自体が一つの街のように造られている。
実技室がある第二教育棟と教室のほとんどが設置されている第一教育棟まではそこまで遠くないため詳しくはわからないが、その間にはショッピングモールなどの店が立ち並んでいた。
「君たち二人をヴァレッヂ学園の生徒として認めます」
「はい」
俺たちが学園長室に入るとまず最初にそう言われた。俺たち二人の後ろには悔しそうにしているリズさんと何を考えているのか表情が見えないリンが立っている。
もう全員が学園長室に入り終わり、ドアを閉めるとコンコンコンというノック音が聞こえてくる。
俺たちは 一斉に振り向く。
「入っていいぞ」
「はい、失礼いたします」
入ってきたのは黒髪黒目のとても物静かそうな女性だった。ローザさんは誰かを確認すると俺たちに紹介するように話し始める。
「彼女は私の秘書をしてもらっている。そして、リンの上司ということになるかな」
「はい」
ローザさんはそう言いながらリンを見ると、物静かに答える。
「……ということは、国家に承認された魔術師というわけですか?」
「あぁ……そうだ」
「でも、どうして……普通の学園長の秘書にそんな人がいるんですか?」
「あれ?言ってなかったっけ?」
「なにをですか?」
「私は今年度からその魔術師たちの管理監督をしているんだ」
「管理監督……ですか?」
「あぁ……そして、彼女がスー・ニーデルだ」
「よろしくお願いします」
「………で、スー。なんか用があったんじゃなかったのか?」
それを聞いたスーさんは「あっ!」と思い出したようにローザさんに話を始める。
「そうでした。黒の魔法の気配が充満しているという報告がありましたので」
「黒の魔法……だと」
魔法には火、水、土、雷、風の5種類が存在する。だが、実際はもう一つ存在する。それは、闇魔法。スーさんが言っている黒の魔法のことだ。
この魔法は他の種属とは違い、単体では存在しない。合成魔法のようなものだ。他の魔法が暴走することにより5つの種属が汚染され、闇魔法となる。そうなってしまっては自分ではコントロールをすることが出来ない。
「そうか……場所はどこだ?」
「ヴァレッヂ学園から東に位置する、ヴァンという街です」
「ヴァンか……あそこはドレーク家がいるはずだが」
「はい……そうなのですが、当主たちは留守にしてまして」
「はぁ……もう少し真面目に仕事をして欲しいものだな。だが、あの家には優秀な子がいるじゃないか」
「そうなのですが……学園長も知っているあの事件がきっかけで引きこもっているんです」
「そうか………わかった」
そう言いながら俺の方を見る俺には嫌な予感しかしない。
「ナツくんとリン、リズとレーナは現場に行け。以上だ」
「「「「えっ!」」」」
その4人は驚きを隠せなかった。
「でも……学園長。本当にいいのでしょうか?」
「何が言いたい?」
「学生を急行させるには依頼などが必要なのではと思いまして」
「そうか……じゃあ、私からの依頼だ。それなら問題ないでしょ?」
「そうですが……」
反論しようとしたが、リズさんは反論する言葉を失っていた。
「じゃあ、明日朝イチに第一教育棟の前に集合してください。私が案内いたします」
「お願いします」
俺たちはスーさんの指示によりこの依頼を受けることになった。
###
「ふぁーーー」
俺は欠伸をしながらベッド内で背伸びをする。俺は昨日から寮に住むことになっており、昨日が初めてだったので部屋中にはダンボールが多く置かれている。
俺が起きたのは昨日セットしておいた目覚まし時計がプルルルルルと鳴ったからだ。俺はベッドの枕横に置いてある目覚まし時計を見ずに音声を止める。
そして、俺は約束の時間ということもあり、急いでベッドからおり、着替える。それもまた、しっかりと入れていないためダンボールの中から適当に取り出す。
「はぁ……何食うかな」
俺の腹はご飯を求めているかのようにグルルルと鳴った。俺はいつもと変わらずにパンを焼いて食べる。そして、俺は時計を見る。すると、もう時間のようだ。
「よしっ、行くか」
俺の住むことになった寮から第一教育棟までは歩いて10分くらいかかる。時間を余裕に取っておいたため、まだ集合の時間に遅れることはないのだが、急いで部屋を出る。
「こんにちわ」
「はい、こんにちわ」
普通、今日は入学式だ。俺たち以外は入学式に出席する。しかし、入学式はこんな早くからは始まらない。だからかもしれない。俺が部屋から出て外に出るまでこの寮の管理人一人しか会わなかった。
俺はしっかり挨拶すると走って集合場所に向かう。ここは、ヴァレッヂ学園というだけあって未成年が多い。しかし、この街が成り立つためには当然大人もいるわけで……。こんな朝早いというのにもう大人たちでその道は賑わっていた。
「遅いじゃないですか。5分前行動、それが社会のルールです」
「ご、ごめんなさい」
その集合場所にはもうすでに俺以外の4人が来ていた。そして、当然だが、一番最初に文句を俺に言ってきたのはリズさんだった。あの時、負けたのがそんなに悔しかったのか、俺にいちいち文句を言ってくる。
はぁ……魔法って嫌いなんだけどな。俺はそう思いながら目的地に向けて出発した。
この構造は昔から最先端を走っていたことは知っていた。敷地面積は世界トップというのは当たり前の情報だが、それよりもこの学園自体が一つの街のように造られている。
実技室がある第二教育棟と教室のほとんどが設置されている第一教育棟まではそこまで遠くないため詳しくはわからないが、その間にはショッピングモールなどの店が立ち並んでいた。
「君たち二人をヴァレッヂ学園の生徒として認めます」
「はい」
俺たちが学園長室に入るとまず最初にそう言われた。俺たち二人の後ろには悔しそうにしているリズさんと何を考えているのか表情が見えないリンが立っている。
もう全員が学園長室に入り終わり、ドアを閉めるとコンコンコンというノック音が聞こえてくる。
俺たちは 一斉に振り向く。
「入っていいぞ」
「はい、失礼いたします」
入ってきたのは黒髪黒目のとても物静かそうな女性だった。ローザさんは誰かを確認すると俺たちに紹介するように話し始める。
「彼女は私の秘書をしてもらっている。そして、リンの上司ということになるかな」
「はい」
ローザさんはそう言いながらリンを見ると、物静かに答える。
「……ということは、国家に承認された魔術師というわけですか?」
「あぁ……そうだ」
「でも、どうして……普通の学園長の秘書にそんな人がいるんですか?」
「あれ?言ってなかったっけ?」
「なにをですか?」
「私は今年度からその魔術師たちの管理監督をしているんだ」
「管理監督……ですか?」
「あぁ……そして、彼女がスー・ニーデルだ」
「よろしくお願いします」
「………で、スー。なんか用があったんじゃなかったのか?」
それを聞いたスーさんは「あっ!」と思い出したようにローザさんに話を始める。
「そうでした。黒の魔法の気配が充満しているという報告がありましたので」
「黒の魔法……だと」
魔法には火、水、土、雷、風の5種類が存在する。だが、実際はもう一つ存在する。それは、闇魔法。スーさんが言っている黒の魔法のことだ。
この魔法は他の種属とは違い、単体では存在しない。合成魔法のようなものだ。他の魔法が暴走することにより5つの種属が汚染され、闇魔法となる。そうなってしまっては自分ではコントロールをすることが出来ない。
「そうか……場所はどこだ?」
「ヴァレッヂ学園から東に位置する、ヴァンという街です」
「ヴァンか……あそこはドレーク家がいるはずだが」
「はい……そうなのですが、当主たちは留守にしてまして」
「はぁ……もう少し真面目に仕事をして欲しいものだな。だが、あの家には優秀な子がいるじゃないか」
「そうなのですが……学園長も知っているあの事件がきっかけで引きこもっているんです」
「そうか………わかった」
そう言いながら俺の方を見る俺には嫌な予感しかしない。
「ナツくんとリン、リズとレーナは現場に行け。以上だ」
「「「「えっ!」」」」
その4人は驚きを隠せなかった。
「でも……学園長。本当にいいのでしょうか?」
「何が言いたい?」
「学生を急行させるには依頼などが必要なのではと思いまして」
「そうか……じゃあ、私からの依頼だ。それなら問題ないでしょ?」
「そうですが……」
反論しようとしたが、リズさんは反論する言葉を失っていた。
「じゃあ、明日朝イチに第一教育棟の前に集合してください。私が案内いたします」
「お願いします」
俺たちはスーさんの指示によりこの依頼を受けることになった。
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「ふぁーーー」
俺は欠伸をしながらベッド内で背伸びをする。俺は昨日から寮に住むことになっており、昨日が初めてだったので部屋中にはダンボールが多く置かれている。
俺が起きたのは昨日セットしておいた目覚まし時計がプルルルルルと鳴ったからだ。俺はベッドの枕横に置いてある目覚まし時計を見ずに音声を止める。
そして、俺は約束の時間ということもあり、急いでベッドからおり、着替える。それもまた、しっかりと入れていないためダンボールの中から適当に取り出す。
「はぁ……何食うかな」
俺の腹はご飯を求めているかのようにグルルルと鳴った。俺はいつもと変わらずにパンを焼いて食べる。そして、俺は時計を見る。すると、もう時間のようだ。
「よしっ、行くか」
俺の住むことになった寮から第一教育棟までは歩いて10分くらいかかる。時間を余裕に取っておいたため、まだ集合の時間に遅れることはないのだが、急いで部屋を出る。
「こんにちわ」
「はい、こんにちわ」
普通、今日は入学式だ。俺たち以外は入学式に出席する。しかし、入学式はこんな早くからは始まらない。だからかもしれない。俺が部屋から出て外に出るまでこの寮の管理人一人しか会わなかった。
俺はしっかり挨拶すると走って集合場所に向かう。ここは、ヴァレッヂ学園というだけあって未成年が多い。しかし、この街が成り立つためには当然大人もいるわけで……。こんな朝早いというのにもう大人たちでその道は賑わっていた。
「遅いじゃないですか。5分前行動、それが社会のルールです」
「ご、ごめんなさい」
その集合場所にはもうすでに俺以外の4人が来ていた。そして、当然だが、一番最初に文句を俺に言ってきたのはリズさんだった。あの時、負けたのがそんなに悔しかったのか、俺にいちいち文句を言ってくる。
はぁ……魔法って嫌いなんだけどな。俺はそう思いながら目的地に向けて出発した。
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