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1章 学園1
12 失敗
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「ま、まじかよ………」
俺の言葉は目の前の状況を鮮明に映し出していた。俺たちは学校から出て黒の魔法が出没したという場所に車に乗って来ていた。ヴァンという街は森の中にあり、行くためには森を通らなければならない。この森の木々は普通は枯れることがない。だが、俺たちの見ているその木々は黒により汚染され、どう見ても枯れている。そこから今回の黒の魔法の強さが伺える。
「これは、ひどいものですね。早く見つけないと…」
「そうですね。これならまだ、完全には飲み込まれていないはずです」
「でも、どうやって見つけましょうか?」
「魔法を追跡すればいいのでは?」
レーナが素直に俺たちにそう聞く。だが、俺たち全員、曇ったような表情をする。この黒の魔法は普通の魔法とは違う。事件を起こした本人だけではなく、下手をしたら関わってしまった人まで汚染されかねない。だからこそ、余計に問題視されているのだ。
「それは……無理だな。今の魔術師の中であの黒の魔法に対抗できる力はいないんだよ」
「……そうなんですか」
「じゃあ、どうすればいいのでしょうか?」
「そうだね、一応この辺りを見回ってみようか」
「「「はい」」」
俺たちはこの森周辺を見回ることにした。黒の魔法に触れると俺たちも汚染されかねない。なので、俺たちは枯れているところを避けて俺たちはこの森の奥にあるヴァンに向かった。
「本当にひどいな……これ」
「そうですね。早くなんとかしないと……」
「俺たちはあっちから行く。リンたちはどうする?」
「そうですね。同じところからだと無駄足になりかねないですからね……。私たちは別方面から行ってみます」
「分かった。もし、遭遇しても手は出すなよ」
「分かっています。自分の命を最優先にします」
「分かっていればいい。じゃあ、レーナ、行くぞ」
「は、はい」
俺たちはこの森の東側に行くことにした。ヴァンという街には代々続く魔術師の家系がある。それがドレーク家なのだが、その家の魔法によりヴァンという街は隠されている。この森に一つしかない入り口を見つけなければ入ることが出来ない。
「どうやって探すかな」
「え……すぐ見つかるものじゃないんですか?」
「あぁ……少し力は弱まりつつあるドレーク家だが、それでも名家だ。滅多なことでは見つからない」
「じゃ、じゃあ、どうするんです?」
「そうだな……俺のサーチ機能でも難しいかもな」
俺がレーナと話しているとカサカサと近くにあった木々や草がいきなり揺れ始める。俺たちはビクッとした後にその方向に目をやる。息を飲みながらそれを見ていると中からは驚くべきものが出てきた。
「くぅーーーー」
「な、なんだこの生き物は」
「少し……可愛いかも」
俺の目の前に現れたのは白く、耳のついた見たこともない生き物だった。その生き物は微量ながら魔力を持っていることに俺は気がついた。
そんな生き物を見ているとその生き物はいきなり俺たちを襲い出した。それまた速いスピードで。俺に突進してきたのだ。
「あぶなっ!」
「ナツさん、大丈夫ですか?」
「あぁ……ギリギリ避けた」
俺は飛んできたその生き物をギリギリのタイミングで避けることに成功した。
「これは……襲うってことは、魔族か?」
「そ、そうなりますかね?」
「でも、ここには結界が張ってあるはずなんだよ」
「どんな結界ですか?」
「前にも話した通りヴァンという街にはドレークという家があるんだ。その当主が直々に張った魔族避けだったと思う」
「そうなんですか?じゃあ、なんでここに魔族がいるのでしょうか?」
「それは……分からないけど、こいつを倒さないと前には進めなそうだしな」
「そうですね」
魔族というのは魔法を扱う生物のことを指す。厳密にいえば魔術師とかもその魔族に値するのだが、この国では人間以外の魔法を扱える生物というように仮定されている。
そして、この森にいるはずもない生物がいる。それ自体おかしなことなのだが、ドレーク家も力が落ちてきていると聞く。その影響と俺は思い込んでいた。
「【炎の初級魔法 ファイヤー・ボール】」
俺はまず手始めにその生き物にめがけて炎の塊を投げつけた。だが、さっきのスピードを見てもわかる通り、その炎の塊がその生物に当たることはなかった。
「どうすっかな……」
「わ、私も参戦しましょうか?」
「いや……レーナの攻撃は派手すぎる。この森は俺たちにどうこうできる問題じゃないからな」
「じゃあ、どうするんでしょうか?」
「まぁ、少しだけ俺も本気を出してみるよ」
俺はレーナにそう言うと一言詠唱を唱える。
「【コントラクト】」
俺の手は光り輝き、一本の剣が現れる。その剣の名前は『アシュケロン』といい、俺の契約している武器である。
「ナツさんは………【コントラクト】を使えるのですか?」
「まぁ……な、このことは内緒にしておいてくれ」
【コントラクト】というのは召喚魔法の一種である。俺は召喚魔を召喚するゲートを開く権限は失った。しかし、もともと契約しておいたものを呼び出すことは今も問題なく使うことができる。
「くぅーーーー」
またしても俺に飛び込んでくる奇妙な生き物。しかし、その動きは速いといっても単純で一回見てしまうと次の行動が俺には分かった。レーナには分からなかったようだが。
俺はその飛んでくるタイミングに合わせて俺は剣を振るう。
「おいしょっ!」
「くぅーーーーー」
その白い生き物は真半分になる。そして、灰のように消えていく。その瞬間、世界が歪んだような気がした。
「ここはどこでしょう?」
レーナの言葉に俺の顔が青くなっていくことに自分自身分かった。やってはいけないことをやってしまったということにも気がついていた。レーナは俺の青くなった顔に気がついたようだ。
「どうしたんですか?」
俺は震えた声をしながら
「……あの生物が、この街を隠していた結界だったみたい」
俺の言葉は目の前の状況を鮮明に映し出していた。俺たちは学校から出て黒の魔法が出没したという場所に車に乗って来ていた。ヴァンという街は森の中にあり、行くためには森を通らなければならない。この森の木々は普通は枯れることがない。だが、俺たちの見ているその木々は黒により汚染され、どう見ても枯れている。そこから今回の黒の魔法の強さが伺える。
「これは、ひどいものですね。早く見つけないと…」
「そうですね。これならまだ、完全には飲み込まれていないはずです」
「でも、どうやって見つけましょうか?」
「魔法を追跡すればいいのでは?」
レーナが素直に俺たちにそう聞く。だが、俺たち全員、曇ったような表情をする。この黒の魔法は普通の魔法とは違う。事件を起こした本人だけではなく、下手をしたら関わってしまった人まで汚染されかねない。だからこそ、余計に問題視されているのだ。
「それは……無理だな。今の魔術師の中であの黒の魔法に対抗できる力はいないんだよ」
「……そうなんですか」
「じゃあ、どうすればいいのでしょうか?」
「そうだね、一応この辺りを見回ってみようか」
「「「はい」」」
俺たちはこの森周辺を見回ることにした。黒の魔法に触れると俺たちも汚染されかねない。なので、俺たちは枯れているところを避けて俺たちはこの森の奥にあるヴァンに向かった。
「本当にひどいな……これ」
「そうですね。早くなんとかしないと……」
「俺たちはあっちから行く。リンたちはどうする?」
「そうですね。同じところからだと無駄足になりかねないですからね……。私たちは別方面から行ってみます」
「分かった。もし、遭遇しても手は出すなよ」
「分かっています。自分の命を最優先にします」
「分かっていればいい。じゃあ、レーナ、行くぞ」
「は、はい」
俺たちはこの森の東側に行くことにした。ヴァンという街には代々続く魔術師の家系がある。それがドレーク家なのだが、その家の魔法によりヴァンという街は隠されている。この森に一つしかない入り口を見つけなければ入ることが出来ない。
「どうやって探すかな」
「え……すぐ見つかるものじゃないんですか?」
「あぁ……少し力は弱まりつつあるドレーク家だが、それでも名家だ。滅多なことでは見つからない」
「じゃ、じゃあ、どうするんです?」
「そうだな……俺のサーチ機能でも難しいかもな」
俺がレーナと話しているとカサカサと近くにあった木々や草がいきなり揺れ始める。俺たちはビクッとした後にその方向に目をやる。息を飲みながらそれを見ていると中からは驚くべきものが出てきた。
「くぅーーーー」
「な、なんだこの生き物は」
「少し……可愛いかも」
俺の目の前に現れたのは白く、耳のついた見たこともない生き物だった。その生き物は微量ながら魔力を持っていることに俺は気がついた。
そんな生き物を見ているとその生き物はいきなり俺たちを襲い出した。それまた速いスピードで。俺に突進してきたのだ。
「あぶなっ!」
「ナツさん、大丈夫ですか?」
「あぁ……ギリギリ避けた」
俺は飛んできたその生き物をギリギリのタイミングで避けることに成功した。
「これは……襲うってことは、魔族か?」
「そ、そうなりますかね?」
「でも、ここには結界が張ってあるはずなんだよ」
「どんな結界ですか?」
「前にも話した通りヴァンという街にはドレークという家があるんだ。その当主が直々に張った魔族避けだったと思う」
「そうなんですか?じゃあ、なんでここに魔族がいるのでしょうか?」
「それは……分からないけど、こいつを倒さないと前には進めなそうだしな」
「そうですね」
魔族というのは魔法を扱う生物のことを指す。厳密にいえば魔術師とかもその魔族に値するのだが、この国では人間以外の魔法を扱える生物というように仮定されている。
そして、この森にいるはずもない生物がいる。それ自体おかしなことなのだが、ドレーク家も力が落ちてきていると聞く。その影響と俺は思い込んでいた。
「【炎の初級魔法 ファイヤー・ボール】」
俺はまず手始めにその生き物にめがけて炎の塊を投げつけた。だが、さっきのスピードを見てもわかる通り、その炎の塊がその生物に当たることはなかった。
「どうすっかな……」
「わ、私も参戦しましょうか?」
「いや……レーナの攻撃は派手すぎる。この森は俺たちにどうこうできる問題じゃないからな」
「じゃあ、どうするんでしょうか?」
「まぁ、少しだけ俺も本気を出してみるよ」
俺はレーナにそう言うと一言詠唱を唱える。
「【コントラクト】」
俺の手は光り輝き、一本の剣が現れる。その剣の名前は『アシュケロン』といい、俺の契約している武器である。
「ナツさんは………【コントラクト】を使えるのですか?」
「まぁ……な、このことは内緒にしておいてくれ」
【コントラクト】というのは召喚魔法の一種である。俺は召喚魔を召喚するゲートを開く権限は失った。しかし、もともと契約しておいたものを呼び出すことは今も問題なく使うことができる。
「くぅーーーー」
またしても俺に飛び込んでくる奇妙な生き物。しかし、その動きは速いといっても単純で一回見てしまうと次の行動が俺には分かった。レーナには分からなかったようだが。
俺はその飛んでくるタイミングに合わせて俺は剣を振るう。
「おいしょっ!」
「くぅーーーーー」
その白い生き物は真半分になる。そして、灰のように消えていく。その瞬間、世界が歪んだような気がした。
「ここはどこでしょう?」
レーナの言葉に俺の顔が青くなっていくことに自分自身分かった。やってはいけないことをやってしまったということにも気がついていた。レーナは俺の青くなった顔に気がついたようだ。
「どうしたんですか?」
俺は震えた声をしながら
「……あの生物が、この街を隠していた結界だったみたい」
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