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第1章:東の魔の森編
第33話:精鋭討伐隊長
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急く気持ちを抑えながらマロッカの後を追うと、ミヤの気が突然強く感じられ、開けた場所に飛び出した。目の前に飛び込んできたのは、光を纏ったミヤの姿。
これは、ミヤか?
ミヤと同じ気を纏う何か別のものなのではないか。全身に虹色の光を纏い、大きなアーモンド型の瞳を開きぽかんとしている。頬にかかった黒髪が振り向きざまの動きに沿って横に流れるとその延長線上に光が戯れる。あまりにも幻想的な風景に息をすることも忘れた。
ミヤは背の高い女性に腕をまわされて囲われ、隣にはその女性より頭一つ分背の高い有無を言わせない威厳を持つ男がこちらを睨みつけている。
僕は一気に状況を理解した。精霊王と愛し子。
ミヤが連れ去られてしまう。
考えるよりも先に、僕は女性に殺気を放ち十字殺空波で攻撃したが強力な防御結界で弾かれてしまった。風魔法を得意とする僕の攻撃魔法が全く通用しない力の差。男が一歩動くと、空気が凍った。僕が一歩でも動けば命はない、それくらいの殺気が充満した。仲間は声すら出せず、一歩も動けない。脂汗が背中を伝った。
「ミヤを離せ!」
「俺を精霊王と知っての狼藉か」
僕が絞り出すように唸ると、思った通りの言葉が返ってきた。
ひゅっと息を飲む。
冷ややかな空気が喉を容赦なく刺し、首が絞められた。それでも目を晒すわけにはいかない。全身全霊で精霊王を睨みつける。
「たとえ精霊王でも…!」
ミヤを返せ。連れて行くな。
だが次の一瞬で一気に周りの空気が緩み、力が抜けた。
「クルトさん!私の祖父母です!」
後ろで金縛りにあっていた仲間も膝を折って、大きく息を吸い込んだ。そこで、ミヤが精霊王と人間の女性の孫だということを知って、攫われるのではないかという僕の危惧はお門違いなのだということを悟った。見た目が祖父母とは呼べないが、なるほど精霊は年の取り方が違うのだと初めて気がついた。ミヤは冗談が好きな祖父だと言っていたが、冗談であの殺気を飛ばすわけがない。
敵じゃなくて本当によかった。
文献など当てにはできない。話を聞けば、思い込んでいた精霊の愛し子と現実はかけ離れていたからだ。後でしっかり書き直しを入れよう。それから今のミヤの状態が精霊体なのだということがわかり納得した。焦って、まさか既に精霊になってしまったのかと思ったが、本体は向こう側で眠っているのだとか。
幽体離脱が愛し子の特技だとは思いもしなかった。
胸をなでおろすと、ミヤが本当にとんでもないことを言い始めた。やはり、愛し子はミヤのことで、東の魔の森はミヤが作ったのだと。
子供の頃、祖母とここに来て歌を唄ったら森ができたというのだから、一概には信じられなかった。精霊の愛し子の力はそれほどなのだろうか。ミヤはそれをひどく重々しく受け止めていた。自分が瘴気の森を創って人を殺めたのではないかと。
もともとミラート神国は、薬草が豊富で野生動物と精霊がたくさん住んでいたと聞いた。ある代の聖女が薬草を邪なものと捉え排除するまでは。魔を作り出し、瘴気を作り出したのは僕たちだ。ミラート神と精霊王の約束を反故にして作り出した罪だ。
この森は美しい。
隊員たちもここまで駆け抜けてきて、それに気がついているはずだ。僕たちは自然と精霊と共に生きていくべきなのだ、世界を変えるべき時が来たのだと。
「愛し子っていうのは聖女だったんですね」
そういったのはアッシュだった。
こいつはどうしてもミヤを聖女に祭りたいらしい。それにつられるように他の隊員たちも口々に同意した。そこで僕は気がついた。皆に必要だと頼られれば、ミヤはここにいてくれるのではないかと。
卑怯かもしれない。でも。
「こうなったらフルタイムで食堂の調理人になって欲しいところなんだが」
気がついたら巧みに本心を隠しながら、そんな言葉が口を滑った。
ーーフルタイムで僕のそばにいて欲しい。
抑えきれない独占欲を「善処します」という言葉であしらわれてしまった。確固とした返事がほしいところだが、あちら側の生活のこともあると考えるとこれ以上押せないか。今日ばかりは隊員たちに激励と感謝の言葉を浴びせたいくらいだ。
ちらりと精霊王とその奥方を見ると、彼らには伝わったようだった。奥方の方は頬に手を当てて上気しているし、精霊王は複雑な顔をしているが文句を言うようでもなかったから、ほっと心中で息を吐いた。
肝心のミヤにはさっぱり通じていなかったが。
*****
ハルクルト隊長は、非常にわかりやすい性格をしている。残念なことにヘタレでもある。正義感と責任感が強く、常に隊員のことを気にかけていて自分自身の事にあまり顧みない。
俺の名はアッシュ・バートン。
ハルクルトが退任して以来俺が隊長を務めているが、俺を含むイーストウッド精鋭討伐隊員15人は、彼がいるからこそこの部隊を続けているようなものだ。俺たちの中で隊長はハルクルト・ガルシア・ルフリストただ一人。彼が命令すれば俺たちはどこへでも行く。そのくらい俺たちはハルクルトを崇拝している。
3年前の東の魔の森の討伐の負傷から隊を退いたものの、俺たちに対するフォローは変わらず、それまで以上に補助をしようと努めてくれた。元婚約者だったマリゴールドは、隊長ではなくなったハルクルトに興味をなくした、富と身分を欲するだけの女だった。こんな女に隊長を任せなくてよかったと清々したものの、俺が隊長になると国王はマリゴールドを俺に押し付けた。
討伐隊員には昼も夜もない。何かあれば駆り立てられるのは俺たちだ。何日も帰らない時だってある。まともな結婚生活なんか送れるわけがないじゃないか。
だが気がつけば、俺たちは結婚をしていて、半年を経たずして彼女は身ごもっていた。
もちろん俺は父親じゃない。何て股の軽い女だ。本当に王族の娘か。いや、考えればこれが王族か、と言うところだ。国王も王子も、見境がなかったと思い出した。
「誰も気がつかないわよ。あんたさえ何も言わなければ。あんた、女に興味ないんでしょ。わかってるわよ。その上で結婚してやったんだし、あんたの子供として育てれば体裁も保てるでしょ」
と来た。挙句、
「ハルクルトが隊長に戻った時は、声をかけてね。もう一回よりを戻してもいいわ。あの人はマメだったし見た目もいいから。あなたは私にフラれて男に走ったとか言えば、大丈夫なんじゃない?」
だと。
俺は女に興味がないわけじゃない。お前に興味がないんだ。お前のその腹の子は、好きな相手との子じゃないというわけか。こんな人間的にも腐っている女だが、ハルクルト隊長は婚約が解約になった時、マリには可哀想なことをしたと落ち込んでいた。
聖人かと思った。
見る目がないのか、義務なのか。そんなに悔やんでいるんなら熨斗《のし》をつけて返してやる。仕事は出来る人だったし、人格も良かっただけによくわからない。
最初はマリゴールドの婚約について俺が代理になったこと、そして毒によって片目を失い、生活魔法さえ満足に使えなくなったことに対して気が引けて、俺は隊長に顔をあわせることができなかった。
ヘタレは俺の方だ。
あの人がどんどん弱って死んでいく姿を見たくなかったのだ。他の隊員から彼が緑の砦に移り住んで薬草の研究をしていると聞いた。少しは毒を抑えられているらしく、3年経ってもまだ活力的に生きていると聞いた時は耳を疑ったものだ。
だがそれを目の当たりにした時、驚いた。
今までに見たこともないほど、生き生きとしている。あの笑顔はなんだ。失明したはずの瞳に魔力が戻り、以前よりも緑色が強くなっていた。魔力が増えたのか?
あの少女のおかげか。
小柄で貧弱なくせに、生命力が半端ないあの異世界の女。出会い頭で強烈な浄化洗礼を浴びたのはつい最近だ。精霊を味方につけ薬草を使いこなす、聖女。もとい、愛し子と言うやつだったか。どこからともなく緑の砦に現れてハルクルトの隣に寄り添っている…いや、逆か。ハルクルトがぴったりと彼女に寄り添っている。まるで忠犬だ。
ハルクルトが色めき立っていると隊員が沸き立った。聖人が聖女に恋をした。
彼女が現れてからのハルクルトは、全く違う人格になっていた。常に糸を張りつめたような緊張感と、ワイバーンですら睨み殺せるほどの眼光が消えた。そわそわと足が地についていないのか、と疑うほど浮かれだっているかと思えば、どんより落ち込んでため息をつきまくるあの人を見ると、恋とは恐ろしいとさえ思えた。
だが、今回の東の魔の森から押し寄せた魔物の大群を一気に蹴散らしたあの力は、以前にもまして壮絶だった。魔法の二重、三重掛けの上、自身を浮上させてワイバーンに空中攻撃をしかけた。それも3匹同時にだ。合成魔法を何度も使い、丸一日戦い抜いても平気な顔で、段違いの能力を見せつけた。
あの人の魔力量はどうなっているんだ。
それに輪をかけて、あの異世界人の少女。森を創ったり消したりなんて尋常じゃ考えられない。東の魔の森の魔物の惨状は外から見てても凄まじかった。討伐ではなく、消滅。滅却。俺たちが狩った森から逃げ出してきた魔物の数なんか、比じゃなかったはずだ。
あれは聖女なのか、精霊の愛し子なのか、両方なのか。
ハルクルトが夢中になるのも仕方がないのかもしれない。強い意志を持った底のない、吸い込まれそうな黒い瞳に内に秘めた力がにじみ出て、人を引き寄せる力のある少女。擁護ではなく援護したいと思わせる不思議な存在力。
ハルクルトだけでなく、あの気の荒い隊員たちがあっという間に懐柔された。
かくいう俺も例外なく。
これから起こるであろう革命に、彼女は有無を言わさず巻き込まれるだろう。許されるならば、その時は俺も彼女を守り、共にありたいと思う。
==========
もしかして出てくる男、ヘタレばっか?
これは、ミヤか?
ミヤと同じ気を纏う何か別のものなのではないか。全身に虹色の光を纏い、大きなアーモンド型の瞳を開きぽかんとしている。頬にかかった黒髪が振り向きざまの動きに沿って横に流れるとその延長線上に光が戯れる。あまりにも幻想的な風景に息をすることも忘れた。
ミヤは背の高い女性に腕をまわされて囲われ、隣にはその女性より頭一つ分背の高い有無を言わせない威厳を持つ男がこちらを睨みつけている。
僕は一気に状況を理解した。精霊王と愛し子。
ミヤが連れ去られてしまう。
考えるよりも先に、僕は女性に殺気を放ち十字殺空波で攻撃したが強力な防御結界で弾かれてしまった。風魔法を得意とする僕の攻撃魔法が全く通用しない力の差。男が一歩動くと、空気が凍った。僕が一歩でも動けば命はない、それくらいの殺気が充満した。仲間は声すら出せず、一歩も動けない。脂汗が背中を伝った。
「ミヤを離せ!」
「俺を精霊王と知っての狼藉か」
僕が絞り出すように唸ると、思った通りの言葉が返ってきた。
ひゅっと息を飲む。
冷ややかな空気が喉を容赦なく刺し、首が絞められた。それでも目を晒すわけにはいかない。全身全霊で精霊王を睨みつける。
「たとえ精霊王でも…!」
ミヤを返せ。連れて行くな。
だが次の一瞬で一気に周りの空気が緩み、力が抜けた。
「クルトさん!私の祖父母です!」
後ろで金縛りにあっていた仲間も膝を折って、大きく息を吸い込んだ。そこで、ミヤが精霊王と人間の女性の孫だということを知って、攫われるのではないかという僕の危惧はお門違いなのだということを悟った。見た目が祖父母とは呼べないが、なるほど精霊は年の取り方が違うのだと初めて気がついた。ミヤは冗談が好きな祖父だと言っていたが、冗談であの殺気を飛ばすわけがない。
敵じゃなくて本当によかった。
文献など当てにはできない。話を聞けば、思い込んでいた精霊の愛し子と現実はかけ離れていたからだ。後でしっかり書き直しを入れよう。それから今のミヤの状態が精霊体なのだということがわかり納得した。焦って、まさか既に精霊になってしまったのかと思ったが、本体は向こう側で眠っているのだとか。
幽体離脱が愛し子の特技だとは思いもしなかった。
胸をなでおろすと、ミヤが本当にとんでもないことを言い始めた。やはり、愛し子はミヤのことで、東の魔の森はミヤが作ったのだと。
子供の頃、祖母とここに来て歌を唄ったら森ができたというのだから、一概には信じられなかった。精霊の愛し子の力はそれほどなのだろうか。ミヤはそれをひどく重々しく受け止めていた。自分が瘴気の森を創って人を殺めたのではないかと。
もともとミラート神国は、薬草が豊富で野生動物と精霊がたくさん住んでいたと聞いた。ある代の聖女が薬草を邪なものと捉え排除するまでは。魔を作り出し、瘴気を作り出したのは僕たちだ。ミラート神と精霊王の約束を反故にして作り出した罪だ。
この森は美しい。
隊員たちもここまで駆け抜けてきて、それに気がついているはずだ。僕たちは自然と精霊と共に生きていくべきなのだ、世界を変えるべき時が来たのだと。
「愛し子っていうのは聖女だったんですね」
そういったのはアッシュだった。
こいつはどうしてもミヤを聖女に祭りたいらしい。それにつられるように他の隊員たちも口々に同意した。そこで僕は気がついた。皆に必要だと頼られれば、ミヤはここにいてくれるのではないかと。
卑怯かもしれない。でも。
「こうなったらフルタイムで食堂の調理人になって欲しいところなんだが」
気がついたら巧みに本心を隠しながら、そんな言葉が口を滑った。
ーーフルタイムで僕のそばにいて欲しい。
抑えきれない独占欲を「善処します」という言葉であしらわれてしまった。確固とした返事がほしいところだが、あちら側の生活のこともあると考えるとこれ以上押せないか。今日ばかりは隊員たちに激励と感謝の言葉を浴びせたいくらいだ。
ちらりと精霊王とその奥方を見ると、彼らには伝わったようだった。奥方の方は頬に手を当てて上気しているし、精霊王は複雑な顔をしているが文句を言うようでもなかったから、ほっと心中で息を吐いた。
肝心のミヤにはさっぱり通じていなかったが。
*****
ハルクルト隊長は、非常にわかりやすい性格をしている。残念なことにヘタレでもある。正義感と責任感が強く、常に隊員のことを気にかけていて自分自身の事にあまり顧みない。
俺の名はアッシュ・バートン。
ハルクルトが退任して以来俺が隊長を務めているが、俺を含むイーストウッド精鋭討伐隊員15人は、彼がいるからこそこの部隊を続けているようなものだ。俺たちの中で隊長はハルクルト・ガルシア・ルフリストただ一人。彼が命令すれば俺たちはどこへでも行く。そのくらい俺たちはハルクルトを崇拝している。
3年前の東の魔の森の討伐の負傷から隊を退いたものの、俺たちに対するフォローは変わらず、それまで以上に補助をしようと努めてくれた。元婚約者だったマリゴールドは、隊長ではなくなったハルクルトに興味をなくした、富と身分を欲するだけの女だった。こんな女に隊長を任せなくてよかったと清々したものの、俺が隊長になると国王はマリゴールドを俺に押し付けた。
討伐隊員には昼も夜もない。何かあれば駆り立てられるのは俺たちだ。何日も帰らない時だってある。まともな結婚生活なんか送れるわけがないじゃないか。
だが気がつけば、俺たちは結婚をしていて、半年を経たずして彼女は身ごもっていた。
もちろん俺は父親じゃない。何て股の軽い女だ。本当に王族の娘か。いや、考えればこれが王族か、と言うところだ。国王も王子も、見境がなかったと思い出した。
「誰も気がつかないわよ。あんたさえ何も言わなければ。あんた、女に興味ないんでしょ。わかってるわよ。その上で結婚してやったんだし、あんたの子供として育てれば体裁も保てるでしょ」
と来た。挙句、
「ハルクルトが隊長に戻った時は、声をかけてね。もう一回よりを戻してもいいわ。あの人はマメだったし見た目もいいから。あなたは私にフラれて男に走ったとか言えば、大丈夫なんじゃない?」
だと。
俺は女に興味がないわけじゃない。お前に興味がないんだ。お前のその腹の子は、好きな相手との子じゃないというわけか。こんな人間的にも腐っている女だが、ハルクルト隊長は婚約が解約になった時、マリには可哀想なことをしたと落ち込んでいた。
聖人かと思った。
見る目がないのか、義務なのか。そんなに悔やんでいるんなら熨斗《のし》をつけて返してやる。仕事は出来る人だったし、人格も良かっただけによくわからない。
最初はマリゴールドの婚約について俺が代理になったこと、そして毒によって片目を失い、生活魔法さえ満足に使えなくなったことに対して気が引けて、俺は隊長に顔をあわせることができなかった。
ヘタレは俺の方だ。
あの人がどんどん弱って死んでいく姿を見たくなかったのだ。他の隊員から彼が緑の砦に移り住んで薬草の研究をしていると聞いた。少しは毒を抑えられているらしく、3年経ってもまだ活力的に生きていると聞いた時は耳を疑ったものだ。
だがそれを目の当たりにした時、驚いた。
今までに見たこともないほど、生き生きとしている。あの笑顔はなんだ。失明したはずの瞳に魔力が戻り、以前よりも緑色が強くなっていた。魔力が増えたのか?
あの少女のおかげか。
小柄で貧弱なくせに、生命力が半端ないあの異世界の女。出会い頭で強烈な浄化洗礼を浴びたのはつい最近だ。精霊を味方につけ薬草を使いこなす、聖女。もとい、愛し子と言うやつだったか。どこからともなく緑の砦に現れてハルクルトの隣に寄り添っている…いや、逆か。ハルクルトがぴったりと彼女に寄り添っている。まるで忠犬だ。
ハルクルトが色めき立っていると隊員が沸き立った。聖人が聖女に恋をした。
彼女が現れてからのハルクルトは、全く違う人格になっていた。常に糸を張りつめたような緊張感と、ワイバーンですら睨み殺せるほどの眼光が消えた。そわそわと足が地についていないのか、と疑うほど浮かれだっているかと思えば、どんより落ち込んでため息をつきまくるあの人を見ると、恋とは恐ろしいとさえ思えた。
だが、今回の東の魔の森から押し寄せた魔物の大群を一気に蹴散らしたあの力は、以前にもまして壮絶だった。魔法の二重、三重掛けの上、自身を浮上させてワイバーンに空中攻撃をしかけた。それも3匹同時にだ。合成魔法を何度も使い、丸一日戦い抜いても平気な顔で、段違いの能力を見せつけた。
あの人の魔力量はどうなっているんだ。
それに輪をかけて、あの異世界人の少女。森を創ったり消したりなんて尋常じゃ考えられない。東の魔の森の魔物の惨状は外から見てても凄まじかった。討伐ではなく、消滅。滅却。俺たちが狩った森から逃げ出してきた魔物の数なんか、比じゃなかったはずだ。
あれは聖女なのか、精霊の愛し子なのか、両方なのか。
ハルクルトが夢中になるのも仕方がないのかもしれない。強い意志を持った底のない、吸い込まれそうな黒い瞳に内に秘めた力がにじみ出て、人を引き寄せる力のある少女。擁護ではなく援護したいと思わせる不思議な存在力。
ハルクルトだけでなく、あの気の荒い隊員たちがあっという間に懐柔された。
かくいう俺も例外なく。
これから起こるであろう革命に、彼女は有無を言わさず巻き込まれるだろう。許されるならば、その時は俺も彼女を守り、共にありたいと思う。
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もしかして出てくる男、ヘタレばっか?
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