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第3章:聖地ウスクヴェサール編
第73話:精霊の水晶玉
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「で?どうするよ、この水晶玉」
「ミヤさんの話からはこの水晶玉が何なのかはわかんないっすね」
「水の大精霊の持ち物かもしれないな」
「これから魔力は感じられないんだが、大精霊ほどの高位の魔力だと僕たちには計り知れないかもしれないしな」
「私、魔力ないし、触っても大丈夫じゃないかな」
「もしこれが魔力の塊だったらミヤはすぐ酔うだろ?下手したら急性魔力中毒になるかもしれない」
「それは、やばいな」
ガゼボの中から出てきたハンドボール大の水晶玉を囲んで、ミヤコたちはうーんと腕を組んだ。誰が触ってもやばい代物かもしれないが、ミヤコの薬草が守っていたほどのものだ。呪いなどといった悪しき力の塊ではないようにも思う。
そう言ったミヤコだったが自信はない。精霊王なら何とかできるかもしれない、そう思ったミヤコは精霊を呼び寄せた。
「おじいちゃんに聞いてみて?」
薬草にまとわりついていた精霊たちは嬉々として飛び立った。
「問題があれば浄化できるし?」
「あ、その手もあったな。嬢ちゃんがいると話が楽でいいや」
「ミヤの歌はミヤの生命力を使うんだろう?無駄に力を使って寿命が減ったらどうするんだ」
「えっ?生命力って寿命削ってるんっスか!?」
「ええっ!?」
それはミヤコも考えていなかった。歌うたびに命を削っていたら、ミヤコの寿命はいったいあと何年残っているのだろうか。考えると怖い。
「明日死んだらどうしよう」
「怖いことを言わないでくれ」
クルトが青ざめてミヤコを睨みつけた。
「ハルクルト隊長が言い出したんじゃないっスか」
「待て待て。焦って結論出すなよ、お前ら」
まるで時限爆弾を見るように見つめる4人の眼の前で、いきなり水晶玉が光を放った。
「ぎゃっ!?」
「!?」
ルノーがとっさに目を覆い、後ずさった。
『やあやあ、すまんな。これは私のものだ。水鏡の世界と聖地をつなぐ道具だよ』
その水晶から水の大精霊の声がしたと思ったら、大精霊の顔が水晶に映った。
「ウスカーサ!」
『元々は手鏡だったんだが、何がどうして水晶になったんだか。まあ、危険なものには変わりはないが。それはミヤコ、そなたが持っていてくれないかな。そこに置いておくと、またいつルビラのような者が入り込まんとも限らないし、私の精力もまだ戻っていないからね』
「大精霊の手鏡…神器の一つか!」
それを聞いたアイザックが声をあげた。
『いや、ただの精霊具だけどね』
「おじいちゃん!」
大精霊を押しのけるように精霊王の顔が横から覗き込んだ。
『俺や他の大精霊と話がしたい時はこれを使えばいいよ、ミヤコ。お前の世界でいうスマホみたいなもんだよ。念を送れば通じるようにできてるから。あ、あと伝達石ともチャットできるから』
「スマホ…おじいちゃんなんでそんなもの知ってるのよ」
ミヤコの後ろでアイザックたちがぽかんと口を開け「スマホ?」「チャット?」とつぶやいている。
『俺よりキミヨがな。まあ、チビどもを伝令に出しても良かったんだが、あいつらは気まぐれで寄り道でもしたら伝言すら忘れるからな』
『キャーーー!』
『ともかく、ひとまず緑の砦まで戻ってきてくれ。どうも哲也たちが心配してるらしくてな』
『ミヤコ~。一週間のつもりが一ヶ月帰ってないからって淳もうるさいのよ~。早く戻ってきてちょうだい』
今度はキミヨの声も響いた。グループ通話のようなものだ。魔力って便利だな、とミヤコは遠い目をする。10日ぐらい経ってるとは思っていたが、一ヶ月も経っていたらしい。こちらと向こう側では時間の流れが微妙に違うのか、それともミヤコの計算違いなのか。
「わかったよ~、これから帰るって伝えておいて?」
『オッケー。じゃ早めにねえ』
ブツッと通話が切れると、光が収まりただの水晶玉が何事もなかったように転がった。
「……」
「あれ、顔も映ってましたよね」
「わかっていたが、恐るべし精霊の魔力…」
「ミヤの世界にはあんなのがあるんだね?」
「う、うーん。もっと手のひらサイズなんだけどね。スマートフォンって言って、まあ電話なんだけど…この水晶玉はちょっと使い勝手が悪いけど、空間魔法でカバンに詰め込めばいっか」
「映像付きの伝達石みたいなものか…」
「手のひらサイズ…」
「異世界、すげえ…」
ひとまず呪いのアイテムではなかったと、胸をなでおろした4人だった。
********
アイザックとルノーがグレンフェールに報告のため聖地を離れ、ミヤコとクルトはバックパックにしまいこんだはずのアイテムを別の空間から取り出すことにした。ミヤコのバックパックの石化を解くよりも、空間魔法を言語キーから使えるようにしたほうが早いからだ。これでカバンがなくてもアイテムを手にすることができる。ただし、他人に見られるのはまずいということで、ショールの内側にポケット機能を取り付けることで誤魔化すようにした。
ミヤコが水晶を手に持って言語キーを唱えた時、クルトが驚いたようにミヤコを見据えた。
「ミヤ…僕の名前を言語キーに使ったの?」
「あっ…き、聞こえました?」
ミヤコは確かに「ガルシア」と唱えたのだ。
「えっと、その…。簡単で他の人が使わなくてって考えたらクルトさんの名前が浮かんで。みんなハルクルトって呼ぶし、セカンドネームならバレないかなと思って」
えへへ、と笑うミヤにクルトは眉をはの字に歪めた。本当に君は、と口元を抑えるクルトを見て慌てふためくミヤコ。
「ご、ごめんなさい。勝手に名前使って…」
「謝ることじゃないけど…嬉しいっていうか。今まで嫌いだった名前まで好きになりそうだよ」
「え?あの」
クルトはミヤコの真正面に座り、両手をとった。
「ねえ、ミヤ。毎回のことだけど、君はどうやら事件に巻き込まれるというか、事件を起こす体質のようだ。自覚していないのか自覚していてもそうなのか。どちらにしても僕では防げないようだし」
「そ、そういうつもりはないんだけど…」
「うん。君は思ったことをそのまま行動に起こしてるだけだものね」
「うっ。そんな猪突猛進してるかな」
「僕はそれでもいいんだよ。きっとそういうミヤの行動力に惹きつけられるんだし、止めれないのはわかってる。でも、そんな君を誰かに任せるのは嫌なんだ」
クルトはミヤコが水の大精霊に抱きしめられていた時のことを思い出していた。自分でなく水の大精霊に助けられたことにも腹が立ったが、何よりもあの挑戦的なにやけ顔を思い出すだけで、嫉妬心から魔力が溢れかえってくる。これから何度こんな思いをするのだろうかと思うと、無力な自分が歯がゆい。
「え、えっと…」
「何度も言うけど、僕はミヤが好きだ。どう表現したらいいのかわからないくらい、ミヤのことばかり考えている。君が水の大精霊に抱きかかえられているのを見た時、嫉妬心に駆られてどうしてやろうかと思ったくらいだ」
ミヤコはゴクリと唾を飲み込んだ。
クルトからの一途な情愛は嬉しい。加えてそれに応えようとしている自分の心にももちろん気づいているし、彼なら一線を越えてもいいとまで考えている。
聡との苦い経験から、ついこの間まで散々恋愛はしばらく遠ざかりたいだの、結婚より夢に生きるだの強がっていた自分が信じられないほどだ。だが、聡を奪うのに親の力と金銭力を振りかざした茜を「ズルい女」と称して毛嫌いし、それになびいた聡をなじったりしたものの、今の自分はどうなのかと考える。
祖父母や精霊の協力を得て、聖女だの愛し子だのといった、特別な立場でクルトの気を引こうとしているのではないか。クルトだけでなくアイザックやルノー、討伐隊員たちの贔屓を受けていい気になってはいないだろうか。強引に押されることを望んでいる自分がいることに気づいて、それなのにクルトの想いをさりげなく避けたり、焦らしたり、駆け引きをしているように思われないだろうか。
自分が計算高い女のような気がしてミヤコは思わず眉をしかめた。熱を込めてまっすぐに見詰めてくるクルトの緑の瞳は誠実で、曇りない。
ああ、この人は綺麗なのだ、とミヤコは思う。一途で誠実で、駆け引きも妥協もない。自分の嫉妬も狡さも心の弱さも全て見透かされているように感じる。
「君の全てが欲しいと思うのは、欲張りだろうか」
「……え、と」
クルトの握る手がキュッと強くなり、ミヤコは自分の顔に火がついたように真っ赤に染まるのがわかった。
「…アイザックもルノーも、表向きは聖女だの愛し子だの言ってるけど…所詮あいつらだって男だし、それにモンドも、大精霊だって君を」
「えっ?」
モンドからはどう思われようと寒気しかしないけど、まさかアイザックやルノーがそんな風に思っているのは意外だ。大精霊に至っては全くの見当違いでしかない。恋愛自体存在しない種族なのだ。
ミヤコは目を丸くした。
「クルトさん、それは気のせい、」
「好きな女を見る目つきぐらい僕にだってわかるよ」
「あの、私アイザックさんやルノーさんにそんな気持ちを持ったことないので、心配しなくてもいいです」
モンドは論外だし、と付け足して「あ」と口を押さえたミヤコの手を素早く取り、唇を寄せるクルトを受け止める。
「嫌なら抵抗して」
ミヤコの耳元に唇を寄せて、熱い吐息を吐くクルトに少しだけ身をよじったものの、抱き寄せられ、押し倒されたミヤコの頭はミントの香りで一杯になって、伸し掛る体の熱とうるさいほどの心音以外、何も聞こえなくなってしまった。
==========
エチエチ……は R15なので程々に。
「ミヤさんの話からはこの水晶玉が何なのかはわかんないっすね」
「水の大精霊の持ち物かもしれないな」
「これから魔力は感じられないんだが、大精霊ほどの高位の魔力だと僕たちには計り知れないかもしれないしな」
「私、魔力ないし、触っても大丈夫じゃないかな」
「もしこれが魔力の塊だったらミヤはすぐ酔うだろ?下手したら急性魔力中毒になるかもしれない」
「それは、やばいな」
ガゼボの中から出てきたハンドボール大の水晶玉を囲んで、ミヤコたちはうーんと腕を組んだ。誰が触ってもやばい代物かもしれないが、ミヤコの薬草が守っていたほどのものだ。呪いなどといった悪しき力の塊ではないようにも思う。
そう言ったミヤコだったが自信はない。精霊王なら何とかできるかもしれない、そう思ったミヤコは精霊を呼び寄せた。
「おじいちゃんに聞いてみて?」
薬草にまとわりついていた精霊たちは嬉々として飛び立った。
「問題があれば浄化できるし?」
「あ、その手もあったな。嬢ちゃんがいると話が楽でいいや」
「ミヤの歌はミヤの生命力を使うんだろう?無駄に力を使って寿命が減ったらどうするんだ」
「えっ?生命力って寿命削ってるんっスか!?」
「ええっ!?」
それはミヤコも考えていなかった。歌うたびに命を削っていたら、ミヤコの寿命はいったいあと何年残っているのだろうか。考えると怖い。
「明日死んだらどうしよう」
「怖いことを言わないでくれ」
クルトが青ざめてミヤコを睨みつけた。
「ハルクルト隊長が言い出したんじゃないっスか」
「待て待て。焦って結論出すなよ、お前ら」
まるで時限爆弾を見るように見つめる4人の眼の前で、いきなり水晶玉が光を放った。
「ぎゃっ!?」
「!?」
ルノーがとっさに目を覆い、後ずさった。
『やあやあ、すまんな。これは私のものだ。水鏡の世界と聖地をつなぐ道具だよ』
その水晶から水の大精霊の声がしたと思ったら、大精霊の顔が水晶に映った。
「ウスカーサ!」
『元々は手鏡だったんだが、何がどうして水晶になったんだか。まあ、危険なものには変わりはないが。それはミヤコ、そなたが持っていてくれないかな。そこに置いておくと、またいつルビラのような者が入り込まんとも限らないし、私の精力もまだ戻っていないからね』
「大精霊の手鏡…神器の一つか!」
それを聞いたアイザックが声をあげた。
『いや、ただの精霊具だけどね』
「おじいちゃん!」
大精霊を押しのけるように精霊王の顔が横から覗き込んだ。
『俺や他の大精霊と話がしたい時はこれを使えばいいよ、ミヤコ。お前の世界でいうスマホみたいなもんだよ。念を送れば通じるようにできてるから。あ、あと伝達石ともチャットできるから』
「スマホ…おじいちゃんなんでそんなもの知ってるのよ」
ミヤコの後ろでアイザックたちがぽかんと口を開け「スマホ?」「チャット?」とつぶやいている。
『俺よりキミヨがな。まあ、チビどもを伝令に出しても良かったんだが、あいつらは気まぐれで寄り道でもしたら伝言すら忘れるからな』
『キャーーー!』
『ともかく、ひとまず緑の砦まで戻ってきてくれ。どうも哲也たちが心配してるらしくてな』
『ミヤコ~。一週間のつもりが一ヶ月帰ってないからって淳もうるさいのよ~。早く戻ってきてちょうだい』
今度はキミヨの声も響いた。グループ通話のようなものだ。魔力って便利だな、とミヤコは遠い目をする。10日ぐらい経ってるとは思っていたが、一ヶ月も経っていたらしい。こちらと向こう側では時間の流れが微妙に違うのか、それともミヤコの計算違いなのか。
「わかったよ~、これから帰るって伝えておいて?」
『オッケー。じゃ早めにねえ』
ブツッと通話が切れると、光が収まりただの水晶玉が何事もなかったように転がった。
「……」
「あれ、顔も映ってましたよね」
「わかっていたが、恐るべし精霊の魔力…」
「ミヤの世界にはあんなのがあるんだね?」
「う、うーん。もっと手のひらサイズなんだけどね。スマートフォンって言って、まあ電話なんだけど…この水晶玉はちょっと使い勝手が悪いけど、空間魔法でカバンに詰め込めばいっか」
「映像付きの伝達石みたいなものか…」
「手のひらサイズ…」
「異世界、すげえ…」
ひとまず呪いのアイテムではなかったと、胸をなでおろした4人だった。
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アイザックとルノーがグレンフェールに報告のため聖地を離れ、ミヤコとクルトはバックパックにしまいこんだはずのアイテムを別の空間から取り出すことにした。ミヤコのバックパックの石化を解くよりも、空間魔法を言語キーから使えるようにしたほうが早いからだ。これでカバンがなくてもアイテムを手にすることができる。ただし、他人に見られるのはまずいということで、ショールの内側にポケット機能を取り付けることで誤魔化すようにした。
ミヤコが水晶を手に持って言語キーを唱えた時、クルトが驚いたようにミヤコを見据えた。
「ミヤ…僕の名前を言語キーに使ったの?」
「あっ…き、聞こえました?」
ミヤコは確かに「ガルシア」と唱えたのだ。
「えっと、その…。簡単で他の人が使わなくてって考えたらクルトさんの名前が浮かんで。みんなハルクルトって呼ぶし、セカンドネームならバレないかなと思って」
えへへ、と笑うミヤにクルトは眉をはの字に歪めた。本当に君は、と口元を抑えるクルトを見て慌てふためくミヤコ。
「ご、ごめんなさい。勝手に名前使って…」
「謝ることじゃないけど…嬉しいっていうか。今まで嫌いだった名前まで好きになりそうだよ」
「え?あの」
クルトはミヤコの真正面に座り、両手をとった。
「ねえ、ミヤ。毎回のことだけど、君はどうやら事件に巻き込まれるというか、事件を起こす体質のようだ。自覚していないのか自覚していてもそうなのか。どちらにしても僕では防げないようだし」
「そ、そういうつもりはないんだけど…」
「うん。君は思ったことをそのまま行動に起こしてるだけだものね」
「うっ。そんな猪突猛進してるかな」
「僕はそれでもいいんだよ。きっとそういうミヤの行動力に惹きつけられるんだし、止めれないのはわかってる。でも、そんな君を誰かに任せるのは嫌なんだ」
クルトはミヤコが水の大精霊に抱きしめられていた時のことを思い出していた。自分でなく水の大精霊に助けられたことにも腹が立ったが、何よりもあの挑戦的なにやけ顔を思い出すだけで、嫉妬心から魔力が溢れかえってくる。これから何度こんな思いをするのだろうかと思うと、無力な自分が歯がゆい。
「え、えっと…」
「何度も言うけど、僕はミヤが好きだ。どう表現したらいいのかわからないくらい、ミヤのことばかり考えている。君が水の大精霊に抱きかかえられているのを見た時、嫉妬心に駆られてどうしてやろうかと思ったくらいだ」
ミヤコはゴクリと唾を飲み込んだ。
クルトからの一途な情愛は嬉しい。加えてそれに応えようとしている自分の心にももちろん気づいているし、彼なら一線を越えてもいいとまで考えている。
聡との苦い経験から、ついこの間まで散々恋愛はしばらく遠ざかりたいだの、結婚より夢に生きるだの強がっていた自分が信じられないほどだ。だが、聡を奪うのに親の力と金銭力を振りかざした茜を「ズルい女」と称して毛嫌いし、それになびいた聡をなじったりしたものの、今の自分はどうなのかと考える。
祖父母や精霊の協力を得て、聖女だの愛し子だのといった、特別な立場でクルトの気を引こうとしているのではないか。クルトだけでなくアイザックやルノー、討伐隊員たちの贔屓を受けていい気になってはいないだろうか。強引に押されることを望んでいる自分がいることに気づいて、それなのにクルトの想いをさりげなく避けたり、焦らしたり、駆け引きをしているように思われないだろうか。
自分が計算高い女のような気がしてミヤコは思わず眉をしかめた。熱を込めてまっすぐに見詰めてくるクルトの緑の瞳は誠実で、曇りない。
ああ、この人は綺麗なのだ、とミヤコは思う。一途で誠実で、駆け引きも妥協もない。自分の嫉妬も狡さも心の弱さも全て見透かされているように感じる。
「君の全てが欲しいと思うのは、欲張りだろうか」
「……え、と」
クルトの握る手がキュッと強くなり、ミヤコは自分の顔に火がついたように真っ赤に染まるのがわかった。
「…アイザックもルノーも、表向きは聖女だの愛し子だの言ってるけど…所詮あいつらだって男だし、それにモンドも、大精霊だって君を」
「えっ?」
モンドからはどう思われようと寒気しかしないけど、まさかアイザックやルノーがそんな風に思っているのは意外だ。大精霊に至っては全くの見当違いでしかない。恋愛自体存在しない種族なのだ。
ミヤコは目を丸くした。
「クルトさん、それは気のせい、」
「好きな女を見る目つきぐらい僕にだってわかるよ」
「あの、私アイザックさんやルノーさんにそんな気持ちを持ったことないので、心配しなくてもいいです」
モンドは論外だし、と付け足して「あ」と口を押さえたミヤコの手を素早く取り、唇を寄せるクルトを受け止める。
「嫌なら抵抗して」
ミヤコの耳元に唇を寄せて、熱い吐息を吐くクルトに少しだけ身をよじったものの、抱き寄せられ、押し倒されたミヤコの頭はミントの香りで一杯になって、伸し掛る体の熱とうるさいほどの心音以外、何も聞こえなくなってしまった。
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エチエチ……は R15なので程々に。
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