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プロローグ
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「レニー・フローレスとの婚約をここに破棄する!」
登場するや否や、拡声魔道具を使用して第三王子のフランシス・コロネルが婚約破棄の意思を声明した。あまりにも力んで大声で発声した為、魔道具が割れて辺りにキーンと不快な機械音が広がる。
誰もが耳を塞いだが、彼の言葉は一言一句伝わったのだろう、ホールにいた貴族達がレニー・フローレスと呼ばれた令嬢を振り返った。
まさにイチゴのプチケーキを口に入れようとしていた矢先だったため、あんぐりと口を開けていたところで固まっていたレニーだったが、ケーキを口に入れもぐもぐと咀嚼した後、そっとプレートとフォークをテーブルに置き、丁寧にナプキンで口元を拭った。
「如何なされました、フランシス第三王子殿下?」
カナリアが囀るような、美しい声色に皆がほうとため息をつく。
レニー・フローレスは『カナリア姫』との二つ名を持つ音楽家で有名なフローレス侯爵家の長女で、彼女自身も歌にバイオリン、ヴィオラ、ピアノにハープとさまざまな楽器を使いこなす歌姫だ。少々ふくよかではあるが、カナリア色の巻毛にけぶるような長いまつ毛、瑞々しい唇が独身男性を虜にした。緩やかな曲線を描くたわわな二つの山も視線を集め、清楚な中にも女性らしさを身につけ背筋を伸ばして佇むその姿は、まさに王子妃として相応しいと誰もが思っていたのだが。
どうやら婚約者である第三王子は違ったらしい。
王子が声明した途端に独身貴族子息達の目が光る。明日の朝には侯爵家に山のような釣書が寄せられることは間違いない。だが、レニーは小首を傾げ、キョトンとした顔を第三王子に向けた。
「どうしたもこうしたもない!私は貴様の黄色い声など聞きたくもない!二度と王宮に来るな!その聞き苦しい声で歌うことは金輪際許さんっ!」
ダンスホールにいた貴族達はひゅっと息を呑んだ。第三王子とはいえ、王族が登城禁止を言い渡したのだ。実質社交界への出入りを禁止されたようなもの。カナリア姫無くしてどのように音楽祭を成功させるのか。侯爵家の反応は、と皆がレニーに注目した。
「あらあら、まあまあ。それは一向に構いませんけれど、わたくしが何か粗相を致しましたでしょうか」
こてりと首を傾げ、全く気にする様子もなく朗らかに返すレニーに、流石何年もこのバカ王子の婚約者を続けて来ただけの度量がある、と皆が感心し胸を撫で下ろした。どうやらこれもいつものことのようだ。過去、学園で同じようなことをした。何人かの令息令嬢は覚えていて、ひそひそと話を交わす。
「粗相?粗相だと!?あれが粗相というレベルのものだというのか!お前の頭はどうなっているのだ!!」
「あれ?あれとは何でございましょう?」
登場するや否や、拡声魔道具を使用して第三王子のフランシス・コロネルが婚約破棄の意思を声明した。あまりにも力んで大声で発声した為、魔道具が割れて辺りにキーンと不快な機械音が広がる。
誰もが耳を塞いだが、彼の言葉は一言一句伝わったのだろう、ホールにいた貴族達がレニー・フローレスと呼ばれた令嬢を振り返った。
まさにイチゴのプチケーキを口に入れようとしていた矢先だったため、あんぐりと口を開けていたところで固まっていたレニーだったが、ケーキを口に入れもぐもぐと咀嚼した後、そっとプレートとフォークをテーブルに置き、丁寧にナプキンで口元を拭った。
「如何なされました、フランシス第三王子殿下?」
カナリアが囀るような、美しい声色に皆がほうとため息をつく。
レニー・フローレスは『カナリア姫』との二つ名を持つ音楽家で有名なフローレス侯爵家の長女で、彼女自身も歌にバイオリン、ヴィオラ、ピアノにハープとさまざまな楽器を使いこなす歌姫だ。少々ふくよかではあるが、カナリア色の巻毛にけぶるような長いまつ毛、瑞々しい唇が独身男性を虜にした。緩やかな曲線を描くたわわな二つの山も視線を集め、清楚な中にも女性らしさを身につけ背筋を伸ばして佇むその姿は、まさに王子妃として相応しいと誰もが思っていたのだが。
どうやら婚約者である第三王子は違ったらしい。
王子が声明した途端に独身貴族子息達の目が光る。明日の朝には侯爵家に山のような釣書が寄せられることは間違いない。だが、レニーは小首を傾げ、キョトンとした顔を第三王子に向けた。
「どうしたもこうしたもない!私は貴様の黄色い声など聞きたくもない!二度と王宮に来るな!その聞き苦しい声で歌うことは金輪際許さんっ!」
ダンスホールにいた貴族達はひゅっと息を呑んだ。第三王子とはいえ、王族が登城禁止を言い渡したのだ。実質社交界への出入りを禁止されたようなもの。カナリア姫無くしてどのように音楽祭を成功させるのか。侯爵家の反応は、と皆がレニーに注目した。
「あらあら、まあまあ。それは一向に構いませんけれど、わたくしが何か粗相を致しましたでしょうか」
こてりと首を傾げ、全く気にする様子もなく朗らかに返すレニーに、流石何年もこのバカ王子の婚約者を続けて来ただけの度量がある、と皆が感心し胸を撫で下ろした。どうやらこれもいつものことのようだ。過去、学園で同じようなことをした。何人かの令息令嬢は覚えていて、ひそひそと話を交わす。
「粗相?粗相だと!?あれが粗相というレベルのものだというのか!お前の頭はどうなっているのだ!!」
「あれ?あれとは何でございましょう?」
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